ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

自分に出会えるベネチアの音

2008-06-25 21:05:48 | 油彩画ベネチア2
  Copyright2008 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved.
  「ナポレオンのファザード」油彩画  4号F  1998年(個人蔵)
  イタリア・ベネチア


ベネチアで好きな音は、干潮の時の運河の音です。
海水が引いて、運河の水位が下がると、レンガで出来た運河の側面から、
家からの排水溝や勝手に開いた穴ぼことかが、顔を出します。

そこに波とかうねりとか、船が通ったりして、穴に海水が入り、
ぽぉうっ!ぽぉうっ!ぽぉうっ!ちゃぽぉ!という音がします。

ちょうどワインを開けて、グラスに入れ始めの時のあのいい音みたいなやつです。

波と同じように右から左へ、又は左から右へ、いい音も動いていきます。
狭い路地と背の高い建物のおかげで、音の反響が大きく、たっぷり集中して味わえるのも特徴です。

この音を聞いていると、音に聞き惚れてしまって、時間がすぐ過ぎてしまいます。

やさしかったり、愛しかったり、うれしかったり、悲しかったり・・・・

ベネチアは沢山の小運河と一本の大運河と路地で出来ているので、どこに行ってもこの音を味わえますが、歩いている時の自分の足音もまた最高です。

石畳ですから、これまたよく響きます。
コッ!コッ!コッ!

ここで今俺は生きてて歩いているんだ~

自分の歩く足音が、ここちよく聞こえるもんだから、集中して自分に出会える。

ベネチアは、そんな感じのいい音場所です。
コメント (3)
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