「Profil」という聞き慣れないレーベルから、リムスキー=コルサコフの歌劇全集と称するCD25枚組セット(!)が発売されました。
(ちなみに同じレーベルからムソルグスキーやチャイコの歌劇全集も出ています。)
リムスキー=コルサコフの歌劇のセットものとしては、これまでにもゲルギエフ指揮マリインスキー劇場によるもの(11枚組)や、Capriccioからリリースされたもの(8枚組)がありましたが、今回は「Complete Operas & Fragments」と記されているとおり、15作すべてがセットになった正真正銘の「全集」となっているようです。
「全集」というからには、あの唯一全曲盤のない《セルヴィリア》もついに出たのか!!!と思ったのは早合点で、今回収録されている彼のオペラは、ボリショイ劇場などによる旧録音を中心にしたもの。
《セルヴィリア》もオニシム・ブロン指揮の既知の抜粋盤でした。
《セルヴィリア》は長らく上演等の機会がありませんでしたが、近年モスクワのポクロフスキー劇場で取り上げられたり、マリインスキー劇場でのリムスキー=コルサコフ生誕175年記念フェスティバルで実に117年ぶりに再演されたりと再評価の兆しがあり、今回「全集」と聞いて、私はてっきりその模様が収録されたものと勘違いしました。...残念。
今度こそ《セルヴィリア》全曲が出たのかと早合点した背景には、モスクワのポクロフスキー劇場で復活上演がされた折りに、ロジェストヴェンスキーの指揮によって全曲が録音されたらしい...ことがあったためなのです。
実際、私も2016年に《セルヴィリア》の復活上演を観にモスクワに滞在している時に、ホテルのテレビで《セルヴィリア》のCM(のようなもの)がやっていて、スタジオで指揮するロジェストヴェンスキーやオーケストラなどの映像を見たことがあります。
そのときは、てっきり《セルヴィリア》の全曲盤も復活上演と合わせてそのうちリリースされるのだろうと思っていたのですが、待てど暮らせどそのような気配はいっこうに無く、今日に至っているという状態。海外の掲示板だったか、ロシアでは「学術的」な趣旨で録音をすることがあるらしく、一般には公開されずにお蔵入りのままになることがあるとのことですよ(ケチ!)。
とはいえ、リムスキー=コルサヨフの歌劇を全て網羅したセットがリリースされるのは、おそらく今回が初。旧録音で構成されているものとはいえ、なかなか壮観です。
早速入手して、よくよく録音リストを眺めてみると、未聴のものも含め、初めてCD化される音源もあったりして、単なる寄せ集めではない、かなり意欲的な企画であったことがわかりました。
15作の歌劇とプレリュード・カンタータ《ホメロスより》が収録されていますが、これらの中で、(おそらく)初めて世に出るもの(当然CDも初)を【初リリース/CD化】、レコード等では出ていたもので今回初めてCD化されたものを【初CD化】として表示すると以下のとおりとなります。
◆歌劇《モーツァルトとサリエリ》
グリクロフ指揮レニングラードフィル【初リリース/CD化】
◆プレリュード・カンタータ《ホメロスより》(未完の歌劇《ナウシカ》の前奏曲)
ゴロヴァノフ指揮モスクワ放送響【初リリース/CD化】
◆歌劇《サルタン皇帝の物語》(ライブ)
エリツィン指揮マリインスキー劇場【初リリース/CD化】
◆歌劇《バン・ヴォエヴォーダ》
サモスード指揮モスクワ放送響【初CD化】
さて、個人的にツボだったのは、オペラになり損ねた「プレリュード・カンタータ《ホメロスより》」。独立した作品ですが、今回の全集では「Fragments」扱いです。
マイナーな作品ながら、これまでにスヴェトラノフ指揮のメロディア旧盤や、ジーヴァ指揮のセゾン・リュスの新盤(後にBrilliant Classicsから再リリース)が出ていました。
そして、今回はなんとあのゴロヴァノフ。初めて聴く録音です。
この作品、スヴェトラノフ盤では原曲にない小太鼓が追加されていて、さすがリムスキー=コルサコフ、荒れ狂う海のしぶきを見事に表現しているとすっかリダマされていたものですが、実はこの細工はゴロヴァノフが先輩だったことがわかりました。
さすが「怪獣ゴロヴァノフ」、暴れるだけでなく小細工も巧みに施しているなあと、妙に感心してしまいました。
リムスキー=コルサコフ: 歌劇全集(tower.jp)
https://tower.jp/item/5084163/%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC=%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%B3%E3%83%95%EF%BC%9A-%E6%AD%8C%E5%8A%87%E5%85%A8%E9%9B%86
https://tower.jp/item/5084163/%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC=%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%B3%E3%83%95%EF%BC%9A-%E6%AD%8C%E5%8A%87%E5%85%A8%E9%9B%86
(ちなみに同じレーベルからムソルグスキーやチャイコの歌劇全集も出ています。)
リムスキー=コルサコフの歌劇のセットものとしては、これまでにもゲルギエフ指揮マリインスキー劇場によるもの(11枚組)や、Capriccioからリリースされたもの(8枚組)がありましたが、今回は「Complete Operas & Fragments」と記されているとおり、15作すべてがセットになった正真正銘の「全集」となっているようです。
「全集」というからには、あの唯一全曲盤のない《セルヴィリア》もついに出たのか!!!と思ったのは早合点で、今回収録されている彼のオペラは、ボリショイ劇場などによる旧録音を中心にしたもの。
《セルヴィリア》もオニシム・ブロン指揮の既知の抜粋盤でした。
《セルヴィリア》は長らく上演等の機会がありませんでしたが、近年モスクワのポクロフスキー劇場で取り上げられたり、マリインスキー劇場でのリムスキー=コルサコフ生誕175年記念フェスティバルで実に117年ぶりに再演されたりと再評価の兆しがあり、今回「全集」と聞いて、私はてっきりその模様が収録されたものと勘違いしました。...残念。
今度こそ《セルヴィリア》全曲が出たのかと早合点した背景には、モスクワのポクロフスキー劇場で復活上演がされた折りに、ロジェストヴェンスキーの指揮によって全曲が録音されたらしい...ことがあったためなのです。
実際、私も2016年に《セルヴィリア》の復活上演を観にモスクワに滞在している時に、ホテルのテレビで《セルヴィリア》のCM(のようなもの)がやっていて、スタジオで指揮するロジェストヴェンスキーやオーケストラなどの映像を見たことがあります。
そのときは、てっきり《セルヴィリア》の全曲盤も復活上演と合わせてそのうちリリースされるのだろうと思っていたのですが、待てど暮らせどそのような気配はいっこうに無く、今日に至っているという状態。海外の掲示板だったか、ロシアでは「学術的」な趣旨で録音をすることがあるらしく、一般には公開されずにお蔵入りのままになることがあるとのことですよ(ケチ!)。
とはいえ、リムスキー=コルサヨフの歌劇を全て網羅したセットがリリースされるのは、おそらく今回が初。旧録音で構成されているものとはいえ、なかなか壮観です。
早速入手して、よくよく録音リストを眺めてみると、未聴のものも含め、初めてCD化される音源もあったりして、単なる寄せ集めではない、かなり意欲的な企画であったことがわかりました。
15作の歌劇とプレリュード・カンタータ《ホメロスより》が収録されていますが、これらの中で、(おそらく)初めて世に出るもの(当然CDも初)を【初リリース/CD化】、レコード等では出ていたもので今回初めてCD化されたものを【初CD化】として表示すると以下のとおりとなります。
◆歌劇《モーツァルトとサリエリ》
グリクロフ指揮レニングラードフィル【初リリース/CD化】
◆プレリュード・カンタータ《ホメロスより》(未完の歌劇《ナウシカ》の前奏曲)
ゴロヴァノフ指揮モスクワ放送響【初リリース/CD化】
◆歌劇《サルタン皇帝の物語》(ライブ)
エリツィン指揮マリインスキー劇場【初リリース/CD化】
◆歌劇《バン・ヴォエヴォーダ》
サモスード指揮モスクワ放送響【初CD化】
さて、個人的にツボだったのは、オペラになり損ねた「プレリュード・カンタータ《ホメロスより》」。独立した作品ですが、今回の全集では「Fragments」扱いです。
マイナーな作品ながら、これまでにスヴェトラノフ指揮のメロディア旧盤や、ジーヴァ指揮のセゾン・リュスの新盤(後にBrilliant Classicsから再リリース)が出ていました。
そして、今回はなんとあのゴロヴァノフ。初めて聴く録音です。
この作品、スヴェトラノフ盤では原曲にない小太鼓が追加されていて、さすがリムスキー=コルサコフ、荒れ狂う海のしぶきを見事に表現しているとすっかリダマされていたものですが、実はこの細工はゴロヴァノフが先輩だったことがわかりました。
さすが「怪獣ゴロヴァノフ」、暴れるだけでなく小細工も巧みに施しているなあと、妙に感心してしまいました。