カヤック コウノトリのブログ

大阪にあるカヤック屋さんのブログです。

ファルトボート・フォールディングカヤックの浮力体について

2023-06-15 11:55:18 | レスキュー講習



ファルトボート・フォールディングカヤックに入れる浮力体について

ファルトボート・フォールディングカヤックにつきましては以下ファルトと記載いたします。


ポリエステル製やFRP製のカヤックには隔壁(荷室)があるので水が入る部分はコクピット内となります。
【隔壁内(荷室)は完全防水ではないので沈した際には若干水が入ることが御座います】

ファルトにつきましては隔壁・荷室が無いので沈した際にファルトを起こし直すと全体に水が浸入することがあります。ファルトの殆どにはエアスポンソン(両サイドのチューブ)が装備されており中に空気が入っているのでファルトが沈んで行くことは無いのですが、再乗艇が出来ない状態となります。

事前に浮力体を入れていると起こし直した時にある程度の水が排水され少なくともファルト全体に水が残ることはなく再乗艇後の排水も楽になります。


ファルトの浮力体は必要性につきましては無くても良いが入れておくのがマナーとなります。




タンデムのファルトボートの場合のケース
画像はフジタカヌー製 アルピナⅡ460

画像の浮力体はフジタカヌー製であればSサイズMTI製であればMサイズになります。

タンデムの前側に座る方が居る場合は画像の様に浮力体を入れます。

430サイズのファルトの場合は空気の量を調整し足元が窮屈にならないようにする。
ただし、空気をパンパンに入れないと沈した際にファルトを起こし直すと水と一緒に浮力体が流れ出る可能性があるので浮力体の空気を入れるチューブをフレームと船体布の間に挟んでおくと良いです。



タンデムの後部につきましてはフジタカヌー製であればLサイズでMTI製であればLLサイズを使用します。

後側は背もたれの後側になりますので浮力体のサイズは大きい物を入れるのがベストですが、荷物が多い場合は浮力体を小さい方のサイズを入れて荷物を入れる防水バックは荷物以外に空気を入れて使用するのが良いかと思います。背もたれの後側に入れる荷物ですが小さい物であれば沈した際に流れ出る場合があるのでカラビナなどで対策が良いかと思います。

タンデム艇をシングルで使用する場合につきましては大きいサイズを前後に入れてあげるのが良いかと思います。
所有している浮力体が大1 小1であれば前に大 後ろに小を入れて後ろの空いたスペースに防水バックを入れておくのが良いかと思います。


浮力体の必要性は中々実感できないのですが、レスキュー講習などで浮力体無しで再乗艇の練習をしているとフレームの曲がりなどが出ることが御座います。これは水の重みでキールパイプが曲がることが原因です。フジタカヌーの460であれば2重管キールなので滅多に曲がりませんが、430などはフレームの剛性が低い為に雑な扱いをするとレスキュー時には若干曲がってしまうことがあります。実際のレスキューであればフレームを気にしながらのセルフレスキューは出来ないので万が一フレームを折ってしまうと第3者に助けて頂くしか方法が無くなります。

私も淀川や大川などで漕ぐ場合は入れないケースが多いですが、瀬戸内などに遠征する場合が必ず装備しております。使わなくなれば必要装備としての認識がなくなり本当に必要なときに持って行くのを忘れてファルトを壊してしまう場合がありますので出来る限り使用してあげるようにしてくださいね。

また、穴が開いて空気が抜けてしまう場合が御座いますので普段からエア漏れのチェックも忘れずお願いいたします。