『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』(2011年)
弱小レスリング部が、ちょっとだけ熱くなる!!
福祉関係専門の良心的な弁護士マイク。
家庭円満なれど、事務所は壊れかけ、閑古鳥の鳴く日々。
監督する高校レスリング部は、やる気なし根性なしで連敗続き。
そして、こんな時に壊れるなよ、トイレにパソコ~ン。
爆発の秒読みに聞こえる日増しに大きくなるボイラーの音。
修理代に、コピー機レンタル代に、生活費に…
金欠甚だしいマイク。
痴呆老人レオの後見人になれば貰える月額報酬の誘惑が…
ひょっこり現れ、マイクの家に居候するレオの孫カイル。
実はかなりな腕前のレスリング選手だった事が判明し、
監督、コーチ、チームがにわかに熱気を帯びてくる。
お互いがお互いに、とても良い影響を及ぼしていくという、
実にいいお話。
悩める中年男を演じたら、ピカイチなポール・ジアマッティ。
ちょっとした一言が妙にリアル。
好戦的。でも、良い妻ジャッキーのかち気さが可笑しい。
離婚に未練タラタラで裕福な親友テリー。
テリーの単純さ、軽率さがかなり笑え、映画の雰囲気にプラスに貢献。
ご老人レオが、これまたいい味出してます。
ある意味、名演だと思うが。
テンション低めで言葉数の少ないカイル。
ほのかに漂う好青年ぶりが好い感じ。
ワガママでだらしない母シンディ。
問題有りな女をメラニー・リンスキーがそつなく演じる。
出演者のアンサンブルが映画の世界観を存分に体現。
さすが、トム・マッカーシー監督!!
明確な雰囲気づくり。
誰だって間違いは犯すし、失敗もする。
やり直す為の二度目のチャンスの大切さ。
必要とされる事、必要とする事の充足感。
一歩前に進む─たとえ小さな一歩でも大きな意味を持つ。
その意味を知っているという幸せ。
『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』(2011年)
監督・原案・脚本:トム・マッカーシー、原案:ジョー・ティボーニ
出演:ポール・ジアマッティ、エイミー・ライアン、ボビー・カナヴェイル、ジェフリー・タンバー、
バート・ヤング、メラニー・リンスキー、アレックス・シェイファー、デヴィッド・トンプソン