壊れたね
そこの木のように
手の骨も壊れてね
精神のように
心が開いて
心が閉じて
子供がうたう
老人がうたう
男がうたう
女がうたう
伝い伝わり
満ちて渡り
嘆きの世界
歓喜の世界
愛しの人差し指は残酷で
中指は嬉嬉で
証明は入れ替わり
心の蔵に突き刺さる
ぬかれて
合唱は遠くからさざめいて
自身がつくられる
それぞれの形
好きな別々の事柄を
形作る
しるしを刻む
しるしを掲げるため
名を記す
物語とは別に名は
水の上に書き留める
水は静けさを保ち
水は穴を穿ち
山鳴りが囲う
毒キノコの艶やかな色彩に
ため息をおくる
青の青
赤の赤
しるしは巻き上がり
水と融合する
物語を放つ
花びらを愛でながら
孤独の揺れを流れ流れて
魂の一片を一瞬を解き放ち
闘いが口をあける
倒れた忘却の詩へと
燃え広がる心
めしいの遥かな貫きは
恥じらいを探り当て
雌雄眼が虜となる
目をあけ目をとじ
擬人化と精霊がキスを交わし
しおりがはさまれて
三つの光と十五の柱は
しるしをおびた
かすかに視線を上に
緩やかに下っていく
神話にかえっていく
誰彼が語り継いでいく
象徴にある移り変わりの流れるまま
制約に隠された神聖なる真実
愛するものから生まれる甘美な時間
天衣無縫は腕をかすめる
傷口となる
緩やかに上昇していく
走って走って走っていく
見詰める鹿
瞳に酔わされて
暗号を解く頭脳を供与しよう
色がぼやけ
原色を立体にし
匂いをかすめる敏感の宵闇に
掬いあげたメロディーの紙片
ミステリーは駆け上がる
ダリアの絨毯が誘いあげる
柔らかな肌に指を這わせた
迷宮が止まる
螺旋や渦や渦巻きが
廻り廻り球となる
極限まで研ぎ澄まされた
目の中心は永遠
黄金は沈み
愛しき人の涙の味
まやかしは鏡
ひび割れて熱があがる
あの森で安らかに眠れる
触れあった優しき余韻
密着の電流の余韻
残り続ける君は今もまだ
あの場所で踊っている
上から下へなぞっていく
ながれていく
記憶の欠けらが
層になり
嗄れた涙が
雨に混じって