ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

「アフタヌーンデライト」

2017年06月23日 19時30分30秒 | owarai
すみずみまで、神の宿る島だった。
ランチのあと部屋に戻ると、わたし
たちはだっぷりと時間をかけて愛し
合い―――
わたしたちはそれを「アフタヌーン
デライト」と呼んだ―――、

同じだけたっぷりと午唾をむさぼ
った。昼寝から目覚めたら、夕食
を食べに外に出かけて、その足で、
ガムランを聴きに行ったりした。

年末から年始にかけての六日間。
旅が終われば、わたしは東京へ、
彼はシンガポールへ。空港で
別れがふたりを待っていた。

「寂しいな、あしたは離れ離れ
になっちゃうんだね。今はこん
なに近くにいるのに、あしたの
今頃はもう、手を伸ばしても、
届かないところにいるなんて」
彼は心の底から、寂しがって
いるように見えた。

「雫ちゃんも、寂しい?」
可愛い人、裸の彼の胸に耳を
当て、心臓の鼓動を聞きながら、
わたしは思っていた。

あなたは、とても可愛い。愛して
も愛しても、愛しても、愛し足り
ないくらい、愛してる。もう一度、
いいえ、何度でも、わたしはあな
たを抱いてあげたい。抱き合った
まま、つながったまま、眠りだい、
それくらい、好き。

「寂しいよ」
と、言った。

でも、本当は、ちっとも寂しく
なんてなかった。
初めから、覚悟を決めて、飛んで
きたのだ。

この旅が終われば、この恋も終わる。
終わりにしなくてはならい。これ
は遊びの恋。真剣な、火遊び。

それをいとおしみ、味わい尽くす
権利は、大人だけにある。
わたしは、離婚歴も不倫歴もある
二十九歳。自分を、大人の女だと
思い込んでいた。

分別も常識もある大人の女。

信念を持っていた。大人の恋とは、
ただ楽しむためにあり、そこに
決して、生活とか将来とかを持ち
込んではならないのだと。


おんなの昼の酒

2017年06月23日 05時15分36秒 | owarai
東京のソバ屋のいいところ
は、昼さがり、女ひとりふら
りと入って、席に着くや開口
一番、

「お酒冷で一本」といっても、

「ハーイ」としごく当たり前に、
つきだしと徳利が気持よく
目前にあらわれることだ。

レストランではこうはいかな
い。

ソバ屋は万人に平等だ。

喫茶店でケーキを頼むのが
奇異でないように、
酒とツマミを頼むのはフツー
の注文なのだ。


落語家さんだけの特権では
ないのです(笑)

女性の休日の楽しみかたに
これが出来たら世界が変
わるのでは・・・・、


ソバ屋で憩う、昼酒の楽しみを
しってしまうと、
いまだ明るいうちに、ホロ酔い
かげんで八百屋や惣菜屋を
巡って、

翌日の飯の仕入れをしながら
就く家路は、

今日をたしかにし過ごした
張り合いがある。

暮らすといことは、時間をつなぐ
ことであり、酔ってうやむやに
終る一日からは、
暮らしの実感は生まれてこない。


いつもと違うお休みの過ごしかた、

アナログの世界に戻って、
自分を見つめ直すのでもいい
のではないだろうか・・・・・・・。




「シャネルとリップスティク」

2017年06月23日 04時52分36秒 | owarai
リップスティックはシャネルが
生み出したものだ。携帯できる
口紅としてチューブに入れえ
ていたが、これがやがて改良
されて、プッシュ式のリップ
スティックとなった。

実用的であり、働く女たちの
必需品となった。
晩年に発表したベージュと黒の
バイカラーの靴も活動的な女
たちを喜ばせた。

傷つきやすい爪先が黒という
のは実用的だったし、足を小
さく見せる効果もあった


「遠 恋」―Ⅲ―⑵

2017年06月23日 00時00分06秒 | owarai
「きのうは」
と、わたしは言った。

きのうはわたしの誕生日で、
あなたはわたしの誕生日に、
お店に現れたんですよ、何よ
りもまず、そのことを伝えた
かった。

わたしより先に、あのひとが
言った。

「会えて、ほんとによかった。
なんできのうのうちに、電話
番号、訊いておかなかったん
だろうって、
訊いてたら、会えたかもし
れないって、
今ちょっと後悔してる。
いや、実は書店で別れた直後から
ずっと、後悔してた」

耳に飛び込んでくる。まるで奇跡
のような言葉。一日遅れの、神さま
からのバースデイ・プレゼント。
「きのうね、わたし誕生日だったん
ですよ」

「え!それはすごい偶然だ。おめで
とう。三月十七日って、聖パトリッ
ク.デイじゃない。知ってる?マン
ハッタンではその日、盛大なお祭り
があるんだよ」

「井上さんは、いつからアメリカ
に?」

「二年前から。その前に、学生時代
に交換留学生で、西海岸に一ヶ月ほど」
そのあとに語られた、あのひとの
ライフストーリー。
夜の静寂の中を、月明かりにに
導かれて、すいすいと進んでいく
一艘の小舟のような、軽快で明快な物語。

その舟の作る波に乗って、どこまでも
どこまでも、ついていきたくなるような。