「星の子」
今村夏子 著
不思議なおはなしだった。
おかしみとかなしみ。
ふたつが密接により深く繫がっている。
余白が語る小説というものをこの本で出合った。
林ちひろ、中学3年生。
親はおかしな宗教を信仰している。
親と周囲の友人、先生、おとな。
繋がれているのはちひろの持つ純粋さとあやうさ。
二極が対立している緊張がバランスをおかしくさせる。
けれど人は二極を矛盾にまた矛盾なく持ち続ける。
星は語る。
価値観はひとそれぞれに、
それを肯定することはある意味で矛盾をはらみ、
孤立する。
孤立は孤独の果てをみせて、
余白を埋め尽くそうとする。
独白の暴走に。
そこに愛はあるのだろうか。
愛はそれぞれに個を膨らませていく。
光りを浴びたあなたがいるために。