まちおもい帖2

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講演会「暮らしやすい政策を求めて」に行ってきました

2016-07-06 12:44:01 | 日記

西東京市公民館市民企画事業2016・ひばりタイムスさんが企画した講演会に行ってきました。

もと第一勧銀の調査部長で、神戸大学大学院経済学研究科教授でもあった山家悠紀夫(やんべ ゆきお)さんが講師でした。

いろいろなデータをもとに、

1.日本経済は、今どんな状況にあるか
2.アベノミクス・第一ステージは、日本経済と暮らしをどうかえたか
3.「第二ステージ」に期待できるか

をお話頂いた後、

4.日本経済と暮らしを良くするためにどうしたらいいか

というお話でした。

前半については、なるほどなと、現在の状況を理解することができました。

1.現在は、2012年に生じた短期間の景気後退からの回復局面にある。でも、それは、安倍内閣の発足前から始まっていること。また、2014年の初めの頃からみると、回復が足踏み状態。
2.中期的にみると、リーマンショックによる大きな落ち込み(2008~09年)からの回復局面。
3.長期的にみると、1998年にはじまる長期停滞が続いており、アベノミクスの3年間で低迷から脱出はできなかった。

4.安倍さんは、アベノミクスによって雇用が100万人以上増え、給与も2年連続で上がった、中小企業の倒産件数も大きく減少したとアベノミクスの成果(デフレ脱却)を強調している。
5.しかし、①雇用で増えたのは、もっぱら非正規雇用であり、正規雇用は減少している、②賃金が上がったのは、大企業・正社員の給料のみ、派遣・パートなどの非正規雇用の給料は下がっている、③倒産件数は減少したが、休廃業件数は増えている、④消費者物価は、消費税増税による上昇が一巡して以降は、前年比ゼロ~マイナスでデフレ脱却はしていない。

6.講師は、安倍政権のもとで、暮らしは、一段と厳しくなったという。
7.その一番の要因は、雇用の非正規化が一段と進み、低所得者層が増え、名目賃金は下がり、実質賃金はさらに下がったことという。このため、医療費や教育費などを切り詰め、エンゲル係数が上昇している。           

8.アベノミクス・第二ステージでは、①強い経済(目標はGDP600兆円、一億総活躍社会)、②子育て支援(希望出生率1.8%の達成)、③社会保障の充実(介護離職ゼロへ)の三本の矢を掲げており、たくさんの対策を打ち出しているが、どれもかなわないのではないかと思われる。
①日本の名目GDPが最も高かったのが1997年で523兆円だったが、2015年でも499兆円、人口も減るし、達成は難しいだろう。
②安倍政権は「派遣労働の規制緩和」をしてきており、若者の未来への生活基盤を充実させるのと反対の政策をしており、出生率を高められないだろう。
③社会保障費の削減や介護保険サービスの削減、自己負担率の引き上げなど、逆方向の政策を打ち出している。

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ここまでは、事実であり、大変納得がいく。
では、日本経済と暮らしを良くするためにどうしたらよいかということが問題になる。

講師は、
1.とりあえずの課題として、労働法制の改革を止める、社会保障制度の改悪を止める。今後とも消費税の引き上げをやらせない、TPPに加盟させない。
2.中・長期的な課題として、次の4つをあげておられた。
 ①週40時間働けば安心して暮らせる社会に-労働環境の抜本的改善を図る
 ②年をとっても、病気になっても安心して暮らせる社会に-社会保障制度の拡充を図る
 ③どこにいても安心して暮らせる社会に-地方経済の再建を図る
 ④平和が大事、戦争の不安のない社会に-アジア諸国との協調を図る
3.日本の経済社会は、もっと良くなる力を持っている。
 ①企業(とりわけ大企業)は、膨大な剰余金を抱えている。その剰余金は、証券投資に回されている。これを雇用に分配すればよい。
 ②日本の社会保障制度は、先進国と比べると、GDP比がかなり低い、もっと高める必要がある。国民負担率:日本44%、スウェーデン56%、フランス68%
 ③国は、財政赤字だが、 家計は黒字である。2015年の金融純資産残高(政府▲655兆円、法人▲496兆円、家計1361兆円)。

つまり、講師は、大企業と富裕層に適切な負担を求め、その代わりに、雇用者の給料を厚くし、社会保障費をねん出する制度改正をすれば、日本の暮らしはもっと良くなると言われるのだ。
ただ、それを実現するには、「暮らしを豊かにしよう」という方向を向いた強力な政府が誕生しなければならないのだという。

●(会場からの質問)法人税を高めたら、企業は日本から逃げてしまわないのか→(回答)いろいろな計算をすると、日本の法人税は、必ずしも高くない(要チェック!)
●(   同   )労働分配率を高めて欲しいが、企業が自ら進んでそうするだろうか→(回答)現在の非正規雇用を促進する法制度の改悪を止め、同一労働同一賃金にする方向にすれば良い
●(   同   )消費税を上げなくても、社会保障制度を改善することが可能なのか→(回答)余力があるところから分配すれば可能 

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講師が言うように、日本の経済社会に余力があるうちに、暮らしやすい方向に制度改革すれば明るい未来が来るのなら、そうして欲しいものだが。
良く言われる、4人で1人の高齢者を見ていたのに、2人で1人の高齢者という制度を抜本的に変えなくて可能なのだろうか。
こうした、基本的なことをちゃんと考えたいものだが・・。

(参考)ネットにある山家さんの記事 


 

 


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