暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

出来上がり

2022年06月10日 | 古民家
 傷だらけの柱は・・・刀傷がたまにはあっても、モノを当てた傷や、触り続けて削れて角が優しくなった柱・・・
住いは大切に・・・お母さんが水拭きで毎日磨けば、黒光りする美しい柱になるけれど・・・
掃除する毎日の繰り返しが・・・古民家として趣のある住まいに育てようと思って繰り返した訳でも無く・・・
黒と白のコントラストを造ろうと思って造った訳でも無いようです・・・。

漆喰の白に、古材の黒・・・明かりもままならない暮らしの中に囲炉裏の暖かさ・・・
煮炊きに暖は・・・チロリと灯りにツツンと燻した香り・・・
髪の毛も洋服もみんな香ばしくなる暮らしは・・・ありえないけど・・・
灯りが持つ狭い明かりは・・・こじんまりと廻りを包んでくれる気がします・・・。

昼間でも薄暗い部屋の中は・・・じっくりと眺めて、しっとりと落ち着いて・・・
コロリンと何かを落とせば・・・見つかるのはいつの事やら・・・
生活するにはまことに不便でも・・・暮らすには、ゆっくりとした時間が漂っている・・・。
伝統の住まい造りが規則で造れなくても・・・伝統の住まいを住み継ぐ事は出来て・・・
自然の力を生かした木材を、使って造る住まいは出来るはずで・・・
ツルリと明るい木肌も・・・100年住み繋げれば・・・
いつの間にか古民家の出来上がりです。
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人と人

2022年06月09日 | 古民家
 古い長屋も、小さな社宅も・・・どこか寂しい商店街も・・・
暮らしの中から、少し離れた存在になって・・・
みんなが嬉しそうに豊かになって・・・モノに溢れた中で住まいも簡単になれば・・
その大切さや・・・暮らしに寄り添う役割が見捨てられた来てしまったんだと思います・・・。

空き家も・・・少し前には人が住んでいて、どこかに思い出を持った人たちはいるはずなのに・・・
どうしようもなく・・・行き場の無いさびれた住まいは、ただ静かに大きな箱になっています・・・。
町に活気があったのは・・・その場所で働く人が居て、そこで暮らしを残す人が居て・・・
人もモノも廻る暮らしがあれば・・・長く関係している人も、新しく関わる人にも元気が溢れていました・・・。

昭和の街に懐かしさや・・・新しさを求めて人が集まっているけれど・・・
自分の廻りと・・・暮らす地域を、昭和の街に変えようとする訳でも無く・・・
居場所を探すのでも無く・・・一時の想い出でしかない気がします・・・。
ワラワラと子供がいて・・・プラプラととおじさんが歩いて・・・
ピョンピョンと犬がはねて・・・いそいそお母さんが買い物に出掛ける・・・
いろんな顔の・・・たくさんの年代がクルクルと動いている町が・・・
人と人が寄り添う・・・幸せな町のような気がします。


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ご意見番とルール

2022年06月08日 | 古民家
 小さな町の、小さなパン屋・・・なんでも売ってる雑貨屋さんも・・・
おじいさんにおばあさんんが・・・いつも笑顔で迎えてくれる・・・
困りごとも・・・頼み事も、町のご意見番が良くも悪くもお世話をくれて・・・
やんごとなき事態も・・・大切な催しも、滞り無く流れて行きます・・・。

ご意見番や世話人がいるから、事が問題なく廻って・・・意見する人がいてもいずれは静かにまとまってて行く・・・・
和気あいあいと町が前を向いていた頃には必要でも・・・人が多くなれば繋がりが上手くいかない時もある・・・。
駄菓子屋さんのおばさんの小さな言葉から・・・自然と子供の秩序が生まれるように・・・
そこには小さな町が育っている・・・。

古民家が自然に近い暮らしなら・・・
茅葺屋根のたくさん集まった場所は・・・小さな森の中・・・。
自然のルールを守らないと・・・死の淵へ立たされたり、命がけの時間が目の前に現れたりします・・・。
とても大きな力が現れて・・・自然には無いモノをたくさん落とされてしまうと・・・
昔からその場所にあるルールーが崩れ・・・何かちぐはぐが生まれて・・・
そこには、ご意見番からのお叱りが待っているような気がします。
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無くなる

2022年06月07日 | 古民家
 いろんな生き死にを見守れる暮らしが・・・今では貴重な風習になって・・・
争いごとを身近に受けてしまう、悲しい場所はいなくなってほしいけれど・・・
自然の時間が与えてくれる・・・小さくても・大きくても変わらない、命の移り変わりを・・・
自然から教えてもらえる住まい方が・・・ほんとは大切なんだと思う・・・。

育った家が無くなってしまうと心に沁みるのは・・・どの文化も同じで・・・。
初めて一人暮らしをしたアパートも・・・会社の独身寮も・・・
転勤で、見知らぬ街の真新しい家に自分の部屋が生まれたりした事も・・・
そこそこの大人になって・・・懐かしく尋ねてみると・・・
見上げる大きなマンションに見下ろされると・・・残念な気持ちよりも、大きな見知らぬ力の流れを感じてしまう・・・。

ダム建設で流される古民家はたくさんあって・・・住まいだけでなく、村や町、みんなの記憶が消されてしまうのは・・・
棒が1本立った砂山を・・・・棒も倒さず、ゾりっと根こそぎ取られてしまった気分になる・・・。
家族が暮らした果てしない時間の束を・・・住まいは守り残してゆきます・・・。
30年は当たり前・・・50年でようやく追いついて、60年以上で一番苦労して・・・70・80年でようやく一人前になる・・・
100年以上住み継がれるとは・・・その時々の住人が守り育て、次の時代へと受け渡して・・・
たくさんの思い出や記憶が、タイムカプセルみたいに包んでくれます・・・。
住いの出会いと別れは・・・いろんな生き死にと同じくらい、大切な文化だと思います。

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たまり水

2022年06月06日 | 古民家
 しっとりと・・・水たまりは広がって、長靴がどんなに一生懸命頑張っても・・・
バッチャリと勢いが良すぎる子供の毎日に・・・元気と汚れの力にはかなわない・・・。
雑草と石が転がって・・・カエルにアメンボまで生き踊る命の水たまり・・・
幼くても・・・お調子者でも、誰もが知っている・・・
どろんこ水の、遊び場は・・・大人には解らない魅力が残っている・・・。

雑草は厄介で・・・ねちょりと、水たまりも厄介で・・・
アスファルトやコンクリートで固めてしまう,、味けない道には・・・
遊びの見えない水たまりがあって・・・命も湧いてこない綺麗な水たまりは流れている・・・。
水をガブリと飲み干すように・・・じっとりと染みる良い土は・・・
水はけの良い場所もあれば・・・いつまでも残る場所もある・・・
生き物はそんな場所を、必死に探して見つけ出し・・・次の命を残してゆく・・・。

いつかは消えてしまう小さな命の場所は・・・固められた場所で駆け足の時間しか無くて・・・
ゆっくりと進む時間が失われてしまえば、大切な命は育たない・・・。
古民家の住いに流れる時間はゆっくりで・・・急ぐ事の難しさを知っていて・・・
物事をゆっくりと・・・進ませようとしているように見えてくる・・・。
地面に水がゆっくりと染み入るように・・・住まい方も、暮らし方も・・・
眺めて行けたらと思います。
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