海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

モスクワ街角点描~犬も歩けば劇場の街

2021年12月25日 | モスクワ巡り
犬も歩けば劇場に当たる───そんなことわざがあっても良いのではないかと思わせるほど、モスクワには多くの劇場がありました。

今回のモスクワ旅行では、実際に観劇をした「モスクワ・オペレッタ劇場」「ヘリコン・オペラ」「モスクワ室内音楽劇場」の他にも、外から眺めただけですが、いくつかの劇場などを巡ってきましたのでご紹介したいと思います。



まずは「スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場」。
オペラとバレエの公演を行っており、バレエ団はしばしば日本公演も行っていて、わが国でもわりと知られています。



1回では絶対に覚えられない長い名称ですが、俳優にして演出家、ロシア演劇の代表的人物の一人であるスタニスラフスキーと、劇作家、演劇指導者であるネミロヴィチ=ダンチェンコの2人の名前を冠しています。
後者が複合姓(でいいのかな?)となっていて余計にややこしいですが、例えるなら「チャイコフスキー&リムスキー=コルサコフ」みたいなものでしょうかね。
モスクワではボリショイに次ぐ高い地位を占めているようですよ。

次は「ノーヴァヤ・オペラ劇場」。エルミタージュ庭園の一角に存在しています。



「新しい(ノーヴァヤ)」とは裏腹に建物はロシア風アールヌーボーの意匠となっていますが、1991年の旗揚げ当時は意欲的なプログラムで注目を浴びた劇場です。
この劇場の主要演目の一つ、リムスキー=コルサコフの《雪娘》は高い評価を受けています。
本日の演目はプロコフィエフの《マッダレーナ》です。



「チャイコフスキー記念コンサートホール」。言わずと知れたモスクワ・フィルの本拠地ですね。
構成主義建築の名残が感じられる建物です。



コリドーの様子。カフェ「チャイコフスキー」が併設されています。



日本でもおなじみ指揮者ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーの85歳を記念するコンサートのポスター。
彼を祝うポスターはここだけでなく、ボリショイ劇場をはじめいたるところで見かけました。
モスクワの全楽壇が祝福しているようです。



チャイコフスキーとくれば「モスクワ音楽院」。
付属のコンサートホールには有名作曲家の大きな肖像画が掲げられており、その中にはリムスキー=コルサコフもあります。
残念ながら今回は見送り。次回訪れる時の楽しみに取っておきます。



続いて「ガリーナ・ヴィシネフスカヤ記念オペラ・センター」。
ボリショイ劇場の名花と呼ばれた著名なソプラノ歌手の名前を冠しています。



私はモスクワに行って初めて知った存在だったのですが、オペラ歌手の育成の他、コンサートなども行っているようです。
ちなみに下のポスターに掲載されているオペラは、左上から時計回りにリムスキー=コルサコフ《皇帝の花嫁》、グノー《ファウスト》、ヴェルディ《リゴレット》、チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》、ビゼー《カルメン》、チャイコフスキー《イオランタ》です。



音楽関係の劇場だけでもご紹介できないものがまだありますが、これからは音楽劇場以外のものも見ていきましょう。


まず「マヤコフスキー劇場」。モスクワ音楽院の近くにあります。



日本でも愛好者の多い革命詩人マヤコフスキーの名を冠しています。
アヴァンギャルドな名前に違和感ありまくりですが、演劇のための由緒ある劇場です。
ゴーゴリの作品などに定評があるようですね。

こちらはアルバート通りに面する「ヴァフタンゴフ劇場」。



ここまでくると、私もチンプンカンプンでまったく知らない世界ですが、名前を冠されたヴァフタンゴフはスタニスラフスキーの弟子だとか。
ここも由緒あるモスクワの劇場のようです。

「ナーツィ劇場」。訳すと国民劇場でしょうか。
赤を基調にした民族風の外観はマヤコフスキー劇場にそっくりですが、こちらは19世紀後半に設立された劇場で、かつては個人所有のものだった(!)らしいですよ。




地図を見ると劇場はまだまだたくさんあります。それだけ需要があるということなのでしょう。
モスクワっ子は音楽にバレエ、演劇と、ひいきにしている演奏家やダンサー、役者を観に劇場に足しげく通ったりしているのでしょうね。


さあ、そしてラスボスはもちろん「ボリショイ劇場」。
大幅なリニューアル工事を経て蘇った、ロシアのオペラ・バレエの総本山ともいうべき大殿堂です。



今回は見たい演目がなかったので観劇はしませんでしたが、個人的にはどこかふわっとした感じのマリインスキー劇場よりもボリショイの重厚なサウンドの方が好み。
ボリショイで観たいのはもちろんリムスキー=コルサコフの作品ですが、バレエではプロコフィエフの《イワン雷帝》ですね。

私ははじめバレエには全然関心がなく、チャイコフスキーなどのバレエを観ていても少しも面白いと思わなかったのですが、ある時ボリショイの《スパルタクス》のテレビ放映を観て衝撃を受け、以後男性陣が主役になる演目や《春の祭典》みたいなイカれた作品ならば好んで観たりしています。
ボリショイの《スパルタクス》は日本公演をしてくれましたが、《イワン雷帝》も生でぜひ観てみたい作品です。

ところで、ボリショイ劇場には影武者?があり、それがこちらの「ボリショイ新劇場」。
ちっとも新しくないですが、本家の大改装中にはこちらで公演を行い、工事完成後もそのままサブステージとして用いられるようになったそうです。



おまけですが、知る人ぞ知るボリショイ劇場近くの地下道に設置された日本の自動販売機!



私が初めていった海外旅行はフランスでしたが、日本では当たり前のようにあるコンビニや自動販売機が無いことにびっくりしたものです。まさにカルチャーショックでしたが、どちらかといえば日本が少数派だったということを後から知ったものでした。

ここモスクワでも自動販売機は見かけませんでしたが、こんなところに日本語表示のままダイドーの機械が設置されているのを見て、なんだかうれしくなりましたよ。
もっとも、飲み物の金額は日本の倍くらいしましたので、どれほど利用されているのかは不明ですけど。

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