木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《皆殺しのジャンゴ》

2013-02-18 00:42:51 | 日記


『皆殺しのジャンゴ』(1968年イタリア)

マカロニ、きた~!!
というか、くる~!!
タランティーノのジャンゴ観る前に、
いっちょう他のジャンゴをチェックしとくか。
なんとも安直な映画鑑賞術。
気にしない、気にしない。
とは言え、久々のマカロニ。
期待し過ぎ厳禁、と自分に言い聞かせつつ…
厳かに鑑賞。

始まるやいなや、
あっけなくもイッキにマカロニ気分。
オープニング・クレジットからして、GOOD。
いかにもな歌にテンション上昇。
申し分の無いマカロニ・ウエスタンに酔う。
マカロニ・ワールドにどっぷり。
いい湯だな、アハハ~ン状態。

ジャンゴ役のテレンス・ヒルは普通に見映えが良く整った顔立ち。
悪役も粒ぞろい。
ニヒルな悪役顔が有りがたや。
そして、バカに出来ない脚本。
しびれるセリフ。
心得た音楽の使い方。
実力作!!


金(ゴールド)を輸送中に強盗団に襲われ、
銃撃で妻を亡くしたジャンゴ。
それから、五年─。
絞首刑執行人として働くジャンゴは、秘かに仲間を集めていた。
復讐の時を待つジャンゴに、ついに機会が訪れるが…

基本的に裏切りありき、な展開。
オウムに話しかける素朴な男、ジャンゴ。
野心あふれる政治家デイヴィッドの抜け目無さ。
ギャングのボス、ルーカスの荒々しさ。
苦労人ガルシアの欲に目が眩んだ姿。
それを悲しく受け入れる妻。
なんだかんだ言ってジャンゴに協力する郵便局のオヤジ。
どの役も見所が有るという見事さ。

やり過ぎない演技に過剰な事態がなんとも魅力。
過剰な事態!これこそがマカロニのマカロニたる証し。
二言目にはビンタが飛び、
鞭がしなり、炎が燃え上がり、
銃の腕前やら性能無視で展開する銃撃戦。
マカロニ魂、炸裂~!!

ここでジャンゴのせりふをば少し。
“俺に分かるのは1つ。お前は俺を裏切った─”
“五年間に渡る強盗と殺人。その罪は重い。俺からの助言だ─償え”
どーゆー顔して言ったらいいんすか~?こんなセリフ!
底なしの単純バカに見える危険度高し。
聞いてるこっちが、こっぱずかしいわぃ!なストレートさ。
色んな意味で痺れる~。

仲間の集め方がワザ有り。
そして、ピストルを渡すの時の驚きの小ワザ。
ラストの驚愕の大ワザ。
泣く子も黙る…というかそれどころじゃなくなる皆殺しジャンゴ!!

充実のマカロニ体験。

しかも、
イタリア語と英語を収録。
言葉が違うと雰囲気がガラリと変わり、これまた楽しいのさ。


『皆殺しのジャンゴ』(1968年イタリア)
監督・脚本:フェルディナンド・バルディ、脚本:フランコ・ロゼッティ、音楽:ジャンフランコ・レヴェルベリ
出演:テレンス・ヒル、ホルスト・フランク、ジョージ・イーストマン、ホセ・トーレス
挿入歌:"You'd Better Smile" Nicola Di Bari(ニコラ・ディ・バリ)