余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

神様のすること

2021-08-17 10:42:07 | マイブック(た)
「神様のすること」
      平安寿子 著

私小説。
四十歳間近で神様に願ったこと。
それは小説家にないたい。
そして親を見送ること。
父と母ふたりの見送り。
外では見せることのないそれぞれの葛藤。
父は塞ぎ込み、母は鬱になり、
病を患い、思い出を語る。
おもいも語り、ふたりの背中。
いつ来るとは決して分からない死を、
歩きながら、空を見上げながら、うずくまりながら、
待つ。
待つ方も準備をしながら慣れ受け入れていく。
暗転を繰り返して。
全篇を通して介護や死を迎えることのつらさを、
明るく楽しい筆致で綴っていく。
最初の話しなんか母の口から女の語がでてきてしまう。

自身の思い出を抱えながら、
異化を「わたし」の世界へ迷いなく入れる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする