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http://digital.asahi.com/articles/ASH1T5F6NH1TUTIL01C.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1T5F6NH1TUTIL01Cより転載
「I AM KENJI」 解放願う声、世界に広がる
2015年1月26日05時07分
どうか無事で帰ってほしい。「イスラム国」に拘束された後藤健二さん(47)への祈りを込めて、「I AM KENJI(私はケンジ)」と掲げた写真を交流サイトに投稿する動きが世界に広がっている。殺害情報が伝えられた湯川遥菜さん(42)のゆかりの人たちは「間違いであってほしい」と声を震わせた。
シリア人のムーサ・アムハーンさん(33)は交流サイト「フェイスブック(FB)」に写真を投稿した。青い文字で「I AM KENJI」と手書きした紙を両手で胸の前に掲げた自身の写真だ。
トルコの難民キャンプを取材する後藤さんの通訳を務めたのは3年前。その後、政府軍のヘリ攻撃で村民らの多くが殺されたシリア北部の村に同行した。暴力にさらされる子どもたちの世界への「窓」にしようと、パソコンを置いて使い方を教えるプロジェクトも一緒に立ち上げた。
シリア内戦の現場で涙を流していた後藤さんの姿が忘れられない。プロジェクトに2千ドルを寄付してくれたのに、「自分の名前は出さなくていい」とも言われた。「ケンジは人間味にあふれていた。みんなが愛している。また会いたい」。「兄弟」と呼び合う後藤さんの解放を祈る。
「ケンジはこんな目に遭うべき人間ではない」。イラク人のムフセン・サルマンさん(44)もFBに写真を載せた。2004年から2年間、内戦状態になった首都バグダッドで家を追われる人たちの取材などに、通訳として同行した。
その後、一家でイラクを脱出してからも後藤さんは頻繁に連絡をくれた。「ケンジはイラク人の苦しみを世界に訴えようとしてくれた。彼が家族のもとに帰れるよう祈るばかりだ」
投稿を呼びかけたのは、米ニューヨークの映像制作会社代表、西前拓さん(52)。仏週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件の後、フランス国内で「私はシャルリー」のメッセージを掲げる動きが広がったことに着想を得た。「私はケンジ」は、後藤さんの無事救出の祈りであり、後藤さんへの連帯のしるしだ。
難民に関する番組制作などで後藤さんとは10年以上親交がある。「彼はとにかくビッグスマイルで、正義感にあふれた人。投稿が『イスラム国』の目にとまれば、健二はこんなに愛されているやつだとわかってもらえるはず」。写真を紹介する専用ページを20日、FBに開設した。
「私にできることはあまりないけれど、これだったら」。大阪市に住むデザイナー伊達美寿保(みずほ)さん(41)は後藤さんと面識はないが、ネットで活動を知り、参加を決めた。神奈川県葉山町の今村直樹さん(37)も、だ。「後藤さんのようなジャーナリストがいるからこそ、私たちは中東の厳しい世界を知ることができる。声が集まり、束ねられ、世界に届いてほしい」
何が起こっても、シリアの人たちに何も責任を負わせないでください――。後藤さんが現地入りする際にシリア人男性に託した言葉に、同じジャーナリストとして共感したというのは、東京都在住の神田敏晶さん(53)だ。04年にバグダッドで撮った写真に、フランス語で「私はケンジ」とのメッセージを付けた。
連帯は著名人にも広がっている。
東大大学院教授のロバート・キャンベルさん(57)は25日、独自に「I AM KENJI」のメッセージを自身の公式ページに掲げた。「生きていて、という気持ちをシンプルに示したつもり。個の連帯感を一人ひとりが示すことは大切ではないか」と語る。
「私はケンジ」の専用ページには同日夜時点で約300枚の写真が掲載されている。ぬいぐるみにメッセージを持たせたり、数人で「WE ARE KENJI」と表現したり。共感を示す「いいね!」ボタンを押した人は7千人を超えた。ツイッターでの発信も広がっている。