【声明】政府外務省が原告の入国ビザ発給を拒否!法廷での尋問期日妨害を許さない
2016年9月2日
安倍参拝違憲訴訟弁護団
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京
2013年12月26日に強行された、安倍首相の靖国神社参拝に対して、私たちは633人の原告団と15人の弁護団をもって東京地裁に提訴し、国・安倍晋三・靖国神社を被告とする裁判を闘っています。
これまで8回にわたる口頭弁論が重ねられ、次回(第9回・9月5日)および次々回(第10回・9月12日)の期日においては、原告本人尋問が行なわれることになっています。
ところが、9月1日になって、12日に尋問が予定されていた中国人原告・胡鼎陽さんにたいして、日本の外務省がビザの発給を拒否し、その結果、原告本人が来日し尋問をうけることが不可能になったことが判明しました。私たち、靖国訴訟を闘う原告・支援者および代理人一同は、このことに対して強い怒りと抗議を表明するものです。
今回の訴訟では、中国大陸だけでなく、韓国、ドイツ、香港、台湾、カナダ、オーストラリアなど、多数の海外在住者が原告となっています。安倍首相の参拝行為が、明白な政教分離違反であるだけでなく、アジアと世界の人びとの平和を求める権利をも侵害する、戦争準備行為で あるからにほかなりません。
胡さんは、自身、日本軍の731部隊による細菌戦によって家族を亡くした戦争被害者遺族であると同時に、細菌戦の実態に対する聞き取り調査などをおこなってきた人でもあります。昨年11月に行なわれた国際シンポジウムにおいても、731部隊の細菌戦に関する証言をおこなうために来日を予定していた参加者が、ビザの発給拒否に よって参加できなくなった事件がありました。今回外務省は、裁判をも妨害するという暴挙に出ていながら、ビザ発給拒否の理由を明確に述べていませんが、外務省にとって、日本の侵略の実態を明らかにし、戦争責任を問いなおす行為は忌避されるべきことであって、「日本国に害を及 ぼす行為」であるとみなしているとしか考えられません。
それが侵略戦争を真摯に反省し、そのうえに立ってアジアの平和を構築していく方向性と真逆にあることは明らかです。それと同時に私たちは、今回の外務省の行為が、現在司法の場で審理されている訴訟において、原告本人が法廷において直接証言し、尋問を受ける機会と権利と を、直接的に妨害し奪い去ったものであることを、強調しなければなりません。外務省を含む日本国は本件訴訟の被告でもあり、その意味では当事者でもあります。行政の恣意的で不当な行為によって、司法が侵害されたことを、けっして許してはなりません。
私たちは外務省の不当な行為に抗議するとともに、裁判所に対しても事態の重大性を直視し、行政の介入をはねのけて正当な審理を尽くすよう、重ねて要求します。
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