宮子姫(髪長姫)生誕の地として伝わる「九海士(くあま)の里」と呼ばれる御坊市湯川町下富安地内、重力踏切北側にある宮子姫像が同地に移転されてから約20年ぶりにお色直しされた。(株)サンクリエーション=御坊市、角幸彦代表=が善意で施し、9日に地元と同社関係者や小野俊成・道成寺住職らにお披露目され、赤色の十二単を身にまとう色鮮やかに蘇った姿を見て喜んだ。
宮子姫像は、もともと御坊観光センターの名称だった「花ご坊」前に建てられていた。名称変更当時の平成11年、地元の要望を受けた同社が費用を負担して、宮子姫生誕の地である同地に移転し、生誕の地を見守っている。その後、地元の有志らが献花するなど管理を続けていたが、移転時に塗り直されてから20年以上の歳月が経った。
色あせた宮子姫像を気にかけた(株)サンクリの成岩慎吾専務(55)は、同社の天川香苗さん(23)が8代目の宮子姫にも選ばれた縁もあり、地元の人に喜んでもらって、明るい話題を提供しようと塗り直しを地元に打診。ホームペイント日高の協力を得て約10日がかりでお色直しした。
宮子姫像は、移転当時から比べるとかなり色落ちし、下地なども傷んでいたため、下地補修作業を行ったあと、7色の水性塗料を使って重ね塗りした。元々は赤色の十二単をまとっていた像は、移転時に紫色に塗り替えられたが、道成寺の小野住職のアドバイスを受けて赤色の十二単に戻り、高貴な色とされる白色も使用した。
土地提供者で像を管理する山崎庄二さん(88)は「サンクリさんのご厚意は本当にありがたい。宮子姫は市のシンボルで地元の誇り、財産でもあるこの像をいつまでも大切にしたい」と喜び、小野住職は「塗り直しの作業には負担も大きく、サンクリさんには本当に感謝です。地元や道成寺としてもこれを機に道行く多くの人に見ていただき、宮子姫の伝説をもっと知ってもらいたい」と話した。
髪長姫と呼ばれる宮子姫は、海中から観音様を拾い上げたことで髪が生え、文武天皇のきさきとなって子の聖武天皇が道成寺を建立したと伝えられている。宮子姫の生誕地と伝わる同地は「九海士の里」と呼ばれており、宮子姫像の土台部分には和歌山市出身の作家、有吉佐和子さん(故人)が宮子姫と道成寺縁起について記した文面も飾られている。
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