上越中央法律事務所
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弁護士と経済学者有志による緊急声明
声明は、「行政や司法の公平性が著しく歪められて」いる現状は、ビジネスにとっても重大な悪影響があると指摘しています。
また、三権分立や立憲主義が政府と国会の多数派の横暴によって蹂躙されているもとで、共謀罪法案を成立させようとしていることは「戦慄すべき事態である」とも述べています。
そして、森友学園・加計学園問題など「公権力と公有財産私物化の疑惑を、国会で徹底的に究明すること」を求めています。
著明なビジネスロイヤーや経済学者とともに、当事務所の田中篤子弁護士も呼びかけ人に名前を連ねていますので、ご紹介します。
弁護士と経済学者有志による緊急声明
今国会で何度となく取り上げられた森友学園問題や加計学園問題などから明らかな通り、今や日本では首相官邸そのものによって、行政や司法の公平性が著しく歪められてしまい、その結果、法の支配が脅かされ、「人による支配」というべき状況が生じている。政権と近い者、政権と縁故を持つ者に対し恣意的に利益が誘導されるという状況は、客観的な予測可能性が乏しくリスク管理が機能しなくなるため、ビジネスにとっても重大な悪影響を及ぼす。
そもそも資本主義社会において何より重要なのは、公平、公正、平等な競争が確保されていることにある。これが確保されず、縁故による優遇が入り込めば、新規参入は行いづらく、海外企業の参入も阻まれ、ビジネスの健全な発展が阻害されることは明らかである。安倍政権がここまでコンプライアンス遵守の精神が乏しいというのは、極めて由々しき事態である。また、ビジネスにおいては、計画したプロジェクトの実行についてその結果及びリスクの予測可能性が不可欠であるが、金融商品取引法や税法違反の罪についてまで要件のあいまいな共謀罪が創設されると、ビジネス計画の立案の過程における議論に重大な悪影響を与え、ビジネス活動に対する萎縮効果が大きい。
これほど政治家の質が下がり、政治が乱暴に、政府が横暴になったことはいまだかつて例がない。わが国の民主政治の危機はまさに頂点に達しており、三権分立の原則、立憲主義(法の支配)は政府と国会多数派の数の横暴で蹂躙されていると言わねばならない。この政権が今、市民の自由を脅かし監視社会をもたらす組織犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)を成立させようとしていることは、戦慄すべき事態である。
振り返ってみれば、1990年代以降、「政治主導」によって官僚支配や政官業の癒着を打破することを標榜し、政治改革や行政改革が勧められ、小選挙区制の導入や中央省庁再編などを通じて、首相権限(官邸機能)の強化が進められてきたが、現在の安倍政権で現実のものとなってしまったのは、政治主導でも政官業の癒着打破でもなく、首相個人そして首相夫人による、公権力と公有財産の私物化ではないのか。
法の支配や行政の公平性など、近代国家の土台そのものが、首相官邸によって蝕まれているのではないかという疑惑が国民の間に広がる根強いなかで、強引に国会を閉じて事態の幕引きを測ることは許されない。まずは、共謀罪審議を停止し、森友学園・加計学園問題に関する公権力と公有財産私物化の疑惑を、国会で徹底的に究明することを求める。 2017年6月9日
[呼びかけ人]
久保利英明(弁護士 日比谷パーク法律事務所)
木村庸五(弁護士 日比谷南法律事務所)
濱田邦夫(弁護士 日比谷パーク法律事務所 元最高裁判所判事)
伊藤真(弁護士 法学館法律事務所)
小口幸人(弁護士 元株式会社キーエンス勤務)
武井由起子(弁護士 元伊藤忠商事株式会社勤務)
内山宙(弁護士 元最高裁判所勤務)
上田裕(弁護士 元あさひ銀行勤務)
北神英典(弁護士 元一般社団法人共同通信社勤務)
田中篤子(弁護士 元裁判官)
笹泰子(弁護士 元株式会社国際協力銀行勤務)
岡田知弘(京都大学教授 地域経済学)
平野健(中央大学教授 アメリカ経済論)
永島昴(立命館大学准教授 産業技術論)
水野和夫(法政大学教授 マクロ経済学)
森原康仁(三重大学准教授 国際経営論)
新井大輔(名城大学准教授 金融論)
関耕平(島根大学准教授 地方財政論)
田中幹大(立命館大学教授 中小企業論)
恒木健太郎(専修大学准教授 経済思想史)
永田瞬(高崎経済大学准教授 経営学)
中村真悟(立命館大学准教授 産業技術論)
中本悟(立命館大学教授 経済学)
戸室健作(山形大学准教授 社会政策論)
小堀聡(名古屋大学准教授 経済史)