古くはマレビト神を迎えるため、
水ぎわに木を組み合わせて「たな」を作り、
村の中から選ばれた棚機女(たなばたつめ)が
そこで神の衣を織ったといいます。
棚機女(たなばたつめ)は神の嫁、
つまりは川の神に捧げられた犠牲でした。
そして牽牛もまた、
元来は犠牲の牛だったのではないかともいわれます。
7月7日の神迎えの祭祀において、
神に捧げられた少女と牛が、
いつしか織女と牽牛の物語へと発展したのかもしれません。
神話伝説に付随して古くから繰り返し行なわれている習俗は
異界との交流を具現しようとするもののようです。
かって、
死者の魂は天の川を経て天へ昇っていくとされ、
また、高い山の頂は神々が降臨する場所でした。
古代の人々にとって
そこは、
天と地の合流点だったのかも?
そこには、
人々の異界に対するあこがれや、
死んでも再び現世に生まれ変わりたいという
強い願いが込められているようです。