安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

新しい発見

2021年05月19日 | 月刊ブログ

 この1年で私たちの日常は大きく変化しました。春にはいつも家族でお花見をしたり遠出をしたりしていました。休みの日には皆で買い物に出かけ、ファミリーレストランでランチを取ったりしていました。ゴールデンウィークには、藤の花を見に行き、雲仙などの観光地を巡ることも楽しみでした。

 それがこのコロナ禍で、私たちのかけがえのない日常がことごとく奪われてしまいました。同居以外の家族とも頻繁に会えなくなり、高齢な母とも感染の危険があるということで、電話で元気な様子を確かめるしかありません。

 何とか視点を替えて、この状況を乗り越えていきたいと思い、最近の家族の様子を小さなアルバムにして送りました。母も、会えなくてもきっと喜んでくれていることと思います。

 

 学校では、現在のところ滞りなく授業が進められています。上級大卒試験は、もう始まっていて、学生たちは感染に注意しながら、緊張感の中、日々受験対策に邁進しています。マスクや消毒も日常となっています。

 

 先日、私が大事にしている絵本『天動説の本』を思い出す機会がありました。この本は、学生やたくさんの人に紹介したい1冊です。

 

 15世紀ごろまで、ヨーロッパの人々は、地球が宇宙の中心だと信じていました。「天動説」です。天を動かしているのは神様。病気や災害はすべて悪魔の仕業だと考えていたのです。このような考えを、科学の研究によって覆した人たちがいます。コペルニクスやガリレオやブルーノです。当時はこのような科学者は宗教裁判に掛けられたり、火あぶりの刑に処せられたりして新しい科学は認められませんでした。現在は、日進月歩の急速な科学の発達について行くのがやっとの時代になって、もちろん「地動説」は子供でも知っている常識となりました。

 

 この『天動説の本』は絵本作家の安野光雅さんが描かれました。緻密な描写で、決して子供のためだけではない素晴らしい芸術本になっています。

私が世界史の教員として母校に教育実習に行った時、私の指導を担当してくださった先生からプレゼントされたものです。

 

 見開き2ページ一杯に平らな地面に、西欧世界の教会を中心として暮らすたくさんの人々が緻密に可愛らしく描かれています。ページをめくるごとに、時代が進むにつれ、その地面は少しずつ丸みを帯びて、さらに水平線の向こうから船がやってくるようになると立体的に表現されて、最後のページでは大きな丸い地球になっていくのです。

 

 始めて読んだ時、ページをめくるごとにワクワクと心が躍るような、早く次を読みたくなるような高揚感があったことを覚えています。

 なぜ昔の人は天動説を信じていたのか。なぜ地動説を受け入れるまでに、これほどの犠牲と時間が必要だったのか。絵本の中で安野さんは、歴史を知ることが大切なのだと強調しているようでした。

 私は、世界史が大好きで、世界史の授業をしている時間が最高の時間です。授業では、学生に世界史の面白さを伝えたいと思うのですが、今は公務員試験の一科目として得点源になることを目指す授業をやらなければなりません。単なる暗記ではなく、現在に至るまでの過程を理解することが大切だといつも言っているのですが、学生たちは目の前の試験のことで一杯です。しかし、公務員試験の世界史は、語句の暗記では解けない歴史の因果関係や、現在との比較、問題点などが出題されます。

 やはり、歴史を学ぶ大きな意義は、現在の状況がどのような過程で作られてきたのかということを知ることです。そのことが今を知ることに繋がるからです。公務員となって、この国や自治体を動かしていくときに、先人たちの選択に大きなヒントを発見できるのではないかと思うのです。

 

 先日は、着任して3年目という国家公務員として仕事をしている卒業生が来てくれました。自分の仕事に誇りを持って取り組んでいる様子が眩しく感じられました。仕事の面白さと、きちんと与えられる休日を自分の趣味に充てて、充実した毎日を送っているようでした。学生時代とは違った大人な雰囲気を感じ、嬉しくなりました。

 

 今月の写真は、可愛花(カワイカ)、紫陽花の一種です。佐賀県内の花生産者4人でつくる「県あじさい研究会」が約10年かけて開発した新品種のアジサイです。佐賀弁で「可愛花(かわいか)」と名付けられました。黄色から鮮やかな赤色を経て、緑色になるという色の変化も見てみたいですね。

 

 Photo by Mizutani


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