海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

Opera Explorerの楽譜

2010年09月13日 | 楽譜
掲示板で教えていただいた「Opera Explorer」の楽譜を入手しました。

http://www.musikmph.de/musical_scores/composers_sales/scorelist_eng.htm#opexp


以前ご紹介したElibronの楽譜に比べるとかなり高い買い物ですが、このところの円高傾向もあって、ようやく注文。
驚いたことにネットで注文して1週間ほどで届けられました。
海外サイトに楽譜を注文すると、半年1年は当たり前、忘れたころに届けられる...なんてことが普通でしたから、隔世の感?がありますね。

この「Opera Explorer」ですが、どういうわけかリムスキー=コルサコフの作品に肩入れをしていてくれて、彼の15作ある歌劇のうち、フルスコアで実に10作品を提供してくれています。
出版された作品に《貴族夫人ヴェーラ・シェロガ》や《パン・ヴォエヴォーダ》のようなマイナー作品があるかと思えば、《皇帝の花嫁》がなかったりと、これら10作品がどのような価値判断で選択されたのかは謎ですが、現時点ではここでしか購入できないものがほとんどですから、貴重なものであることには変わりありません。

さて、今回のお目当ては《セルヴィリア》。古代ローマを舞台にした作品です。
すでにヴォーカルスコアは手に入れていて、MIDIのデータ化もしたのですが、全部は無理にしても部分的にはオーケストラのMIDIデータ化もしてみたいとずっとくすぶっていたのですが、この超マイナー作品の総譜を手に入れるのは、東京文化会館の音楽資料室の蔵書をコピーするしか手はなく、さすがにそんな根性もなくてあきらめていたのですが、思わぬところから手に入ったという次第。

取り寄せてみてわかったのですが、楽譜の中身自体は60年代に旧ソ連時代に出版されたリムスキー=コルサコフ全集のコピーでした。
総譜が上下巻2冊で、それに台本の英訳がつくという3冊構成。大きさはB5サイズくらいでしょうか。
今回は《ムラダ》と《キーテジ》も同時に購入しましたが、同様の構成。ただし、《キーテジ》の台本は仏訳となっており、そのあたりの統一はとれていません。

まあ、これで老後の?楽しみのネタは確保できたわけで、MIDIにもぼちぼちと入れていこうと思っています。




Elibronの楽譜

2008年01月30日 | 楽譜
ネットで注文しておいた楽譜が届きました。
今回はElibronというサイトでオンライン注文しておいたものです。
私の目当てはもちろんリムスキー=コルサコフ。彼の作品、例えば弦楽四重奏第1番のスコアをはじめとする貴重な楽譜を今回手に入れることが出来ました。

Elibronはあまり知られていないようですが、現在はここでしか入手できないような楽譜がたくさんありますね。
例えばセザール・キュイのオペラのボーカルスコアなど。sheetmusic plusなど大手のサイトではまずお目にかかれないものです。

ということで、Elibronの特徴としては、「貴重な楽譜が多い」ことの他に「馬鹿みたいに安い」といったことがあげられるでしょうか。
安いということでは、大手通販サイトから入手する場合よりも数分の一で済むというような感じです。

リムスキーの楽譜でいえば、ベッセルやベリャーエフから出版されていたものをコピーして製本した体裁(ファクシミリ版と言うのでしょうかね)ですが、モノクロながら昔風の凝った扉もそのまま載っていたりして興味深いものがあります。

実は、このサイトへはずいぶん前にネットで注文していたのですが、しばらく音沙汰がなく、数カ月後に状況確認をしたらいつの間にか勝手にキャンセル扱いとなっていておりました。
すぐに再注文したのですが、今度はおそらくサイト側の問題で注文内容が送信できず...。

そんなこんなで半分あきらめていたのですが、少し前にサイトを一新したようで、今度は問題なく注文できました。
まあ、多少アヤシイところがあるものの、とりあえずのところは楽譜が無事届いてホクホク気分です。

Belaieffの楽譜

2008年01月01日 | 楽譜
ミトロファン・ベリャエフ(1836~1904)は19世紀ロシアの裕福な材木商で、ロシア音楽の発展に多大な貢献をした人物として知られています。

いわゆる「五人組」が解消してしまったあとは、ベリャエフを中心にリムスキー=コルサコフやグラズノフ、リャードフといった面々からなる「ベリャエフのグループ」という一派が、バラキレフのグループに代わってペテルブルクの音楽活動の中心的役割を担っていくことになります。

リムスキー=コルサコフはベリャエフを評してこう記しています。

ベリャエフは富裕な商人で、自己流な奇説を多く持っていたが、同時に正直な親切な人で、露骨に不作法であったが、勿論物優しい心を持っていた。懇篤な親方で、人をよくもてなす人であった。しかし彼が人を惹き付ける力は、彼が寛大な親切心を持つためでも、他人を養成し得るためでもなかった。それは彼の性質が同感的な魂を持っていることは別として、彼の無限な音楽愛好と音楽への執着心のためであった...(服部龍太郎訳『わが音楽生涯』昭和18年春陽堂)

ベリャエフはロシア音楽の普及発展のためにライプツィヒに出版会社を設立し、そこから数多くのロシア音楽が世に紹介されることになったわけです。
このベリャエフ出版は設立100周年を機に楽譜出版大手のPetersに引き継がれることになったようですが、現在でもポケットスコアなどが入手できます。

ちなみにリムスキー=コルサコフの作品で現在手に入るのは次の作品です。

BEL 140 《スペイン奇想曲》ピアノ編曲(2手)
BEL 141 《シェヘラザード》ピアノ編曲(2手)
BEL 188 ピアノ協奏曲嬰ハ短調(伴奏ピアノ編曲)
BEL 198 《ロシアの主題による協奏的幻想曲》(伴奏ピアノ編曲)
BEL 212a 歌劇《サトコ》よりピアノとヴァイオリン編曲
BEL 229 管楽器とピアノのための五重奏曲
BEL 332 《スペイン奇想曲》作品34
BEL 333 《シェヘラザード》作品35
BEL 334 《ロシアの復活祭》作品36
BEL 403 ピアノ協奏曲嬰ハ短調、作品30
BEL 404 《ロシアの主題によるシンフォニエッタ》作品31
BEL 471 《ムラダ》組曲
BEL 509 歌劇《モーツァルトとサリエリ》ヴォーカルスコア
BEL 510 交響曲第3番ハ長調、作品32
BEL 527 《見えざる町キーテジ》組曲

他にもボロディン、グラズノフ、グリンカ、リャードフ、スクリャービンなどの作品もありますね。

そして、ベリャエフのグループに集まった音楽家たちには、仲間同士の合作による作品がいくつか残されています。
《ロシアの主題による変奏曲》として、オーケストラ曲、弦楽四重奏曲、ピアノ曲(用いられている「ロシアの主題」はそれぞれ異なります)があるほか、ベリャエフのために作曲された《ベリャエフの主題による弦楽四重奏曲》、弦楽四重奏曲《命名日》、あるいは《金曜日》といった作品集や《変化のない主題によるパラフレーズ》といった3手のピアノ曲などです。

これらの作品はどちらかというとお気軽に楽しむといった感じのものなのでしょうけど、変奏の一つひとつをとってみても作曲家の個性が表れているようで興味深いです(本当はそこまでわかりませんけど)。
これらの作品もベリャエフ(Peters)から出版されているものがあります。

BEL 233 B-la-Fの主題による弦楽四重奏曲
BEL 240a/b 《金曜日》弦楽四重奏のための作品集III
BEL 412 《管弦楽のためのロシアの主題による変奏曲》
BEL 413 《弦楽四重奏のためのロシアの主題による変奏曲》

すべてというわけではありませんが、メジャーな作品は楽譜屋さんでも見かけることが結構あります。
グレーの表紙にmpb(ベリャエフのイニシャル)をあしらった共通のデザインですので、店頭でも見つけやすいと思いますよ。


[この記事は「リムスキーダイスキー」に掲載していたものに加筆修正して再掲しました]