週末の雨で桜はすっかり散ってしまいました。今年は家族みんなでお花見に行きたいねと話していたのに、残念でした。
学校では第34回目の入学式が執り行われました。コロナ禍ではありますが、学校生活の始まりの大切なセレモニーです。広い会場でしたので、保護者の方にもお声を掛けてお子様の節目を見ていただきました。学校説明会や個別での相談など、どの入学生とも一度は話をしたことのある見覚えのある姿です。
前日のオリエンテーションの時に入学式の流れを説明して簡単にリハーサルを行ったのですが、本番は、見違えるほどにお辞儀など揃っていて、これから公務員を目指してこの学校で学んでいくことの覚悟のようなものを感じることができました。この学校を選んでくれてありがとうと、こちらも身の引き締まる思いでした。
今年は、やっと東京オリンピックが開催されそうです。聖火リレーも順調に行われていることが報道されています。
昨年オリンピックに焦点を絞って日々練習に取り組んできたアスリートたちにとって、1年の延期は大きな打撃だったに違いありません。オリンピック出場選手として内定していた人は、あと1年その記録や体力や気持ちを維持していくのは相当に困難のことでしょう。改めて選考し直す競技もありました。
しかし、この延期を力に換えた人もいました。
先日、東京オリンピックの代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権が開かれました。2019年2月に白血病であることを公表し、長い闘病生活から昨年8月に復帰したばかりの池江璃花子選手が、女子100メートルバタフライ決勝でみごと優勝しました。池江選手は400メートルメドレーリレーメンバーとしてのオリンピック代表に内定したのです。
池江選手は、ゴール後のインタビューで、涙ぐみながら「100メートルで優勝できると思っていませんでした。何番でもここにいられることに幸せを感じようと思ってやってきました。自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていたけれど、勝つための練習もしっかりやってきたし、努力は必ず報われるんだなと思いました。」と喜びを語る笑顔がテレビで放送されていました。私は、食事の支度をしながらその様子を見ていて、ここに行きつくまでの彼女の苦しさや努力を思うと胸が熱くなって涙が出てきました。
発病前には、その才能と努力によってたくさんの記録と入賞を繰り返していただけに、その白血病という病名にアスリートとしての今後の活躍を危惧していたのは私だけではないと思います。しかし、池江選手は、持ち前の上昇志向と、強い精神力によってみごとに復活することができたのです。この快挙のニュースは、日々闘病されている方の大きな励みになったのではないでしょうか。
専門の先生は、「退院後、1年余でトップアスリートの域まで回復するのは極めて異例だ」と驚いていました。症状が出なくなる「寛解」状態に至る早さは、高い身体能力とは関係がないと言い、「競技レベルをここまで戻したのは、治療の順調さに加え、本人の努力とチームの支援があるからだろう。患者を含む多くの人に勇気をくれた池江選手を心から応援したい」と話されていました。
私も、池江選手の活躍をこれからずっと応援したいと思います。
学校の授業開始の月曜日1時間目の授業で、私は、自己紹介や科目の紹介を行ったあと、学生たちにこの池江選手の快挙の話をしました。そして、これから公務員試験合格に向かって対策授業に入るけれども、と前置きをして、「努力は必ず報われる」と池江選手の言葉を学生たち伝えました。自分の気持ちをしっかり持って試験に臨んでほしいと思います。
新しい環境で戸惑ったり不安だったりすることもあると思いますが、ゆっくりじっくり自分のペースを保ちつつ、努力を重ねて行ってくれることを期待しています。
今月の花は、ヨーロッパ生まれの「クリスマスローズ」です。日本でも「冬の貴婦人」という愛称で呼ばれ、春を告げる花としても、欠かせない存在です。
Photo by Mizutani