若い人達はご存知ないだろうが、私が幼い頃の正義の味方と言えば「赤胴鈴之助」「まぼろし探偵」「月光仮面」「ハリマオ」の面々だった。
勧善懲悪の象徴だった。
蔓延る悪に敢然と立ち向かい、バッタバッタと悪者をやっつける正義の味方の活躍に、幼い心を躍らせる日々が嬉しかった。
正義とはそういうモノだと思っていた。
しかし私は長ずるにつれ、正義は勝たなくなってきた。
勝てなくなってきた。
私は落胆してきた。
正義は勝てないんだと、認識せざるを得なくなってきた。
この世の正義は強くないんだと、思わざるを得なくなってきていた。
そんな最中に、一筋の光明が指す機会が有った。
まだ青かった私は、日本もまだ捨てたいものじゃないと、感銘を受ける時もあった。
これは私の思い込みに過ぎない稚拙感に過ぎなかった。
勝手な依存心の発露に過ぎなかった。
ここで諦めれば、私は負け犬でしか生きて行けないと思った。
一個人の想いなど、世間にすればたかが知れてるとの想いはするが、重い冷たい水面でも一石を投ずれば、必ず波紋は起きてくるし、広がってもいく。
小さな波紋に追い風が吹けば、必ず波紋は広がっていく。
そんな生き方しか私には出来ないが、やはりそれでも生きて行く。
そんな生き方で生きて行く。
それが私の生き様だと想うから。