「罪の余白」
芦沢央 著
この小説はいじめが主題となっている。
それぞれの視点から書かれ、
被害者、加害者、遺族、寄り添うひと。
安藤加奈は転落死をする。
その知らせを知った父は愕然とし、
どうしてと、遺族は理由に取り残される。
罪はだれしにも訪れる。
加害者に、そして遺族に。
罪は消し去れはしない。
時の流れにたゆたいながら、自身の死までを共にする。
罪を自覚することはとてもつらい。
罪には罰を、罰には罪を。
当事者ではなく、触れたあるいは触れてしまったものはどうだろうか、
最近とみに考える。
旭川のいじめの問題しかり。
他者でしかありえないという自己愛の変容が、
覆われている社会という囲い。
囲われ、法というもとに世間というまた一つの囲いが、
口を開けた中で密談をしている。
原罪の果てに吹かれた花びらを見つけられたら。
ミステリーはなぜ読みやすいのだろう。
ふと、のように読めてしまった。
芦沢央の小説だからともおもう。
覚え書
人と会うことの暴力性、そんな言葉があった。
とても印象に残っている。