海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

リムスキー=コルサコフのピアノ作品全集

2020年12月02日 | ピアノ曲
POLYMNIEというレーベルから、リムスキー=コルサコフのピアノ作品全集の2枚組CDがリリースされていました。
おフランス製らしくジャケットデザインもなかなかオサレです。

リムスキー=コルサコフ: ピアノ作品全集(tower.jp)
アンゲラン=フリードリヒ・リュール=ドルゴルキー(ピアノ)





リムスキー=コルサコフのピアノ作品全集としては、以前ご紹介したLaura Oppedisanoの演奏によるソロ全集がありました。
その全集が習作的な作品も含めたカタログ的な構成になっていたのに対し、今回のアルバムは、ソロ作品は作品番号のついたものを中心にしているようで、漏れた作品もいくつかあるので、厳密には「全集」とは言いがたい面はあります。
とはいえ、珍しい作品もいくつかありますので、それらをご紹介していきましょう。

今回の目玉はピアノ伴奏版のピアノ協奏曲が収録されている点。
リムスキー=コルサコフのオケ伴奏のピアノ協奏曲はすでに何点もCD化されていますが、ピアノ伴奏版はYouTubeにアップされているものがあるものの、CDとしては初出です。
解説には詳細が記されていませんが、おそらくBelaieffから出版されている作曲者自身の編曲によるものと思われます。

小品としては《ミーシャの主題による変奏曲》が初音源化されました。以前の記事でもご紹介した愛らしい作品です。

さらにリムスキー=コルサコフをはじめとするベリャーエフ・グループの作曲家たちの合作による《ロシアの主題による変奏曲》(アブラミチェフの主題に基づく変奏曲)も収録されていて、全曲はMarco Rapetti盤に続いて2つめとなります。
この主題を用いた変奏曲については、面白いことにリュール自身の作曲した作品も一番最後に収められています。
ちなみにですが、IMSLPにこの《ロシアの主題による変奏曲》の楽譜が掲載されていました。
なかなか探し当てられなかったものですが、ようやく日の目を浴びることになりましたね。

Rimsky-Korsakov, Winkler, Blumenfeld, Sokolov, Vītols, Lyadov and Glazunov

リムスキー=コルサコフ以外にボロディンとムソルグスキーの作品も1曲ずつ入っていますが、これは演奏者自身の好みでしょうか。

全体的に演奏は自由奔放な印象で、今までに聴いた他のピアニストのものとはまるで違う感じがしました。
まだじっくり聴いたわけではありませんが、リムスキー=コルサコフの《メヌエット》など、曲によっては多少のアレンジが加えられているかもしれません。

何はともあれ、あまり知られていないリムスキー=コルサコフのピアノ作品が世に出されたことをまずは歓迎いたしましょう。