「スカーフェイス」ポール・モネット
壮絶。凶暴。自滅。
キューバから難民としてマイアミへ上陸したトニー・モンタナ。
カリスマ性と凶暴さで麻薬王へとのし上がり、
‘黒いアメリカン・ドリーム’を手にする男。
映画『スカーフェイス』(1983年)のノベライゼーション。
映画の脚本はオリヴァー・ストーンが担当。
『スカーフェイス』は映画『暗黒街の顔役』(1932年)のリメイク。
って…誰が何の権利持ってんのか頭痛くなる状況ですけど。
凄まじい生きざま。
カストロ政権下のキューバ。
十二歳の頃にはすでに、盗みやひったくりで稼ぎ。
十六歳で、縄張りを持ちマリファナを捌く。
軍人の妻の愛人となり…ばれる!!
怒り狂った軍人にナイフで切りつけられ、スカーフェイスに。
ここで終わらないのがトニー・モンタナ。
復讐あるのみ。
軍人を射殺。
結局捕まり、強制労働六年。
アフリカで戦闘に参加。
そして脱走。
またしても捕まり、キューバに強制送還。
懲役二十年…
時は1980年代。
人権政策の一環で、カーター大統領が
社会主義国キューバより亡命を希望する者を受け入れると発言。
政治犯も犯罪者もぜ~んぶ一緒くたにして送りつけるカストロ首相。
そんな訳で、トニー・モンタナがマイアミに上陸。
その後は、殺人、強盗となんでもござれでのし上がる。
コカイン王となり、美人の妻を手に入れ。
持て余す程の金に囲まれる日々。
野望に燃えた男の早すぎる成功。
軽蔑していたコカインに自ら溺れ。
歯止めのきかない暴走を始めるトニー。
派手な展開では有るものの。
薬のせいで無茶する人間は、あまり魅力的とは言えず。
小説としては、残念ながらちょっとつまらない終盤。
とは言え、燃え尽きる姿は凄まじいの一言。
誰ひとり幸せに出来なかった男の悲しい最期。