空しい疑問符に搦めとれたま
ま、ベットにどさっと倒れ込
む。
失望がぐるぐると、全身
を駆け巡っている。
両手で
抱え込んだ枕に顔を押し付け
て、悲しくて泣いている女の
子のふりをしてみる。
まるで、水槽から外に飛び出し
てしまった金魚のよに、なす
術もなく、足掻いている心を
持てあましながら。
ああ、泣きたい、と思う。
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シンデレラ ・エキスプレス(ユーミン・オリジナル)
https://www.youtube.com/watch?v=GcIrTD09MUA
凛としたため息がすいこまれて
いく
つかのままの涙も 逃げていった
空の果て
初夏
思い出が咲く
心の水面に
たわむれの恋が行き場を失う
一片の迷い
迷いあぐねるほどの力
ゆるやかに落ちるのは かろやか
に沈むため
はてしなく浮かぶのは たえまなく
ゆれるため
同じ夜
同じ笑顔で会えるなら
あなたに捨てられてもかまわない
こんなきれいな夕陽を見ると
ひとりで見てるの
もったいなくなる
この心のすき間を
何が埋めれば
すき間と感じなくなるのだろう
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Michel Petrucciani--Looking Up
この世のものはすべて
無常だと改めて思うと、
恋に限らず、人のいのちに
しろ、いつかは終わると知って
いるから、密度が濃いものだと
思える。
桜は儚く散っていくから、
人は足を止めて見上げ、
紅は一瞬だから、心奪われる
恋には別れがくるからこそ、
燃え盛るひとときの思いを
大切にしたい。
心から人を愛すとは?
荒井由美の音楽には
『別れの美学がある』
「そば屋のてんやもん」
てんやもの。店屋物と書くが、近ごろ
あまり耳にしなくなった。
昔は、「てんやものでもとるか」と
大人が言うと、子供は電話機のそば
に置いてある「お品書き」をいくつ
か持ってきたものである。
てんやものの決定権は常に大人で、
サザエさん一家の世界がそこにはあった。
場所柄、出前に重点を置かなくてはな
らないソバ屋の「お品書き」には、
心暖まる。親子丼、天丼、かつ丼、鍋
焼き、刺身定食、カレーライス等など、
爺婆から孫まで、てんでに好きなもの
をとって、家で卓を囲める。
ソバ屋が届ける家庭の憩もある。
出前ならではの味わいに、ソバ屋の
天丼がある。天ぷら屋のそれより、つゆ
なじみの良い厚手の衣で、配達時間の
うちに、しんなりふんわりふくらんで、
下のご飯に風味をにじませる。
ほろほろくずれる衣、つゆのしみたご飯、
大人のデカダンス。
「天丼はソバ屋の出前にかぎる」という
御仁は少なくない。