ネットで見ていて知った言葉で、私のように食道と胃に別々の癌を発症し
たものを、そう呼ぶ。正式には
『多重がん(Multiple Primaries):同一人に報告されるべき2つ以上の
独立した原発腫瘍が発生した場合を言う。重複がんともいう。異なる臓
器または器官に夫々独立した腫瘍が存在する場合と、同一器官内に2つ
以上の異なる組織型の腫瘍が独立して存在する場合がある。』
多重がんと言っても、私の胃癌は食道がんのついでに見つかったもので、しかも
自覚症状は食道がんの陰に隠れてしまっていた。手術にしても、食道がんのつ
いでに始末して貰ったような感じのため、自分が胃癌患者であるという意識も食
道がんの陰になって低い。よくよく考えなくても癌が2つの臓器にあったということ
は、大変なことなのに、『一度の手術で治療できた』、これが大変だという意識を
抑えたのだと思う。
食道を摘出後、胃を再建して食道の代用としなければならないのに、胃にも癌が
あり、一部を摘出した後に再建した。この施術は計画の中では最終案だった。
もし胃がんが予想よりも悪かった場合には、今回のような結果にはならず、どんな
ことになったのか分からない。
ただ、ラッキーだったのは食道がんと胃がんはともに近かったため、一緒に摘出
できたことだ。胃は予定よりも短かくなったから、引っ張り気味になっていると思わ
れるが、それによる違和感は全くない。
胃がんに対する注意は、食道と同じなのか、先生からはそれぞれに分けての説
明はない。今のところ共に順調だから、ということかもしれない。
『多重がん』でも、時期がずれての発症だと、とても今の私のような心境ではおら
れないと思う。絶対に。