こういうことを言い出すこと自体が年を取ったということなのだろうけど。
私が今、せめて40代ぐらいだったら、やりたいことがいっぱいある。
今、若い社会起業家が次々と誕生しているし、そうしたことを志す人たちも増えている。国際的な貧困問題などに飛び込んでいる人も多いし、地域を良くしようという人たちも増えている。
こういう渦の中に自分を置いて、お仲間にして欲しいと思うのだが、どこに行っても飛びぬけて年齢が違うのだ。来年70才!
良い人たちが多いから暖かく受け入れてくれてはいるけれど、彼ら・彼女らからすると不思議なお婆さんがどうしてここに居るんだろう?という感じなのだろう。
昔、バブル崩壊後の失われた10年と言われていた頃(1993~2002年)、実は、インターネットが普及しはじめ(Yahoo!のサービス開始が1996年)、日本でも、これを活用するネット・ベンチャーが次々と生まれた。
アメリカでは、ネット企業の上場が続いてネットバブルが起き、その結果、2001年には、ネットバブル崩壊というようなことが起きたものの、日本では、その頃、携帯電話が普及し、しかも、1999年から「iモード」などのインターネット接続サービスが開始されたこともあって、「ケータイ」にさまざまなサービスを提供するベンチャーが誕生・成長するなど、情報通信分野では、目まぐるしい変化が生じていた。
今では、知る人も少ないだろうが、こうしたネット・ベンチャーが渋谷周辺に立地していることから、「シリコンバレー」をもじって「ビットバレー」というネーミングがつけられた。渋谷なので、ビター(渋い)なのだが、デジタルデータの単位であるビット(bit)を使って、ビットバレーと言っていた。
彼らは、アメリカのベンチャー風土を真似てか、「ビットスタイル」という名前の交流会を良くやっていた。マスコミや、バブル崩壊で新しい貸出先・投資先を探している金融機関などが、この交流会に目をつけ、主人公のベンチャー起業家の周りを取り囲んでいた。まぁ、私もその一人で、ミーハー的な気持ちもあって、若い起業家の追っかけをしていた。
シリコンバレーと同様、大学生が先輩起業家のオフィスで机を借りて起業していたり、アメリカ帰りのベンチャー・キャピタルがリーダーになっていたり、若者数人で企業を立ち上げたりしていた。まだ、ひよこの彼らを追いかけておけば、彼らが成功し、めったに会えない人になっても、引き続き取材させてもらえるかもしれない。そうなったら、シリコンバレーを研究したり、取材して本を出した人のように、私も日本の書き手になれるかもしれないという下心もあった。
Yahoo! Japanを立ち上げた孫正義さんが少し大人で、40代になりたてくらいのころだ。当時の私は50代になりたてくらいの頃だが、それでも、追っかけをしたり、交流会に出席すると、いい年をしたおばさんが何しに来ているのだろう!?という感じだったろう。それでも、そういう立ち上がりの熱気のようなものの中に入っていたくて、出かけていたものだった。
2000年2月に最後のビットスタイルが六本木のヴェルファーレで実施され、2000人が集まったという。孫さんが確かヘリコプターで駆けつけてくれた。余りの人の多さに、交流会は、これが最後になったようだ。
その後、上場しその利益で仲間の企業を購入したり、合従連衡が続いたり、紆余曲折あって、現在に至っている。残念ながら私が追っかけをしなかった楽天が残っていたりして、壮大な日本のネット・ベンチャー史を書くまでに至っていない。
でも、その時と同じようなことが今起こっている。ソーシャル・ベンチャー(社会起業家)たちだ。
私は、ほそぼそ、地元で市民団体をやっているけれど、最近になって、ネット検索をちょっとするだけで、大きなうねりがみえる。
私が最初に係った頃には、経団連が利益の1%を提供する1%クラブができたり(1990年)、企業の社会的責任CSR( Corporate Social Responsibility)が言われ始めた頃だが、その頃の企業は、いやいや対応するというようなイメージだった。いろいろなところから寄付の依頼が来て、怪しげなところもあるし、どのような出し方、選び方をしたらよいだろうかなどが研究されていた。
ところが、これが2011年頃から、マイケル・ポーターが言い始めたCSV(Creating Shared Valueー共益の創造)に変わりつつある。CSRが慈善的であるのに対し、CSVは、企業の本業にとっても価値を一緒に生み出すというような考え方だ。こうした変化を受けて、企業が積極的に社会的な問題解決にも資金を提供するようになってきた。その相手方となってNPOなどが具体的な社会問題を解決するような仕組みになってきている。
たとえば、NPO法人ETIC.は、学生のインターンシップを受け入れており、ネット・ベンチャーが華やかな頃には、こうした新興企業にも学生を受け入れてもらっていた。最近では、大手企業と協働で社会起業塾イニシアティブをやっており、沢山の起業家を輩出している。
こういう人たちと一緒になって、駆け巡りたいけれど、頭も身体もいう事をきかない(>_<)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます