異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

伊集院静 「デモをする若者に感じる頼もしさ」

2015-08-27 16:26:19 | シェアー

先週の『週刊現代』の連載で、伊集院静氏がこの前の「高校生デモ」を高く評価する発言をして、あわせて安保法制審議や、従軍慰安婦問題にふれた河野洋平元衆院議長の名古屋での講演要旨を紹介している。ご参考まで。(梁田 貴之さんFB)

伊集院静 「デモをする若者に感じる頼もしさ」
週刊現代 2015年8月29日号
(連載 それがどうした 男たちの流儀 ...第276回)

八月の日曜日、渋谷で高校生が中心になって、安保法案への抗議デモを行なった。
 このデモに大人、大学生も加わり、その数が五千人余だったという。大半は高稜生だ。
 この日は猛暑で。制服を着た若者が汗だくになって、声を、拳を上げていた映像を見て、若者たちを頼もしく思った。
 高校生が抗議デモに参加した報道は、私の記憶では、日米安保条約の延長に対するデモ以来ではないかと思う。
 私がデモに参加したのも高校生の時で原水爆禁止の行進に加わった。広島までは歩かなかったが、やはり汗だくになった。


 今、日本人の大半は、日本という国がかつてのように戦争、紛争に巻き込まれるのではないかという不安と、その法案があれよあれよといううちに国会を通過して行く、国会議員に託したチカラの大きさに驚いているのではないかと思う。
 私たちは三権分立というこの国の基本を学んだが、それが何なのかをもう一度確認しなくてはいけないのだろう。日本人の大半は、自分たちの暮らしとは別の世界に政治があると思っていたのではないか。
 私はすでに六十歳を越えたが、まだ十分に働かなくてばならないし、この国の行く末に暗い雲が見えるようなものを残して去るつもりはない。


 来年から十八歳の日本人に選挙権が与えられる。あらたに加わる選挙権を持つ人の数は二百四十万人である。私ほこの法改正に対して少し疑問を抱いていた。彼らの政治に対する知識・意識が低いのではと思ったからだ。ところが渋谷で抗議デモをする若者を見て、彼らには十分、政治を判断するチカラがあると思った。いや、それ以上に、今の政治状況を変えることができるのは、彼等ではないかと感じた。
 彼等なら、もう何年と国会議員の勝手で野放しになっている一票の格差、国会議員の定歎是正という法に違反しているものもきちんとできるのではないか。

 

 今回の安保法を含めて、先月の二十九日に名古屋で元衆議院議長の河野洋平氏が講演した。その内容が翌日の東京新開催掲載された。以下はその抜粋である。

(安全保障関連性案)安全保障は非常に大事だがこの法案が違憲じゃないかとの疑念が、憲法学者をはじめ多くの人から寄せられている。法案が合憲だという合意ができなかったら議論しても意味がない。政府は一度法案をひっこめ、みんなが基本的に合憲だと認める案の上に、安全保障政策を議論すべきだ。
 私の思う日本の平和主義は、例えば非核三原則や武器輸出三原則といったもの。これらの中心に憲法9条がある。世界では、危険な地域で活動する日本人は少なくないが、そういう人たちを守ってきたのは、日本の平和主義。それをなぜやめるのか、私には理解できない。

(従軍慰安婦問題)従軍慰安婦とされた女性たちは、総じて本人の意思に反し、甘言などでだまされ連れてこられた。慰安所に入れられた瞬間から帰ることができない。一日に何人もの相手をさせられ、拒否することができない。物理的ではなくても、強制的に、断ることができない状況で連れていく。河野談話を発表した当時の記者会見では、そういう広義の強制性を含む意味で強制連行と申し上げた。(中略)問題の本質は強制性の定義ではなく、女性たちにひどいことをしてしまったという人権問題だ。事実を認めて心から謝罪し、できるだけのことをするのが当然。「他の国でもあった」とか「たいしたことじゃない」などと、言えば言うほど、日本の誇りをどんどんおとしめてしまう。

 この他にも、参議院の定議是正についても述べている。これほど理路整然とし、正統な日本語で語られた政治家の講演に感心した。
 河野氏は政活家として盛りの時(総裁選出馬など)、肝臓疾患が見つかり、死を覚悟せねばならなかった。氏は家族からの生体肝移植で奇躍的に命をとりとめた。こういう経験は人間に生きる基本を見直させる。

 私はこの講演録を若者にぜひ読んでみて欲しいと思う。是非は若者が決めればいい。
 そう言えば、田舎の高校生はデモ行進から離れて、帰宅の途中で、お好み焼き屋へ悪ガキと立ち寄って、補導の教師に見つかり、こっぴどく殴られたのを今思い出した。暴力反対!

 

 


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