オーバーホール&改造品の使用結果
Blog第26回で紹介した改造アクアスクータ2台を、本15年9月末からの遠征で使用した。
アクアスクータはうねりの中は平気だが、海への出入りは危険で却って足手まといになる。そして叩き付ける風波に向かっての移動は辛いが、普段ならあきらめるポイントへの移動を可能にしてくれる。しかも獲物を曳いて500m以上移動するなど、高齢突きん坊としては改めて大変有難さを実感した。
その肝心の調子だが:
オーバーホールと覗き窓の増設をした1号機=主機 は水中ですぐエンストを繰返して使い物にならなかった。浸水は無いようだったが、プラグがひどく燻っていた。焦ってすぐにそれは放り出し、2号機=予備機を専ら使った。何せ獲物が豊富で狂瀾怒濤の日々であったため、夜間も余りの疲労で1号機を点検する元気もなく、そのまま持帰ることになった。
予備機=2号機 は覗き窓を設け、ホース排気式に改造したものだが調子は非常によく、水面でも1発始動が可能だった。ただ、始動した本機を持って、2mの岸壁から梯子伝いに降りようとして、自分と一緒に落下してしまった事が有る。スノーケルが水面に突っ込んだが、手から離れて起上った本機は水を被った?まま、円を描き数メートル進んだところでエンストしてしまった。
この時に覗き窓が早速役立ち、エアタンクへの大量の浸水(と言っても500ccもない様だった)が見えたので、ボードに載せて水抜きをした・・・・しかしその後始動出来ない。すぐに上陸しプラグを外してみたところ燻っていたが、シリンダ・クランク室に浸水は無い様だった。
折角うねりがやっと収まった絶好のポイントを目の前にしているので、無駄な努力はせず、さっさと新品プラグに交換してたちまち問題解決、直ちに出撃となった。
遠征後の整備
この時の予備機 のトラブルは、落下した時にスノーケルから吸った水が少しだが飛沫としてそのままシリンダにまで吸込まれてプラグを濡らしたものだろう。
トラブル防止には本機を陸上で始動し、そのまま入水するのが楽だが、この時のような場合は陸上で始動してちょっと吹かし、止めて水面に降ろしてからすぐ再始動という手順を踏むべきだったと反省している。
その時の、一瞬で?燻った予備機のプラグ

これをパーツクリーナとワイヤブラシで掃除したが、通例の如くあまりきれいにならない。隠れている碍子部分の汚れも相当なものだ。以前は砂状の研磨剤を吹付けるプラグクリーナが整備工場にあったが、最近はプラグの長寿命化で設置の必要が無いらしい。イタリアのフォーラムでは、硝酸で洗わぬ限りきれいにならないという記述があったが、そこまですることも無いだろう。

この予備機は順調に使った後なので、他には可動部に注油した程度で事後整備はしていない。次の遠征まで時々始動して様子を見ることにしている。だがBlog第23回で紹介した1号機の残滓には懲りているのでマフラの掃除だけはしてみた。
次の写真はマフラに排気ホースからガソリンを入れてゆすぎ、一緒に排出した廃液。海で使用中に排気ホースを見ていると、どんどん液体が排出されているので、本来それ程たまることは無い筈だが、かなりの水を含んだ廃液だ。海水なのか、燃焼に伴って生成された水なのか?塩分でも測れば(なめてみる?)判るかもしれない。

1号機はエンストを繰返して実質的に運転しておらず、廃液もなかった。
普段なら調子が悪ければ、錆を心配してシリンダにオイルを滴下して持帰るのだが、今回はその気力も無く、また2台だったので宅配便でそのまま発送、届いたのは何と4日も経ってからだった。離島への持込は苦労が多い。
そのプラグを見るとかなり燻っている。

パーツクリーナとワイヤブラシで掃除してもこんなものだが、一応使へるようにはなった。

決して調子が良いとは思へなかったが、更に数日経って水中試験してみたところ始動も問題なく、そのまま水中運転が出来る。狭い場所で苦労しているのが判ってしまう写真だが、この様に簡易ポンプでスノーケルから加圧しても漏れは無い。

こうなると典型的な原因不明の状態で、これではまた現場で悩まされることになるかもしれない。それでも一応原因として、プラグがたまたま被り、或いは燻った事だと判断し、これも時々始動試験しながら、次回遠征では新品プラグを付けてこの1台を使う積りだ。
曳航ロープの取付場所
ところで、以前紹介した尻ひもだが、今回は波で強く叩かれること、また魚の負荷も大きくて本機の姿勢が前上がりになりがちだった。そうすると空気を吸込み、グワングワンと回転が変動し滑らかな動きでなくなる。
あまりにひどいので、尻紐をハンドルの下部に取付けてみたが、今度は前が沈み過ぎて支える腕が痛む。結局尻紐は静かな場所だけで使う様にした。
そんなわけで、帰宅後はこの曳航ロープの取付場所を変更した。プロペラによる噴流の中心に取付ければ姿勢変化はないが、便宜上小笠原の仲間の方式を真似て、吸込口から噴出口に懸けてダイニーマ紐またはケブラー紐を結ぶ簡単な方式に改造した。


細い紐を使ったので抵抗は大したことは無いが、細いせいでいかにも機体のあちこちに引っ掛かりそうに感じる。使ってみて改善すれば良いことだが。
これは仲間の物で、紐の擦れ対策などしっかりした造りになっている。

こちらはイタリアでの例で、梵天を使わず、銃にリールという使い方なので、目的が違うが、一応紹介まで。


元ページを見れば分かるが、両側のパイプは水中銃を保持する為の物で、こんなのが自分に向って来たら怖くてたまらない、危険一杯だ。
http://digilander.libero.it/pesca_sub/aquascooter.htm
その他
過去の破損部の写真追加
Blog第11回スタータ編 でスタータケースのブラケットがひび割れし浸水する故障を紹介したが、画像フォルダにこの「ひびが判り易い」写真1葉が何故か表示されていないことに気付いた。併せて参照して欲しい。

真鍮ブッシングの周りもひびが入り、いかにもボルトの締付過ぎで割れたことを疑わせる。
やみくもに締めすぎないよう注意が必要だ。
次は無くもがなの情報だが、以前紹介した本機のウオルブロ(ワルボロと呼ぶ方が多い)のキャブ写真だ。ガスケットで隠れる部分の黄色円内にJAPANの刻印があり、どこか専業メーカーに下請けさせているのかとずっと思っていた。しかし何のことは無い、日本ウオルブロ(株)が宮城県にあり、そこで作っているらしい。

製品に関する問い合わせは、あくまで装置メーカーへとHPにあり、トラブル多発のこの製品の、微妙な修理・調整などの技術情報を直接得られると有難いが、無理らしい。
今回不調だった1号機=主機が遠征で使へるかどうか、漁獲がどうかなどを次回投稿出来れば良いと思っています。
Blog 第27回 改造結果 終り =小坂夏樹=
Blog第26回で紹介した改造アクアスクータ2台を、本15年9月末からの遠征で使用した。
アクアスクータはうねりの中は平気だが、海への出入りは危険で却って足手まといになる。そして叩き付ける風波に向かっての移動は辛いが、普段ならあきらめるポイントへの移動を可能にしてくれる。しかも獲物を曳いて500m以上移動するなど、高齢突きん坊としては改めて大変有難さを実感した。
その肝心の調子だが:
オーバーホールと覗き窓の増設をした1号機=主機 は水中ですぐエンストを繰返して使い物にならなかった。浸水は無いようだったが、プラグがひどく燻っていた。焦ってすぐにそれは放り出し、2号機=予備機を専ら使った。何せ獲物が豊富で狂瀾怒濤の日々であったため、夜間も余りの疲労で1号機を点検する元気もなく、そのまま持帰ることになった。
予備機=2号機 は覗き窓を設け、ホース排気式に改造したものだが調子は非常によく、水面でも1発始動が可能だった。ただ、始動した本機を持って、2mの岸壁から梯子伝いに降りようとして、自分と一緒に落下してしまった事が有る。スノーケルが水面に突っ込んだが、手から離れて起上った本機は水を被った?まま、円を描き数メートル進んだところでエンストしてしまった。
この時に覗き窓が早速役立ち、エアタンクへの大量の浸水(と言っても500ccもない様だった)が見えたので、ボードに載せて水抜きをした・・・・しかしその後始動出来ない。すぐに上陸しプラグを外してみたところ燻っていたが、シリンダ・クランク室に浸水は無い様だった。
折角うねりがやっと収まった絶好のポイントを目の前にしているので、無駄な努力はせず、さっさと新品プラグに交換してたちまち問題解決、直ちに出撃となった。
遠征後の整備
この時の予備機 のトラブルは、落下した時にスノーケルから吸った水が少しだが飛沫としてそのままシリンダにまで吸込まれてプラグを濡らしたものだろう。
トラブル防止には本機を陸上で始動し、そのまま入水するのが楽だが、この時のような場合は陸上で始動してちょっと吹かし、止めて水面に降ろしてからすぐ再始動という手順を踏むべきだったと反省している。
その時の、一瞬で?燻った予備機のプラグ

これをパーツクリーナとワイヤブラシで掃除したが、通例の如くあまりきれいにならない。隠れている碍子部分の汚れも相当なものだ。以前は砂状の研磨剤を吹付けるプラグクリーナが整備工場にあったが、最近はプラグの長寿命化で設置の必要が無いらしい。イタリアのフォーラムでは、硝酸で洗わぬ限りきれいにならないという記述があったが、そこまですることも無いだろう。

この予備機は順調に使った後なので、他には可動部に注油した程度で事後整備はしていない。次の遠征まで時々始動して様子を見ることにしている。だがBlog第23回で紹介した1号機の残滓には懲りているのでマフラの掃除だけはしてみた。
次の写真はマフラに排気ホースからガソリンを入れてゆすぎ、一緒に排出した廃液。海で使用中に排気ホースを見ていると、どんどん液体が排出されているので、本来それ程たまることは無い筈だが、かなりの水を含んだ廃液だ。海水なのか、燃焼に伴って生成された水なのか?塩分でも測れば(なめてみる?)判るかもしれない。

1号機はエンストを繰返して実質的に運転しておらず、廃液もなかった。
普段なら調子が悪ければ、錆を心配してシリンダにオイルを滴下して持帰るのだが、今回はその気力も無く、また2台だったので宅配便でそのまま発送、届いたのは何と4日も経ってからだった。離島への持込は苦労が多い。
そのプラグを見るとかなり燻っている。

パーツクリーナとワイヤブラシで掃除してもこんなものだが、一応使へるようにはなった。

決して調子が良いとは思へなかったが、更に数日経って水中試験してみたところ始動も問題なく、そのまま水中運転が出来る。狭い場所で苦労しているのが判ってしまう写真だが、この様に簡易ポンプでスノーケルから加圧しても漏れは無い。

こうなると典型的な原因不明の状態で、これではまた現場で悩まされることになるかもしれない。それでも一応原因として、プラグがたまたま被り、或いは燻った事だと判断し、これも時々始動試験しながら、次回遠征では新品プラグを付けてこの1台を使う積りだ。
曳航ロープの取付場所
ところで、以前紹介した尻ひもだが、今回は波で強く叩かれること、また魚の負荷も大きくて本機の姿勢が前上がりになりがちだった。そうすると空気を吸込み、グワングワンと回転が変動し滑らかな動きでなくなる。
あまりにひどいので、尻紐をハンドルの下部に取付けてみたが、今度は前が沈み過ぎて支える腕が痛む。結局尻紐は静かな場所だけで使う様にした。
そんなわけで、帰宅後はこの曳航ロープの取付場所を変更した。プロペラによる噴流の中心に取付ければ姿勢変化はないが、便宜上小笠原の仲間の方式を真似て、吸込口から噴出口に懸けてダイニーマ紐またはケブラー紐を結ぶ簡単な方式に改造した。


細い紐を使ったので抵抗は大したことは無いが、細いせいでいかにも機体のあちこちに引っ掛かりそうに感じる。使ってみて改善すれば良いことだが。
これは仲間の物で、紐の擦れ対策などしっかりした造りになっている。

こちらはイタリアでの例で、梵天を使わず、銃にリールという使い方なので、目的が違うが、一応紹介まで。


元ページを見れば分かるが、両側のパイプは水中銃を保持する為の物で、こんなのが自分に向って来たら怖くてたまらない、危険一杯だ。
http://digilander.libero.it/pesca_sub/aquascooter.htm
その他
過去の破損部の写真追加
Blog第11回スタータ編 でスタータケースのブラケットがひび割れし浸水する故障を紹介したが、画像フォルダにこの「ひびが判り易い」写真1葉が何故か表示されていないことに気付いた。併せて参照して欲しい。

真鍮ブッシングの周りもひびが入り、いかにもボルトの締付過ぎで割れたことを疑わせる。
やみくもに締めすぎないよう注意が必要だ。
次は無くもがなの情報だが、以前紹介した本機のウオルブロ(ワルボロと呼ぶ方が多い)のキャブ写真だ。ガスケットで隠れる部分の黄色円内にJAPANの刻印があり、どこか専業メーカーに下請けさせているのかとずっと思っていた。しかし何のことは無い、日本ウオルブロ(株)が宮城県にあり、そこで作っているらしい。

製品に関する問い合わせは、あくまで装置メーカーへとHPにあり、トラブル多発のこの製品の、微妙な修理・調整などの技術情報を直接得られると有難いが、無理らしい。
今回不調だった1号機=主機が遠征で使へるかどうか、漁獲がどうかなどを次回投稿出来れば良いと思っています。
Blog 第27回 改造結果 終り =小坂夏樹=