昨年度の「はがき名文コンクール」入選作が発表されていました。
入選作の一部を紹介します。
新型コロナ感染の第6波が懸念され気分も沈みがちですが、作品を読んだら心が温かくなりました。
◆私の姑は99才です
介護を受けながら一人住まいです
「ヤス子さーん今日も頑張れますか」というと
「頑張りますゾ」という
台所へ行く時は姑を真中に「イチニ」「イチニ」とまるで軍団の声かけです
食後には食卓がピアノがわりに君が代独唱
ある日「私一人が死んでいても誰も悪うないけんね」と、ぽつんと言った
私は年齢を重ねた姑への寂しさや切なさを感じた
姑様
あなたの人生が幸せだったと言える様願っています
さあ!! 軍団も頑張るゾ
(広島県73歳女性)
◆スーパーのレジが、突然セルフ方式になり、係の女性達が一斉に消えた。
年金生活の我の唯一の楽しみは、週に一回、勝負服を着てバスで街へ買物に行くこと。
そしてレジで働く彼女達に会うこと。
言葉を交わし、時にはレシートの受渡しで指が触れ、ワクワクすることもあった。
省力化は時流なれど、友のいない独居老人には大ショック。
神様、マドンナ達の解雇を禁止する旨の「御告げ」を
(長崎県74歳男性)
◆ぽろっと落ちた一粒の涙を二十数年経っても忘れられない。
参観日、仕事の都合で給食参観はパスして授業参観だけ行くよと息子に言っておいた。
急いで駆けつけた時、机の上には手つかずの給食があった。
食べてないのと聞いた私の一言で息子の目から涙があふれた。
ああ私を待っていたんだ。
一口も食べずに待っていた思いが突き刺さった。
叶うなら時空を超えて小学校の教室で、小さな可愛い息子と給食をパクパク食べたい。
(長野県62歳女性)
◆母さんごめん、治ったら帰ろうねと言ってたけど旧い家も壊したし 桐の箪笥も入っていた着物ごと処分した。
その施設を出ても帰る所はもうないんだよ。
それと俺 医者から癌だと言われたよ。
退職もしたし自分の事で精一杯になってきた。
母さんの面倒は俺が見るよと言ってたけど間に合わないかもしれない。
長生きしてくれっていつも言ってたのに 天国行きの順番をうまく配慮してくださいと神様にお願いするよ
悲しまないで。まだ大丈夫だから。 息子より
(奈良県71歳男性)
◆一つの願いが叶った日、十カ月にわたるガン治療が終わり退院した日です。
コロナウィルスの影響で迎えは母だけ。
車に乗り込み母が一言
「見てごらん」
周りの車の中から親戚、友人が
「おめでとう!!」と手作りパネルを片手に集まってくれた。
涙がこぼれました。
車のガラス越しに見る言葉の数々
「コロナが終わったらまた旅行にいこうね」
神様、欲張りな私をゆるしてください。
お願いがあります。
(静岡県32歳男性)
◆生まれて来た孫 みなみへ
大阪では難波心斎橋界隈をミナミという。
学校を出てミナミにあった会社に就職したわしは君のおばあちゃんと出会った。
おばあちゃんは笑顔の可愛いすっぴんの19才の少女やった。
仕事が終わり帰り支度をするわしに彼女は
「お好み焼きが食べたい」と言った。
それが全ての始まりや。
40年の時は流れ命は君に受け継がれた。
「みなみ」ええ名前や
大阪一幸せな女になってくれ
(大阪府62歳男性)
◆「鼻血が止まらへん。」と起きてきた朝、夫は即、入院となりました。
コロナ禍で、私は病室に入れず、詰所で着替えを渡す日々。
そんなある日、子供と孫達が鴨川の堤防に立ち、対岸の夫の病室に一生懸命手を振っています。
見ると、看護師さんに体を支えてもらって、じっとこちらを見ている夫の姿が……。
子供達と看護師さんの心配りに涙がこぼれました。
その数日後、夫は亡くなりました。
神様、ずっと会えなかった夫と肩を並べ、鴨川の流れに心を和ませる夢をみたいです。
(京都府73歳女性)
◆夫の遺品の小銭入れから、四つ折りの擦り切れた葉書が出てきた。
なんと差出人は私、それも五十年以上も前の初デートで、ご馳走になったときの礼状か。
さらに葉書の表には、当時の私の職場と、実家の電話番号がメモってあった。
夫は何でもすぐに捨ててしまうのに……。
とうの昔に役に立たないメモなんか……。
ふと末文に気付いた。
「またお会いしたいです。かしこ」と、
書いた覚えはないけれど、
この一言、もう一度夫に届けてください。
(神奈川県78歳女性)
◆「もしもし~ことみですけれど~」
留守電に残された連れ合いの唯一の声。
消えないように大切に大事に保管している。
病いが見つかり四ヶ月で逝ってしまった。
それはないよね ことみ。
「もしもし~ことみですけれど」
「あいよ どうした」
と返事をしたい。
(京都府76歳男性)
◆前略。
廃業の通知を拝受しました。
丁寧な文面で、この間30年に亘るご商売の経緯が良く解りました。
ご苦労様でした。
実は、過日、偶然にもあなた様がこの手紙を投函される姿を目にしました。
寒い朝でした。
物言わぬ郵便ポストに向かって、深く長いお辞儀をしておられましたね!
長い人生の旅路には、折り返しの途中駅が用意されています。
わたしもあなた様と同様に、心に乗換えキップを用意して次の駅に向かう思案を重ねているところです。
共々、体に気をつけて…
草々
(京都府79歳男性)
入選作の一部を紹介します。
新型コロナ感染の第6波が懸念され気分も沈みがちですが、作品を読んだら心が温かくなりました。
◆私の姑は99才です
介護を受けながら一人住まいです
「ヤス子さーん今日も頑張れますか」というと
「頑張りますゾ」という
台所へ行く時は姑を真中に「イチニ」「イチニ」とまるで軍団の声かけです
食後には食卓がピアノがわりに君が代独唱
ある日「私一人が死んでいても誰も悪うないけんね」と、ぽつんと言った
私は年齢を重ねた姑への寂しさや切なさを感じた
姑様
あなたの人生が幸せだったと言える様願っています
さあ!! 軍団も頑張るゾ
(広島県73歳女性)
◆スーパーのレジが、突然セルフ方式になり、係の女性達が一斉に消えた。
年金生活の我の唯一の楽しみは、週に一回、勝負服を着てバスで街へ買物に行くこと。
そしてレジで働く彼女達に会うこと。
言葉を交わし、時にはレシートの受渡しで指が触れ、ワクワクすることもあった。
省力化は時流なれど、友のいない独居老人には大ショック。
神様、マドンナ達の解雇を禁止する旨の「御告げ」を
(長崎県74歳男性)
◆ぽろっと落ちた一粒の涙を二十数年経っても忘れられない。
参観日、仕事の都合で給食参観はパスして授業参観だけ行くよと息子に言っておいた。
急いで駆けつけた時、机の上には手つかずの給食があった。
食べてないのと聞いた私の一言で息子の目から涙があふれた。
ああ私を待っていたんだ。
一口も食べずに待っていた思いが突き刺さった。
叶うなら時空を超えて小学校の教室で、小さな可愛い息子と給食をパクパク食べたい。
(長野県62歳女性)
◆母さんごめん、治ったら帰ろうねと言ってたけど旧い家も壊したし 桐の箪笥も入っていた着物ごと処分した。
その施設を出ても帰る所はもうないんだよ。
それと俺 医者から癌だと言われたよ。
退職もしたし自分の事で精一杯になってきた。
母さんの面倒は俺が見るよと言ってたけど間に合わないかもしれない。
長生きしてくれっていつも言ってたのに 天国行きの順番をうまく配慮してくださいと神様にお願いするよ
悲しまないで。まだ大丈夫だから。 息子より
(奈良県71歳男性)
◆一つの願いが叶った日、十カ月にわたるガン治療が終わり退院した日です。
コロナウィルスの影響で迎えは母だけ。
車に乗り込み母が一言
「見てごらん」
周りの車の中から親戚、友人が
「おめでとう!!」と手作りパネルを片手に集まってくれた。
涙がこぼれました。
車のガラス越しに見る言葉の数々
「コロナが終わったらまた旅行にいこうね」
神様、欲張りな私をゆるしてください。
お願いがあります。
(静岡県32歳男性)
◆生まれて来た孫 みなみへ
大阪では難波心斎橋界隈をミナミという。
学校を出てミナミにあった会社に就職したわしは君のおばあちゃんと出会った。
おばあちゃんは笑顔の可愛いすっぴんの19才の少女やった。
仕事が終わり帰り支度をするわしに彼女は
「お好み焼きが食べたい」と言った。
それが全ての始まりや。
40年の時は流れ命は君に受け継がれた。
「みなみ」ええ名前や
大阪一幸せな女になってくれ
(大阪府62歳男性)
◆「鼻血が止まらへん。」と起きてきた朝、夫は即、入院となりました。
コロナ禍で、私は病室に入れず、詰所で着替えを渡す日々。
そんなある日、子供と孫達が鴨川の堤防に立ち、対岸の夫の病室に一生懸命手を振っています。
見ると、看護師さんに体を支えてもらって、じっとこちらを見ている夫の姿が……。
子供達と看護師さんの心配りに涙がこぼれました。
その数日後、夫は亡くなりました。
神様、ずっと会えなかった夫と肩を並べ、鴨川の流れに心を和ませる夢をみたいです。
(京都府73歳女性)
◆夫の遺品の小銭入れから、四つ折りの擦り切れた葉書が出てきた。
なんと差出人は私、それも五十年以上も前の初デートで、ご馳走になったときの礼状か。
さらに葉書の表には、当時の私の職場と、実家の電話番号がメモってあった。
夫は何でもすぐに捨ててしまうのに……。
とうの昔に役に立たないメモなんか……。
ふと末文に気付いた。
「またお会いしたいです。かしこ」と、
書いた覚えはないけれど、
この一言、もう一度夫に届けてください。
(神奈川県78歳女性)
◆「もしもし~ことみですけれど~」
留守電に残された連れ合いの唯一の声。
消えないように大切に大事に保管している。
病いが見つかり四ヶ月で逝ってしまった。
それはないよね ことみ。
「もしもし~ことみですけれど」
「あいよ どうした」
と返事をしたい。
(京都府76歳男性)
◆前略。
廃業の通知を拝受しました。
丁寧な文面で、この間30年に亘るご商売の経緯が良く解りました。
ご苦労様でした。
実は、過日、偶然にもあなた様がこの手紙を投函される姿を目にしました。
寒い朝でした。
物言わぬ郵便ポストに向かって、深く長いお辞儀をしておられましたね!
長い人生の旅路には、折り返しの途中駅が用意されています。
わたしもあなた様と同様に、心に乗換えキップを用意して次の駅に向かう思案を重ねているところです。
共々、体に気をつけて…
草々
(京都府79歳男性)
しみじみ致します 主人もレジ係りのお姉さんとお話しするの大好きですよ
私はと言うと 無人レジのガイダンスについていけなくて 機械に向かって「ちょっと待って」と機械とお話しています アッハハハ~
スーパーでのセルフレジ導入。
74歳男性の気持ちがよーく分かります。
コロナ禍で非接触は仕方がない面もありますが、やっぱり寂しいですよね。
最後に記載してます79歳男性の想いにも心が打たれました。
「長い人生の旅路には折り返しの途中駅が用意されている」・・・