7年前に植えた実家の梅の木には、今年も白い花がたくさん咲きました。一年一年、蕾の数が増えて、期待以上に根を張って大きくなっていることに感動すら覚えます。命の逞しさを感じます。
先月は、初めての「5時間リレーマラソン」に学生9名と副理事長で出場しました。一人1キロを5時間走り続ける競技です。佐世保から1時間半ほどの総合運動場に、早朝から選手、応援者で出かけ、みごと269チーム中73位で5時間完走しました。選手の皆さんは本当にお疲れ様でした。そして、応援者も、タイムキーパーや選手誘導などの係りで協力し、チームワークで団結した感動の一日になりました。皆で成し遂げたすがすがしさと達成感を味合うことができました。
先週までに、長崎の長崎デュアルシステム専門学校、佐世保のさせぼ公務員オブビジネスは、卒業式を終えました。学校行事の中で、最も大事な式典が滞りなく行われ、今はほっとしているのと同時に、ガランとした教室を見ると、じわじわと寂しさが募ってきています。
両校とも、それぞれに素晴らしい卒業式でした。長崎校では、華やかにはかま姿の学生もいて、送辞、答辞も心こもるものでした。卒業式後には、保護者の方も一緒に会食をして、2年間の学校生活や実習や、就職先についていつまでも話が尽きません。その場がこのままずっと続いていくような錯覚に陥ってしまいました。
佐世保校では、リニューアルされた九十九島ベイサイド&リゾート フラッグスにて卒業式が挙行されました。おしゃれなホテルでの式と祝賀会で、学生たちにも思い出に残る時間になったことと思います。
佐世保校では、1年生が随分前から、卒業生を送るために一人ひとりにパネルを作ったり、祝賀会のビンゴの景品を選んだりととてもよく動いてくれました。そんなときに、授業では見られない意外な側面が現れます。春休み中にも関わらず毎日毎日学校に通ってきて、黙々と作業を続けている学生には本当に感心しました。
卒業生は私たち職員に内緒で、パソコンの教員の協力を得て、趣向を凝らした先生への感謝のビデオを作ってくれました。祝賀会でも、1年生が司会進行をし、会場全体を巻き込むような楽しい時間をプレゼントしてくれました。
最後に、卒業生からのメッセージのビデオが流されました。学生たちは、クラスメートのことを「仲間」という言葉で表現します。そうなのです。この二つの学校の学生は、同じ夢を持っている仲間なのです。そして、「大好き」と結んでありました。
私が若いころ、「好き」という言葉は、思いを寄せる異性に対して使っていましたが、今では、学生たちは、同性へも、私たち教員へも「大好き」と言ってくれます。最初はドキリとしますが、それが最高の気持ちの表現なのかもしれないと気が付いたら、とてもうれしくてくすぐったくて、照れくさくなりました。
仲間に対しても「好き」という言葉を使っています。その言葉以外に、適切な言葉はないのだと思います。相手に対して良い感情をもっている、気に入っているという好意の表現だったり、感謝の意だったり、いろんな気持ちが込められているのでしょう。若い人らしくて、素直な表現に心地よくなりました。私も、「好き」という言葉を使ってみたくなりました。
しかし、自分自身については「好き」とは、あんまり言わないようです。
この世の中には、自分と同じ人間は二人といません。たとえ双子であってもそれぞれの人格があり全く同じではありません。私という人間は「唯一無二」なのです。だからこそ貴重で尊い存在なのです。
私は、若いころ、自分のことが「好き」ではありませんでした。それは自分に自信がなかったからです。
いつも他人と比べて自分が劣っていると劣等感を持ち、優劣で物事を判断しようとしていたのだろうと思います。
大人になって、いろんな経験を重ね、少しだけ分別が着いたとき、「人は唯一無二の存在」という禅の言葉を知り、自分という存在は貴いものだと、何物にも代えがたい愛おしい存在だと教えられました。
物事を優劣で考え、比較することによって、何かに秀でていなければ無価値だと自分を否定してしまうことほど悲しいことはありません。優れた人を見たらあんな人になりたいと、目標にします。私という価値は自分で見つけ決めていくことで自分を大切にすることができるのではないかと思うようになりました。それが「唯一無二」の私になるのだと思います。「世界でたった一つの花」になりたいですね。
これから、長崎校、佐世保校を巣立っていく卒業生が、仕事に追われ自分を見失うことなく、時には立ち止まり、自分を振り返り確かめながら、「唯一無二」の私を「好き」になって自分自身を「幸せ」に導いていってほしいと思います。
今月の写真は、春のプリンセス、チューリップです。
Photo by mizutani