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最強のふたり  Intouchables

2021-09-30 04:40:04 | 銀幕

2011年 エリック・トレダノとオリビエ・ナカシュ脚本・監督   フランス映画

実話をもとにして作られた映画だそうです。

パリに住む富豪の家でフィリップの日常の介護人を雇用するための面接に並び順番に椅子に座っている人たち、殆どの人は専門の教育を受けたり実際に経験した人で白人ばかり。その中に大柄なアフリカ系の青年が異彩を放っています。

彼は順番に待ちきれず、いきなり面接室に入って不採用と書類にサインしてくれと頼む。不採用が3回続けば失業保険がもらえると言って。

フィリップは明日の朝書類を取りに来るようにと言って一旦帰ってもらう。

そして翌日、その青年ドリスが屋敷に行くとフィリップの助手のイボンヌは屋敷を案内してフィリップの部屋の隣で18世紀貴族の肖像画が飾ってあるとても豪華な部屋を今日からドリスの部屋だと紹介する。ドリスは採用されたことに驚きつつもその日からフィリップに一日中つきそって介護と運転手を務め始める。

何故フィリップはドリスを気に入ったのだろう?ドリスはスラム街に住む青年で介護の勉強などしたことはない。フィリップの豪華な暮らしと優雅な人達との交流と、ドリスの実家の狭いアパートに大勢の弟妹達とぎゅうぎゅうに暮らし、あまり柄の良くない仲間とつるむ様子は対照的に描かれてます。粗野で、しかもフィリップの友人が調べたら前科があり、半年間刑務所に入って出所したばかりだという。だが彼は心配する友人の助言をはねのける。

フィリップは首から下の体が麻痺して自力で動けない。椅子に座っても体を椅子に括り付けなくてはならない。そんな自分を「緊縛が好きなんでね。」と澄ました表情でさらっという。

そんな雇い主にドリスは介護療法士から教わりながら新しい生活を始めるが、荒っぽいし仕事に文句も言ってしまう。時にはいたずらもする。もともとしゃれっ気を持つフィリップはかえって面白がっているようでした。そして型破りで外出するときも車いすを乗せる専用車ではなくスポーツカーに車椅子はたたんでトランクに詰めて大柄な体格を生かしてフィリップを抱き起こし助手席に座らせて一緒にドライブを楽しみ、またフィリップの電動車いすに速度を上げる特注をしてパリの街を一緒に走り抜ける。フィリップの顔に笑顔があふれる。

オペラ鑑賞の時はちょっと困ったちゃんなドリスだけど確かに歌手の衣装やメイクは笑えるかも。画商の展示会で販売されていたバカ高い値段の現代アートに対する正直な感想もうんうんと頷いてしまいました。これは監督のアートに対する皮肉をドリスに言ってもらってるのだろうな。

富豪で気難しくお傍付きの介護者が1週間で逃げてしまうというフィリップに、これまでの人は腫れものを触るように接して話も弾まず、規定の介護の範囲を超えることはなかった。ドリスは介護の事がわからないしあまり遠慮がないので、友達のようにしゃべる。スラムで鍛えられた世知辛い世間へ丁々発止の対応力を持っていて、介護のお約束を気にせずこれまでやれなかったことをいろいろとフィリップに経験させ、またドリスも貧しさの為経験できなかった事を経験できて一緒になって楽しんでいく。二人とも表情が輝き、お互いに良い影響を及ぼし合っているように見えました。

そうドリスは優しい人。貧しい暮らしで小さな弟妹がいっぱいいて一日中働き続ける母さんは、実の息子ではない自分をずっと手放さず養ってくれた。そんなきびしいけれど愛情深い働き詰めの母を気遣っている。フィリップの心の機微を敏感に察知して行動する。屋敷の人とも仲良くなって、イボンヌやフィリップの娘エリザに対しても何気ない気遣いをする。

夜に発作を起こして苦しむフィリップを落ち着かせて夜中にドライブして気分転換をさせる。そこでフィリップは自分が麻痺した経緯を打ち明ける。

そして今度は自分からドリスをさそって過去を克服する覚悟を持ってちょっとした冒険をして大いに楽しむ。

二人は本当に相性が良かったのだろうな。フィリップは初対面から勘じていたのだろうな。

 

ある日ドリスの弟が争い事に巻き込まれて助けを求めて訪ねてきた様子を見て、フィリップはドリスの家族を気遣って彼を解雇する。

だけど、他の介護者には心を閉ざすフィリップ。

 

最後はドリスの優しい表情が印象的でした。見終わって暖かな余韻のある映画でした。

フィリップとドリスの友情に幸いあれ

・・・て、え?ドリスは無免許だって(@_@;)

 


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