どうしても「今日」と父が言うので、夕食後まだ薄暗いときに、家の近くの小川に行って道上から目を凝らしていたら、水際に生えている草むらに何やらうっすらと光るものが見えました。この数年は、川が汚れていたり、水が濁っていたりで、蛍の姿を見ることができませんでしたが、久しぶりに現れた蛍を、父はぜひとも私に見せたかったのでしょう。昔どおりの自然が戻って、幼いころ一緒に見た蛍がまた、生息するようになったことが、相当にうれしかったようで、早く行ってきなさいと私を急かしてまだ薄暗いのに川辺まできたのでした。
その昔、まだあちこちに自然が残って、夕暮れから宵闇の時間に父と散歩をすると、小川のせせらぎの中に小さな灯火が見えたものです。
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