ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

『青春の光と影』

2017年06月21日 20時22分21秒 | owarai
どうして?
どうして、喧嘩なんか、しちゃった
んだろう?
こんなにも好きで、こんなにも
会いたくて、三ヶ月ぶりに会えて、あ
んなにも嬉しかったはずなのに。

きっかけは、些細なことだった。
彼はきょうの午後、どこにも出かけた
くないと言い、私は町まで出かけて
食事をしたり、買い物をしたり、散歩
をしたり、夕方にはレゲエのコンサート
にも行きたいと主張し、出かけるか出
かけないか、について話し合っている
うちに、いつのまにか口喧嘩になり、

気がついたら「愛しているのかいないの
かを巡る、大きな口論に発展してしまっ
ていたのだった。

愛しているに決まっているのに、海よ
りも深く空よりも果てしなく、愛し
合っているという自信があるのに、

まったく、なんてことだろう。情けな
い。実にふがいない恋人たちだ。
貴重な時間をムダにしている。休暇は
一週間しかなくて、休暇の終わりには
また遠く、離れ離れになってしまう
のに。

わかっているのに、どちらも素直に
「ごめん」が言えないまま、彼は
部屋に閉じこもり、私は扉をさざ
とばーんと音をさせて閉め、こう
してバーにやって来て、ちっとも
酔えないお酒を飲んでいる。

なんとかしなきゃ、仲直りしな
きゃ。
このまま、大切な時間が、刻一刻と
失われていくのを、指をくわえて
見ているだけでいいの?いけない、
いけないよ、絶対にいけない。

竜巻のようにま巻き上がってくる
思いを抑え込んで、私は注文した。

「お願いします。うんと強いのを」
と頼んでみた。
「さ、できたよ。どうぞ、召し上がれ」
数分後、目の前に差し出されたのは、
いちごとミントの小枝で飾られた、
メキシカンガラスのゴブレット。

「可愛い!」
思わず、感嘆のため息がもれた。
ひと口飲んだあと、そのため息は
甘くなった。甘酸っぱくてせつない、
昔懐かしい味を彷彿させている。

ああ、この味は、いつかどこかで
味わった、何かの味にそっくりだ。
でも、なんの味なのか、うまく思い
出せない。

ストローで少しずつ、少しずつ、
吸い上げながら、味わってみる。
頭の芯が溶け出して、気持ちの編み
目がほどけてゆくのがわかる。

楽園は、近い。わたしのすぐそばに
ある。この胸のなかにある。この皮
膚の表面に宿っている。彼に触れた
い。触れられたいと願っている。

この指先に。
そこまで思った時、思い出した。
よみがえった。このカクテルの
味は、彼と交わした口づけの味だ。

パリのアパルトマンで、籠いっぱい
に盛られた摘みたての苺―――
彼がスケッチをするための果物だ
った―――を、ひとつぶ、お互い
に食べさせ合った午後。
シーツに残っていた切ない香り。

――苺みたいに甘い思い出を、たく
さんつくっておかなきゃ。あとで使
うために。

――使うの?どうやって?

――喧嘩なんかした時にね、ひとつ
ぶ取り出して口に含めば、仲直り
できるだろう?

――喧嘩なんか、しないもん。

――するよ。どんなに晴れた楽園
にも、雨は降ってくるからね。




「こんなのアリ?」別れの迷ゼリフ

2017年06月21日 13時01分17秒 | owarai
セリフ1
「私、ずっと前から
好きだった人がいるの」

つきあっていたにもかかわ
らず、こんなコトバであえ
なく彼女に
ふられるケースというのは
よくあること。

「好きな人がいるなんて、じゃ、
どうしてオレとつきあって
たんだよ」

と一瞬思うだろうが、答えは
明白。
たんなる抑えとしてキープされ
ていただけ。

これも高い授業料とあきらめ、
今後の教訓とするしかない!?

セリフ2
「あなたは一人でも大丈夫だ
けど、彼はわたしがいないと
ダメなの」

キツイ!浮気されたり二股
かけられたりした挙句に、
こんなセリフで切り捨てら
れては立つ瀬がないという
もの。

なにしろ「私がいないと」なんて
母性本能をだされた日にゃ~。
相手は、どんな奴だぁ~。

ただ×2、同情いたします。


セリフ3
「私たちって、やっぱり合わない
と思うの」

男女ともに、別れの文句としては
ポピュラーに使われる定番の
セリフ。

言われたほうは「なにが合わない
の?」と説明を求めるが、キチンと
した根拠なんてある訳がない(笑)

なんとなく「気にくわないから
別れたい」という、ただそれだけ
なのだということを大人なら
察してあげよう。

セリフ4
「あなたっていい人なんだけ
ど・・・・・・・」

何度がデートもしたし、これ
から決めるゾって頃にこんな
ふうに言われてしまう男は
多い。女のほうとしては
「まぁ、食事くらいつきあって
もいいか」という空気的な存在。

万が一がなかっただけ、
現実をしっかり受け止めよう!!

「17才」

2017年06月21日 11時15分55秒 | owarai
雨上がりの樹々がつやつやと輝く
ように、私も輝きたいと心から
思います、
とくにあなたの前では、ね。

あなたと会ってから、私は自分
のなかにもう一人の自分がいた
と知りました。

両親にそむけないと思っていた
のに、あなたとデートするため
に嘘もつき放題についてしまう。
寝坊だったはずなのに、日の出
と共に起きたりします。

こんな自分に、自分でドッキリ
しています。


「遠 恋」ーⅡー

2017年06月21日 04時45分35秒 | owarai
横になっていたものを、ずっと
縦に起こすようにして、あのひと
は言った。
「また会えますよね、俺たち、きっ
とどこかで」
俺たち?
「はい」
なぜか、確信を持って、わたしは
答えを返した。

「井上・・・・といいます」
ファーストネームは、聞き取れ
なかった。なぜならその時ちょう
ど、店内放送が流れ始めていた
から。

「井上さん」
わたしは壊れ物を扱うようにし
て、あのひとの名を呼んだ。
あなたは、誰?
どこから来たの?
わたしは大学を卒業したばかりで、
就職先も決まっていて、あさって、
京都から東京に引越してしまいま
す。きょうは最後のアルバイトの
日で、わたしの誕生日。

あなたは?
この街に住んでいるの?
どこで、どんな仕事をしているの?
訊きたいことも、伝えたいことも、
あり過ぎるほどあるのに、何
ひとつ、言えない。

手のひらにまだくっきり残って
いる、あのひとの大きな手の
ひらの、温かな感触。躰中に、
さざ波のように広がっている、
優しい余韻。鍵のように、し
っかりとそれを握りしめて、
でもどの部屋の扉をあけたら
いいのか、皆目わからない。

「失礼します。もう行かなく
ては。ありがとうございました」
それだけを言うと、踵(きびす)を
返して、わたしは五番カウンター
へ向かった。連絡先を伝え合う
こともなく、別れた。

風と木の葉のように。
異国の街角ですれ違った、旅人
同士のように。
それがわたしたちの、最初の出会いと、
最初の別れだった。