月亮 代表 我的心
九月になったが、残暑はなお厳しい。
台風がひとつ、ふたつと現れては西へそれ、夕立も思い出したかのように局所ゲリラシャワーをふりまいて、サウナのような湿気が立ち籠る。
それでも九月 日の暮れるのが日一日と早くなり、月の出をそぞろ待つ気がめばえてくる。
表題の「月亮 代表 我的心」(ユエリアン/タイピャオ/ウオディシン)は、テレサテンのヒットチャートテンには入るメロディだが、なぜか日本語の歌詞になったのは少ない。日本語に訳しにくいというか、甘ったる過ぎてアルコールが入っても・・・というところだが、八十有余歳になると厚顔無恥もいいところ、今年のコーラスの新年会の余興で、独唱した!(中国語で・・・)。誰も知らないと思っていたが、上海に在住二年のメンバーがいてあのころよく流行っていましたねえ~、に、ドキッ!!(いまや、中国は、遠い国ではない)。
月に託した乙女の愛の告白だが、お月さまにはお聞き伝えいただけたのだろうか・・・。
今年の中秋節は、10月1日だそうだが、そもそもの由来は平安時代に唐から伝来の風習とか。すすきに丸いお団子を添えての慣習も昨今では薄れてきているが、暑い夏が過ぎて台風などが通り過ぎた空に浮かぶ満月は何か願い事でもかなえてくれそうな安堵感をもたらしてくれる。
本場中国では「月餅」の販売キャンペーンがひと月も前からはじまる。 各家庭で慎ましく一家団らん、丸い「月餅(ユエビン)」をいただくのが基本だが、三十年ほど前の改革開放の初期にはこの月餅の贈呈ブームがおこり、たらい回しから底に人民元の束を忍ばすことも“話題”になった。
キャッシュレスが生活の主流になってきているいまの中国、賄賂もIT(人工知能)のお世話になるのか・・・。
今年はコロナのせいで日本の夏のイベントはすべて中止になったが、先日 中島 恵さんのリポート(8月28日:ダイアモンドオンライン)を見て驚いた。
上海や杭州など中国各地で日本風の“夏祭り”が、早いところでは数年前から行われている由。リポーターの中島さんも中国の友人から写真を送られてはじめて知ったとのことだが“知日”の若者たちが、“貸出し”の浴衣姿で屋台を廻っている。
今年はコロナで日本へ行けなかった、そのうっぷん晴らしが中国の若者たちの、日本式“夏祭り”ブームを盛り上げているようだ。
話は変わるが、遠藤誉さんの「『中国製造2025』の衝撃」(PHP出版、昨年1月刊)を読んで、オドロいている。
いまや「月の世界」を支配しかけているのは、中国とか。
「宇宙空間と通信手段はアメリカとほぼ互角」、「『情報通信』に関しては、中国はいま世界の最先端をいっている」(p269)。
古くなった通信衛星を打ち落として更新しているが、これはアメリカの衛星も打ち落とせる!?
「一帯一路」は、いま「一空一天」をも目指しているのか!
九ちゃんの♪見上げてごらん 空の星を・・・♪の世界をこわす、オソロシイ動きがこの天空を巡っている。
ところで地上の政界、日本は安倍総理の残任期限まではということで落ち着くところに決まるだろうが、アメリカはどうか。コロナ対策よりも人権問題が決め手になるのではないだろうか。
読めないのが中国だが、30年前のあの事件の後「中国包囲網」を崩したのは、日本(海部→宮沢内閣)であり「天皇訪中」が決め手になった。そしてそれを支持して“浦東開発”を喧伝していたわたしたちであったが、ときの外交部長銭其琛の『回顧録』を読んでガクッときた。「日本は最も結束が弱く、天皇訪中は西側諸国の対中制裁の突破口になった」。そして江沢民の言いたい放題の来日発言とその後の「反日愛国教育」。(中国は戦略・戦術に長けているが日本はムード派、温情主義)。
習近平国家主席の語る「中国の夢」は、どうみればいいのか。
5月28日 全人代閉幕のあと、李克強首相の記者会見での発言(テレビ中継)=「(総人口14億のうち)6億人が月収千元前後(@15円)」は、習近平主席の看板政策「今年(2020)、脱貧困、小康社会の全面的実現」が、希望的スローガンに終わることを示唆している。
選挙戦でラッパを吹いているのではない、最高権力者の発言は重い。
実務権力者・李克強総理の発言には、厳しい思いがある。
(2020年9月2日 記)
PS 私事ですが、いま本紙連載のこれまでの「日々徒然」をまとめて、「日々徒然之私記」と題する本を発行準備中です。順調にいけば、来月発行も。新書版より少し大きめの(US 5x7)版。連載(年月日順)を組み替え、どこからでもパラパラと読めるようにしています。表紙はコロナ退治を念じて江戸時代の「アマビエ」の古絵図。
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