「名探偵登場」ウォルター・サタスウェイト
謎の本…
なにが謎って…
544ページもあるのに、この分厚さなのに。
何にそんなにページが費やされたのか、さっぱり。
古き良き時代のゆったりとした雰囲気のミステリなのは分かるが。
それを楽しむのが目的なのは重々承知ですが。
それでも、首をかしげないでは居られな~い。
奇術師フーディーニがピンカートン社の探偵を引き連れイギリスの貴族の館へ。
コナン・ドイル卿が霊媒師を連れて合流。
ライバルから命を狙われるフーディーニ。
幽霊が出るというお屋敷で降霊会が開かれ。
密室から発砲の音が…
貴族の貴族ぶりを楽しみつつ。
実在する人物が料理されるのを楽しむ。
そして、幽霊と殺人。
申し分無い材料。
時々、ユーモア。
作家のペンによって、登場人物達は我が物顔で闊歩する。
フーディーニとコナン・ドイルに関しては、作者が喋らせるのが楽しくて仕方ないとしか思えない。
相当楽しんだと、みた。
オチだって立て続け。
遊び心いっぱいな(ふざけてるとは言いません)フィニッシュ。
そう、それなりに充実はしてるんだ~け~ど。
今だにこの本の厚みが信じがたい。
読み終わって、マジマジと見つめてしまう本。
“「年をとればそれだけの知恵もつく、というだけのことですが」
「本気でそうお考えですかな。わたしの知るかぎり、知恵を得る者はめったにいない。
ただ経験を積むだけです」”
“「死んだあとにはどうなるか、お考えになったこともないんですの?」
「死んでみればわかることでしょう。結論を急ぐことはありませんよ」”