安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

遠い夏

2020年08月31日 | 月刊ブログ

 小道に入りやっとマスクを外します。両側の草むらから、一気にむせるような夏草の匂いが押し寄せてきました。この炎天下でも、青々とした広葉樹が、白い小花をたくさん付けて、甘いにおいを漂わせています。幼い時の夏休みの匂いを思い出します。

 

 人類の宿敵、感染症は収束の兆しが見えず、私たちの日常を脅かしています。

 公務員試験を控えている本校初中級の学生たちが、普通に試験が受けられるよう、学校閉鎖などあってはならないと、コロナ感染対策を細心の注意を払って行っています。

 この夏は、外部からの夏期講座と通年の夜間講座と、人の出入りが多く、学校としても神経を使いました。午後からの夏期講座が始まる前には、教室の換気と机の消毒を欠かさず行いました。この学校を介して感染者が出ることはあってはならないという、強い気持ちからでした。

 先日は、コロナ感染予防で中止していた保護者会を開催しました。

 来月から始まる本試験に備えて、どうしても保護者の方との情報の共有と、この試験を学生、保護者、学校の三位一体となって乗り越えるための意識の統一をしなければと、感染予防対策を十分に行いながら実施しました。

 やはり、保護者の方もご心配な様子で、学校側の説明で、少しだけ安心されたようでした。

 

 今日の朝のホームルームでは、1週間後に迫る本試験は、朝から実施されることをあえて述べて、夜更かしをしないように、生活のリズムを朝型に変えるように、アドバイスしました。学生たちはちょっと緊張した面持ちでしたが、私たちも、自分自身に確認するように、試験が近いことを意識しました。

 

 授業では、今は問題演習を中心に行っていますが、私が担当している人文科学や文学史などは、何回しても覚えられないという学生がいます。

 授業をしていて、「あーこの時代は、高校の授業の時、世界史の先生がよく覚えなさいと言っていたところだった」と、はるか数十年前のあの時の記憶が蘇ってくるから不思議です。

 

 今日の授業で、外山滋比古氏の『アイディアのレッスン』という文章を読みました。ものを考える上での忘却の効用を説いた文章でした。その中に、「知識を取り込むには覚えておくことが価値を持つが、頭の中が知識で一杯になると自由な発想ができない、新しい物事を考え出すには、よく忘れて、きれいになった頭が必要である」と論じた文章でした。

 最近、今考えていたことをすぐに忘れてしまう私にとっては、嬉しい擁護論でしたが、そう思うのは、きっと作者の意図とは少しズレていることは、分かっています。

 しかし、高校生の時の世界史の重要点を今でも覚えていることを思うと、記憶には随分と誤差が生じていることを、感じます。

 今日も、仕事の帰りに買う「買い物リスト」を用意しています。年齢によるもの、とよく言われてしまいますが、やはりその対策は必要だと身に染みて感じているのは確かです。

 

 遠い夏、私はいつも大村湾沿いの母方の実家で夏休みを過ごしていました。そのような日々を、この頃思い出していたところでした。

 今月の花は、夏の花、芙蓉です。透明な花びらが涼をそそります。私の母は、この芙蓉の花から名前を取って「蓉子」と言います。コロナで随分会っていませんが、元気にしている写真が先日届いて、少し安心しました。

 

 Photo by mizutani


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