60

60

　あーあ、60歳になっちゃった。60だよ60。小さい時は20歳の大学生を見ても凄い大人に見えたのだから、60歳なんて想像もつかない。良く生きているな、くらいの感覚だったよ。それから前にも書いたけれど、半世紀と10年生きたからといって中身はちっとも変らんぞ。街に出ればクソッ、ザケンナヨの連続だ。表には出さないけどね。だいたい田園都市線はなんで毎朝遅れるんだよ。
　金が無い、家はある、犬は飼っていないがカミさんがキャンキャン元気に居付いている。どうやら飼われているのは俺の方らしい。食欲、性欲、金欲は相変わらず盛んだ。この間、狭い庭を耕して野菜の苗を植えたらメッチャ疲れた。体が鈍っている。或いは衰えたか。
　長生きしたいとはチットモ思わないが、何かこの世でやり残した事があるような居心地の悪さは残っている。具体的には云わないが、一度カッケーと称賛される身になりたいかナ。友人はそんなこと考えないで、楽―に流されちゃいな、と言うけれど。