木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《ウィッカーマン》

2013-02-03 00:23:25 | 日記


『ウィッカーマン』(1973年イギリス)

怖っ!
カルトを描いたミュージカルホラー。
ホント、怖っ!

少女の失踪事件を調査しに、小さな島へとやってきたハウイー巡査。
そこは、サマーアイル卿が統治する、奇妙な因習に囚われた島だった─。


前半は特にミュージカル色が強め。
メローな曲、民族音楽風、民謡などが次々と繰り出される。
花が咲き乱れ、春たけなわな島。
そして、あふれる音楽。
もしや、ここってパラダイス?
ところが、よくよく聴いてみれば歌詞は性的。
男女の交わりが讃えられている─。
ってある意味、やっぱりパラダイス?

ブリット・エクランドの謎の裸踊り。
(壁越しに誘惑する有効な手段らしい…)
(プロに振付してもらったらしい…)
(撮影に三日もかけたらしい…)
芝生で絡み合う男女。
裸で輪舞する少女たち。

真面目な巡査は衝撃と拒否反応。
コロコロ変わる村人の証言に、ついに怒り爆発。
何が何でも、少女を見つけてやる!と躍起に。
島中を引っ掻き回す巡査をよそに。
今年もまた、五月祭が行われようとしていた─。


古代からの儀式、男根崇拝、中世からの風習など。
次々と明らかにされる島民の姿。
奇妙さを増していく生活ぶりに、
不信感から、不気味さへ、そして恐怖へとかわる。

信じる物、価値観が違うと、通じないんですな。
今だに、通じない事でテンテコ舞いな世の中。
おぞましくも、事態は深刻。

ラストのクリストファー・リーの清清しい喜びに満ちた表情が、
何よりも恐ろしい。
このラストの強烈さ。
狂喜と狂気を見事に描いた異色作。

『ウィッカーマン』(1973年イギリス)
監督:ロビン・ハーディ、脚本:アンソニー・シェイファー、音楽:ポール・ジョヴァンニ
出演:エドワード・ウッドワード、クリストファー・リー、ダイアン・シレント、ブリット・エクランド