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昔の人は賢く、偉かった(その3)

2018-10-21 22:31:29 | 日記

本日も

龍野 定一先生のお父様の教えが続きます。

その前に補足です。

昨日、「(3)捨て石、無用の要」の中で

お父様らと対局を楽しんだ「山 徳峯」という方がいます。

この人自身もたいへん囲碁が強かったようですが、

息子の山 平寿(ヤマ ヘイジュ)という方はプロ棋士になり、

新聞の囲碁解説などもされた方でした。

龍野先生のお父様の

「捨て石の打ち方で、その男の器がわかる」

の発言を見ると、

お父様も相当の打ち手であったと想像できます。

それでは昨日の続きです。

 

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(4) 短所欠点を長所に

   人間井は誰にも短所欠点があるものであるが、各自の知恵を自由に働かして研究工夫すると、その短所欠点があるがゆえに長所ができることもあるものである。短所欠点を嘆くことなどは、人の工夫が足らない証拠で、これこそは人としての恥である。

   徳之島では、いつも一番になる優等生も角力(スモウ・当時の相撲はモンゴル相撲に近い組相撲だった)や競争に最も優れた者でも、

「あれは大富里のツノキリだ」

といい、闘鶏でも牛や馬でも、常に勝つような強いものを、他国ならば「常勝将軍」ということを「ツノキリ」と言う。その「角切り」というのは、大富里の斗牛であるが体格は小さく、一方の角は折れており、普通の牛ならば斗牛などできる牛ではないのである。ところがこの「角切り」は、まことに利口で勇気があり、どんな大きな牛と戦わしても決して恐れず、その一本の角ですぐに敵の頭の中心のマキ(※眉間のこと)を突くのである。マキを突かれるとどんな牛でもすぐ敗走するので常勝となり、「角切り」と言う名が「常勝将軍」という意味に用いられるようにまでなったのである。

   牛でさえも短所を気にせず、それゆえに一本の角だけで戦う「マキ突き」の戦法に出ると常勝の名牛となるのである。人間は自分の短所欠点など嘆かず、貧乏など気にしないで、これを活用することの工夫が肝要である。

 

(5) 新道ができても旧道を忘れるな

  「亀の甲より年の功」というように、年取った人の経験というものはまことに貴いものである。新しい学問の研究も大切だが、昔から多くの人間が経験したことなどを教えた諺などには、今日の生活にも極めて大切なものがある。「唾は飲め」、「痰は吐け」というが、人間の唾液は大切なもので、これは全て飲むがよく、痰は悪いもので、必ず吐き出すのが健康のためによいのである。「馬は引く」、「牛は追う」というのも、「木もと竹うら」というのもまことに大切な経験から出た教訓である。「木もと」というのは、木を割るときは木の根のほうから割るとたやすく割れるが、末のほうから割ると割れないものである。竹を割るときは、反対に竹の末のほうから割るとすぐ割れるもので、「新しい道ができても旧道を忘れるな」ということもある。すべて経験者の経験は大切にすべきものである。

 

(6) 真の孝行

  「家貧しくして孝子あらわる」というが、孝行というものは親に仕えることだけではない。「いつまでもあると思うな親と金」というように、どんなに元気な親でも何時亡くなるかわかるものではない。どんな財産でも何時どんなことでなくなるかわからないことは、大富里の財産がなくなったときのことを思えばわかるだろう。

   そこで、真の孝行というものとは、として

「お前の親がお前を愛して育てているように、お前自身でもお前自身を愛して育てることに努めるのが親孝行である。お前の親がお前の弟を愛して育てているように、お前もお前の弟を愛して教え育てることに努めるのも親孝行である。そして、お前たちの親がお前たちを愛して、できるだけの教育をしたように、お前たちもまたお前たちの子供を愛して、できるだけ立派に子供を教育することに努力するのが、親に対する孝行というものである。こうすると親勝りの子供が育ち、子供勝りの孫が育って、一家は末広がりに栄えて広がり、国家社会もますます栄えることになる。これが真の孝行というものである。」

と言われた。

   私と弟隆直(後に裁判官、弁護士)が仲良く助け合い、弟が私に従順であり、自分が高師(広島高等師範)に入学して、弟を大学(東京大学法科)に進ませたのも父の教えを守るためであり(※)、また、すべての生徒を愛して育てたのも、父のこの教えを思うて、恩師坂牧校長 や津隈秋江先生、関恰先生が私を愛し育てたように、私も生徒を愛し育てたいと考えて努めたのであります。

※ 龍野先生は、全科目平均99点という県下随一の秀才でした。なお、2位は92点だったそうです。勉強だけではなく、中学校(鹿児島ニ中)の図書室の本は読み尽くし、県立図書館の本もむさぼり読んだといいますから、頭が下がります。

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今日は、ここまでです。

明日は、「母の教訓」です。

これもすごいです。

 

コメント
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