バッハ「クリスマスオラトリオ」第1部 第1曲 合唱「歓呼の声を放て、喜び踊れ」より
クリスマスイヴにこの曲を載せたいと思います。
ヨハン・セバスチャン・バッハは1723年、ライプツィヒの聖トーマス教会のカントル(教会の音楽監督)に就任します。ドイツでは聖をつけないそうなので以後トーマス教会と書きます。
トーマス教会合唱団は1212年に創設した教会に併設された少年合唱団としては最古の歴史的な団体でカントルも特別に「トーマスカントル」、合唱団員は「トマナー」と呼ばれるそうです。
合唱団の少年たちは全員寄宿生活をして、歌や音楽、そして勉強も学びます。その形態はウィーン少年合唱団も同じですが、違うのは声変わりした後も合唱団に残る事です。
教会では、一部は19世紀になるまで女性が歌うことが許されなかったそうで、トーマス教会合唱団(トマナー)もソプラノ、アルトを声変わり前の少年が、テノールやバリトンなど低音域を声変わり後の青年が担当して教会の儀式(典礼)の歌を歌ってるのだそうです。
トーマスカントルに就任したバッハは自ら合唱団入団のための審査に参加して声の良い少年を選んだそうですが、時の教会のお偉方が意地悪してわざと選ばなかった少年を入団させたりした・・・と昔読んだ伝記に書いてましたっけ。苦労したんですねえ
勿論、今は公正なオーディションで選ばれているのでしょう。聞いていると天上の音楽とはこのことかと思うほど美しいのです。
「クリスマスオラトリオ」はバッハがトーマスカントル時代に作曲し、トマナーがクリスマス期間にトーマス教会とニコライ教会を順番に行き来しながら演奏し歌われる歌です。
6部で構成され決まった日に1部ずつ歌われるそうで、全曲合わせると2時間半の長さです。
そのうちの第1部は12月25日の早朝にニコライ教会、午後にトーマス教会で披露される歌で、その最初の曲が第1曲 合唱「歓呼の声を放て、喜び踊れ」です。
だから本当は25日に載せればいいのかもしれませんが、日本のクリスマス期間はヨーロッパよりはるかに短くあっという間に正月準備にはいってしまうのであえてクリスマスイヴに載せます。
とても華やいで幸福感のある歌なのでクリスマスにふさわしい曲なんです。
トーマス教会はプロテスタントのルター派なので偶像崇拝を禁止しています。だから目には見えない音楽の力が信者に宗教心を喚起するのに最適だったのだろうなあ。
今では世界的に歌われる「クリスマスオラトリオ」
この曲を本家本元のトマナーで歌われている動画を見つけました。
でも、この第1曲は7分半ある曲なのですが、この動画は後半の3分が省略されてます。
ちゃんと7分半ある成人の混声合唱団のものもありますが、先ずはこの美しい天使の声の魅力を感じてほしくてこちらにします。
もしかしたら1曲まるまる動画になってないから削除されずに残ってるのかもしれませんね。後半の三分は再びシンバルの音がして冒頭の音楽に戻りもう一度主題を歌い大団円のように終わります。
ずっとこの日に載せようと思って温めておいたのですごく嬉しいです。