ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.75
( 2023年1月26日)
(ペルー要点)
・ 人民の反クーデター闘争は、年明けから全国的にいっそう拡大発展。1月19日のゼネストを「労働者総連合」が呼びかけて、地方から闘争諸組織の代表団が続々と首都リマへ結集した。旗印は「リマの奪取」。 / 地方の農民と先住民のコミュニティから「第2回“四方からの行進”」が行われた。(かつて2000年にアルベルト・フジモリの不正な3度目の再選に抗議してリマに人民が結集したときに“四方からの行進”が行われた。)
・ 1月9日に南東部で17人の市民が虐殺され、それが人民の怒りをいっそう高めた。 / 全国各地での闘争の共通した要求は、カスティージョの解放、ボルアルテ「暫定大統領」の辞任、反動議会の閉鎖、総選挙の即時実施、憲法制定議会創設の5つだったが、これまでの弾圧による50人以上の殺害に抗議した「殺された50人以上の正義(殺害者の処罰)」が加わった。 / それに対して、1月11日に司法長官が、ボルアルテ大統領と首相、国防相、内相を大量虐殺の容疑で捜査中と発表。【権力内で亀裂か?】
・ 今回のクーデターは1年以上かけて周到に計画されたものだったことが暴露されている。 / 元ペルー軍統合司令官だった国民議会議長が主たるオペレーターで、高度の情報操作によってカスティージョ大統領に軍と警察の支持を得ていると信じ込ませ、議会を解散させるよう誘導したという。カスティージョは、議会解散のメッセージを読み上げた後、軍の支援を求めたが何の反応もなく、その段階でハメられたと気づいたが、時すでに遅しであったという。(INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 31, 2022)
・ 闘争主体の中心は、労働組合、農民、先住民、教員、学生、女性解放運動などの組織で、それぞれの地域で強い社会組織が闘争を牽引している。 / 旧来の左翼は大衆的な基盤を失っており、重要な役割を果たすことができておらず、全体を牽引する全国的な組織はこの全国闘争の中で形成されていくものと思われる。
・ 米帝国主義の関与は、クーデター後も継続的・定期的に行われている。 / クーデターに直接関与した在ペルー米国大使リサ・ケンナが、ボルアルテや閣僚など政府高官と定期的に会談している。 / そこでは、投資の機会や採取産業の発展・拡大などについても話し合っている。ペルーは、銅、鉛、亜鉛、錫、銀、金の産出量が世界でもトップクラス。液化天然ガス(LNG)の重要な生産国でもある。
・ カスティージョは、天然資源に対する民衆の支配力を取り戻す必要性を選挙の中心テーマのひとつにしていた。政権発足直後に、新たな農地改革とともに、天然資源が直接国民のためになるようにすることを目標に掲げた。 / クーデター政権は、それらをすべて反故にし、新自由主義的経済モデルに回帰している。
・ 「ペルー司教協議会」が、政府、議会、デモ参加者の間の対話を促進することで現在の危機を調停すると発表したが、今のところ対話の機運はない。
・ 世界中の多くの政府とさまざまな社会運動が、ペルーでの警察と軍による残忍な弾圧を非難・批判し、抗議者たちとの連帯を表明している。 / 1月13日の段階で、世界各国の100人以上のジャーナリストやメディア・プロジェクトが、ペルー国民への弾圧とジャーナリストへの攻撃の停止を求める書簡に署名。
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(ペルー)
teleSUR Published 24 January 2023
Peruvians to Carry Out Another Great March Against Boluarte
(ペルー: ボルアルテに反対する大行進を再び決行へ)
12月以来、ボルアルテ政権は62人の死者と数百人の負傷者を出している。しかし、国家テロはペルー人を萎縮させてはいない。 / 1月24日には、先住民、労働者、農民、学生が2022年12月7日以来ずっと辞任を要求してきたディナ・ボルアルテ大統領に抗議する「国民大行進」に、何千人ものペルー人が参加する予定。 / このデモは、国内の様々な地域から多くの抗議者が集まった「リマの奪取」デモから5日後に行われる。 / 月曜日(1/23)には、リマの街頭で大規模な抗議行動が続き、先週各地から到着した数千人の市民が残っている。
teleSUR Published 23 January 2023
The Protests Against Boluarte Won't Cease, Peruvian Unions Say
(ボルアルテへの抗議は止まらない、とペルーの労働組合が述べている)
全国の「土木建築労働者連盟」は、抗議者たちに対するボルアルテ政権の暴力を非難した。警察との衝突で772人が負傷した。 / 日曜日(1/22)、ペルーの「土木建設労働者連盟(FTCCP)」のルイス・ビジャヌエバ書記長は、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任と即時総選挙の実施を要求する動員は止まらないとアナウンスした。 / また、FTCCPは「ペルー労働者総連合(CGTP)」が呼びかけた抗議行動を引き続き支持することを強調。
MR online Posted Jan 21, 2023 By Ben Norton
(Originally published: Multipolarista on January 19, 2023)
Peru’s natural resources: CIA-linked U.S. ambassador meets with mining and energy ministers to talk ‘investments’
(ペルーの天然資源: CIAとつながりのある米国大使が鉱業・エネルギー相と会談し「投資」について語る)
在ペルー米国大使のリサ・ケンナは、2022年12月に、民主的に選出された左派の大統領ペドロ・カスティージョを倒した議会クーデターを支援したCIAのベテランである。 / カスティージョはその後、正当な手続きを経ずに18カ月間投獄され、ペルー全土で大規模な抗議デモが発生した。選挙で選ばれたわけでもない政府は極端な暴力で対抗し、わずか1カ月余りで約50人のデモ参加者を殺害した。 / 12月7日のクーデターの前日、元CIA職員で米国大使となったケンナは、ペルーの国防相と会談し、国防相はカスティージョ大統領に反抗するよう強力な国軍に指示した。 / それ以来、ケンナはかなり忙しく、選挙で選ばれたわけでもないディナ・ボルアルテ大統領やその閣僚など、ペルーのクーデター政権の高官と定期的に会談している。 / 1月18日、米国大使はペルーのエネルギー・鉱業大臣、炭化水素副大臣、鉱業副大臣と面会した。 / ペルーのエネルギー・鉱業省は、「投資」の機会や採取産業の「開発」と「拡大」の計画について話し合ったと自慢している。 / ペルーは天然資源、特に鉱物の豊富な国である。スペインの植民者たちは、この南米の国の大量に埋蔵されている銀や金を採掘した。現在では、多国籍企業が利益の上がる資源採掘拠点として見ている。 / 銅、鉛、亜鉛、錫、銀、金の産出量は世界でもトップクラスで、ペルー経済は鉱業に大きく依存しており、国の総輸出の半分以上、GDPの10%以上を占めている。 / 世界三大国際鉱山企業であるBHP、Rio Tinto、Glencoreをはじめ、カナダ、ブラジル、スイス、英国、米国、日本、オーストラリアの企業がペルーに多額の投資をおこなっている。 / ペルーは隣国のチリに次いで世界第2位の銅生産国であり、再生可能エネルギー技術へのシフトが進む中、その重要性はますます高まっていくだろう。 / 米国の投資銀行大手ゴールドマン・サックスは2022年、「銅は新しい石油だ」と述べ、こう記している。「最もコスト効率のよい導電材料である銅は、新しいエネルギー源の捕獲、貯蔵、輸送の中核を担う」と述べている。 / ペルーは液化天然ガス(LNG)の重要な生産国でもある。そのLNGの輸出は、主にシェルなどの外国企業によって管理されている。 / ウクライナの代理戦争をめぐってEUがロシアのエネルギーをボイコットした後、2022年に欧州がペルー産LNGの輸入トップとなった。 / 2021年に立候補した左派の大統領候補ペドロ・カスティージョは、ペルーの天然資源に対する民衆の支配力を取り戻す必要性を選挙の中心テーマのひとつにしていた。外国企業が国を「略奪」していると非難し、鉱業で得た収益の70%が社会事業の資金として国に入るよう、契約を再交渉するよう訴えた。 / 就任当初、カスティージョは政治的にできることが非常に限られていた。右派の野党が議会で多数を占め、彼を不安定にさせ、最終的には大統領の「空席」を作って追い出そうと躍起になっていた。議会と、政治色の強い腐敗した司法を利用して、組織的な迫害と「lawfare法戦」(法律を武器とした戦争)のキャンペーンの一環として、カスティージョに対する絶え間ない攻撃を開始した。 / しかし、カスティージョはできる限りのことをした。大統領は「第二次農地改革」を発表し、「すべてのペルー人のために国の資源を救出する」と宣言した。「天然資源が直接国民のためになるようにしたい」と目標を説明した。 / カスティージョ政権は、隣国コロンビアの左翼系大統領グスタボ・ペトロと、ペルー国内のガス・インフラ整備と内需拡大の計画を立てた。これは、カスティージョの輸入代替工業化という進歩的な経済モデルの一環であり、ペルーが低付加価値の輸出品にばかり依存しないよう、国内産業を育成し国内消費を促進することを目的としていた。 / しかし、カスティージョを追放した直後のクーデター政権は、国内開発よりも外国企業の投資を優先する「ワシントン・コンセンサス」の新自由主義的経済モデルに回帰してしまった。 / この南米の国では、先住民を中心とした地域社会が、環境を破壊する鉱山会社に長い間抗議してきた。これらの農村コミュニティは、カスティージョ大統領の支持基盤であった。クーデター以降、彼らは大規模な抗議行動を組織し、カスティージョ大統領の解放、新たな選挙の実施、そして、米国が支援する極右独裁政権であったアルベルト・フジモリの現行憲法に代わる新しい憲法を制定するための制憲議会を政府が招集することを要求している。
teleSUR Published 20 January 2023
Peruvian Episcopal Conference Offers To Mediate Amidst Crisis
(ペルー司教協議会、危機の中、調停を申し出る)
「ペルー司教協議会」は、金曜日(1/20)、政府、議会、デモ参加者の間の対話を促進することで、現在の社会政治的危機を調停する決定を発表した。
teleSUR Published 20 January 2023
Social Organizations Worldwide Reject Brutal Repression in Peru
(ペルーでの残忍な弾圧に世界の社会諸組織が反発)
世界中の社会運動が、ディナ・ボルアルテ大統領が支配する警察と軍によって残忍に弾圧されているペルーの抗議者たちとの連帯を表明した。
Common Dreams Jan 20, 2023 BRETT WILKINS
Outraged Peruvians Demand Boluarte Resign During Tumultuous 'Takeover of Lima'
(怒れるペルー人、騒然とした「Takeover of Lima」の中、ボルアルテの辞任を要求)
「我々は独裁と民主主義の境界線にいる」と、ある学生デモ参加者は警告した。 / 何千人ものペルー人が、20日、首都の通りに繰り出し、選挙で選ばれたわけではないディナ・ボルアルテ――米国に支援された大統領――の辞任、6週間の暴動で殺された50人以上の人々の正義(殺害者の処罰)、投獄されたペドロ・カスティージョ前大統領の政権復帰、彼を追放した議会の解散を要求している。
【これまで共通した要求は、「ボルアルテの辞任」「カスティージョの復帰」「議会の解散」に「新たな総選挙の早期実施」と「憲法制定議会の創設」を加えて5つだったが、「殺された50人以上の人々の正義(殺害者の処罰)」が加わった。】
Peoples Dispatch January 19, 2023 by Peoples Dispatch
Tens of thousands on the streets of Peru in national strike
(ペルーの街頭で数万人が全国規模のストライキを実施)
民主化推進デモは、複数の著名人、大学、進歩的な政党の支持を受けている。 / 前大統領ペドロ・カスティージョに対する議会クーデターを拒否し、事実上の大統領ディナ・ボルアルテの即時辞任を要求するために、1月19日に招集された全国ストライキに参加するため、全国から数万人のペルー人が首都リマに到着した。 / 農民と先住民のコミュニティは、多数の社会組織と労働組合のメンバーとともに、ペルー全土からキャラバンでリマに到着した。キャラバンは、ペルー奥地の排除された大衆の声を権力の座に届けるために、第2回「Marcha de los Cuatro Suyos」(四方からの行進)の一部として組織された。 / 各組織は、「Toma de Lima」(リマの奪取)の旗印のもと、リマの各地からボルアルト政権に反対する行進をリマの中心部まで行うよう呼びかけている。この行進は、事実上の政府が平和的な抗議活動に対して放った警察や軍の残忍な弾圧を非難し、また犠牲者のための正義を要求するために特に組織されたものである。 / 同時に、各団体は、全国ストライキの一環として国土全域でデモと道路封鎖を強化するよう呼びかけている。 / 2021年のカスティージョの大統領候補を後援した左翼政党「ペルー・リブレ」は、18日の声明で民衆の闘いを支持した。 / 進歩的な政治運動「新ペルー(New Peru)」も支持を表明している。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.21 Saturday)に全訳あり】
【「新ペルー(New Peru)」Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/New_Peru):「民主主義・主権・正義のための新ペルー(Nuevo Perú, por Democracia, Soberanía y Justicia)」は、2016~19年のペルー議会に向けて、2017年に「Broad Front」の分派政党として設立されたペルーの左翼政党である。社会主義を信奉し、ペルーのマルクス主義者であるホセ・カルロス・マリアテギの思想を取り入れている。】
teleSUR Published 19 January 2023
Thousands of Outraged Peruvians Continue to Arrive in Lima
(憤慨した数千人のペルー人がリマに続々と到着)
ペルーの治安部隊が設けようとした障害にもかかわらず、国内のさまざまな地域から何千人もの労働者、農民、学生がリマに到着し続けている。 / 少なくとも52人の死者を出した国家テロに憤慨して、2022年12月7日に議会が大統領に任命したディナ・ボルアルテの辞任を要求する「四方からの行進」に参加する予定。 / 抗議者たちは、ほとんどが貧しい地域から来ており、リマの政治エリートに対する怒りを爆発させている。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.20 Friday)に全訳あり】
teleSUR Published 18 January 2023
Peruvian Workers Call for a National Strike Against Boluarte
(ペルーの労働者、ボルアルテに反対する全国ストライキを呼びかけ)
現在の大規模な抗議行動は、ボルアルテ政権が引き起こした死に対する怒りによって煽られている。 / ペルー全土からリマまで行進している数千人の市民は、木曜日(1/19)に「労働者総連合(CGTP)」が呼びかけたゼネストに参加する予定だ。 / 先住民、労働者、農民、学生が首都に到達するのを防ぐため、政権の治安部隊はリマへの車両の進入をチェックするなどの予防策を実施している。
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 17, 2023 Tanya Wadhwa
Peruvian Movements Organize Caravan to Lima to Intensify Protests
(ペルーの運動団体、リマへのキャラバンを組織し抗議活動を激化させる)
先住民と農民の指導者は、クーデターとディナ・ボルアルテの事実上の政府に対する継続的な抗議行動を強化するために、リマへの「四方からの行進(March from the Four Corners)」を呼びかけた。 / ペルーの北部、中部、南部、東部から数千人の人々が、クーデターに対する抗議行動を強化し、事実上のディナ・ボルアルテ大統領の辞任を求めるために、首都リマに向かうキャラバンに乗って出発した。農民、先住民、社会、労働組合組織からなる代表団は、ペルーの社会から疎外されたコミュニティの声を首都に届けるための第2回目の「Marcha de los Cuatro Suyos」(四隅からの行進)の一部としてリマに向かっている。 / この行進は、先住民や農民の指導者たちによって1月10日に発表され、すでにいくつかの抗議者グループが首都に到着している。一方、アイマラ族とケチュア族の先住民共同体のメンバーや、様々な社会組織や労働組合のメンバー数千人が、1月16日に各州からリマに向けてキャラバン隊で出発した。 / 最初の大規模な「四方からの行進」は、アルベルト・フジモリの不正な再選に反対して、2000年7月に組織された。2000年7月、何千人ものペルー人が国の四隅からリマに集まり、フジモリの辞任を要求して3日間抗議行動をおこなった。 / 「都市・農民パトロール運動単一全国連合(Central Única Nacional de Rondas Campesinas - CUNARC)」の地域の長たちは、カスティージョに代表されると感じている長い間放置されてきたペルーの田舎から数十万のメンバーがリマに集まってきていると報告した。多くは、リマにとどまり、ボルアルテが辞任するまで平和的なデモを続けるという。農民運動は1月19日に向けて全国的な抗議行動を呼びかけている。 / 1月14日、ディナ・ボラルテ政府は、リマ県、プーノ県、クスコ県、カヤオ県、アンダウエイラス県、タンボパタ県、タワマヌ県、マリスカル・ニエト県、トラタ地区で30日間の非常事態宣言を行うと発表した。これらは、正月休み明けの無期限全国ストの再開を受けて、1月4日から大規模な反政府デモが行われている地域である。 / 闘いは続く これらの抗議行動は、次のことを要求する全国規模の抗議行動の一部として行われたものであった。カスティージョ前大統領の釈放、ボルアルテ事実上の大統領の即時辞任、右翼が支配する議会の解散、新しい総選挙、アルベルト・フジモリの極右独裁政権の下で書かれ押し付けられた1993年憲法を改正する制憲議会の設立。 / "ボルアルテは自分を売った" 「ペルー研究所(IEP)」が最近行った調査によると、ペルー人の71%がボルアルテ政権不支持である。さらに、88%の国民が右翼野党が多数派である議会の活動を否定している。同様に、60%の人がカスティージョを釈放すべきと考えており、58%の人が治安部隊が社会的抗議行動を弾圧するために過剰な力を使っていると考えている。同様に、現行憲法に代わる制憲議会の召集に69%が賛成している。 / 【(以下、要約)右翼のクーデター計画はうまくいかなかった。そこでボルアルテを味方につけて機会を待った。ボルアルテは完全に敵に身売りし、自分を勝たせた人々に対する忠誠心を捨てた。これまで沈黙を守ってきた人々がもはや耐えられなくなった。】
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 17, 2023 Ollantay Itzamná
Indomitable Peru
(不屈のペルー)
12月7日、ペドロ・カスティージョ大統領の転覆を企て実行した人々は、200年目の共和制国家の貧しく略奪された領土で、そこから農村の民衆が反乱を起こすとは想像もしていなかったし、計算もしていなかったのだ。 / この国の歴史上、同時多発的かつ持続的な大規模かつ前例のない集団行動を活性化させた要因が何であったかは、いずれ理解されるであろう。規則的に、社会な力の歴史的蓄積も、ある核となる指導者の周りに活性化され、凝集される。今回の場合、リーダーは存在しない。 / 民衆の蜂起の統一的な要素の一つは、虐殺によって引き起こされた痛みに対する憤りであり、国政のシナリオの中でスペースを獲得しつつある民衆のアジェンダであるように思われる。全員辞任、新しい選挙、新しい憲法制定議会、カスティージョの解放。 / ペドロ・カスティージョの反民主的な解任は、新自由主義システムのビジネス・エージェントによる虐待的行為に腹を立てていた地方の民衆セクターにとって、我慢の限界を超えたものであった。 / ペルーの政治・経済エリートは、メディアを通じて、(恐怖や欲望を操作することによって)貧困にあえぐ人々の行動をコントロールできなくなったため、歴史的植民地支配の最終兵器である、反抗的な人々を軍事的に処罰し懲らしめることを実行に移し始めた。2ヵ月足らずの間に、簒奪者である大統領は夜間外出禁止令を含む3つの非常事態を発令した。しかし、動員された人々は、虐殺に怯えるどころか、夜間外出禁止令の時間でさえ、自己招集を続け、道路を封鎖し、公共および民間の空間と建物を占拠した。 / 現在、彼らは街頭に動員された人民と民衆セクターを罰し、懲らしめ、国家の銃弾で50人が殺害されているが、反抗的な「民衆」は怯むどころか、さらに力強く咆哮し、国中のさまざまなルートから、まさにペルー寡頭制の政治・経済の中心地、リマ市に直接進出してきている。
teleSUR Published 17 January 2023
Thousands of Farmers Continue Advancing Towards Lima
(数千人の農民がリマに向かって前進を続ける)
火曜日(1/17)の未明、何千人ものペルー人が「4つのSuyosの行進」(La Marcha de Los Cuatro Suyos)に参加し、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任を要求するためにリマに向かった。 / 農民たちは、無期限ストが14日間連続で行われた地域であるApurimacからトラックで移動している。彼らは、2022年12月7日に議会によって解任されたペドロ・カスティージョ前大統領の釈放を要求している。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.18 Wednesday)に全訳あり】
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 16, 2023 Abayomi Azikiwe
Unrest Spreads Across Peru After Massacre of Civilians
(民間人虐殺の後、ペルー全土に不安が広がる)
クーデター大統領ディナ・ボルアルテの起訴を求める声が上がる一方、南部では数十人の無差別殺戮が続いている。 / 「ペルー・リブレ」党の分裂は、軍部とともに右翼が実権を握ることを促した。 / カスティージョとボルアルテが「ペルー・リブレ」から離脱したにもかかわらず、カスティージョ大統領は2021年の選挙戦で掲げた改革に関心を持つ有権者からの幅広い支持を維持した。カスティージョは、南部地域の農村人民の間で絶大な支持を維持している。この地域は、観光と採取産業に大きく依存するペルー経済全体のカギを握っている。 / 年末年始の小休止の後、大規模な抗議行動と市民的不服従の行為が再開された。ボルアルテ政権は非常事態を宣言し、国中で夜間外出禁止令を発令した。 / カスティージョへの広範な支持は、1ヶ月以上にわたって国内の主要地域を襲った大規模デモとゼネストの経済的・社会的影響によって証明された。 / 1月4日、アレキパ、アヤクーチョ、アプリマック、クスコ、モケグア、マドレ・デ・ディオス、プノの各県で無期限ストが開始された。 / 「ペルー労働総連合(CGTP)」は、首都リマでデモを実施し、国内のさまざまな部分で実施されている動員・スト行動への連帯を表明した。さらに、議会の閉鎖、ボルアルテの辞任、総選挙の即時実施の要求を支持した。 / フリアカでの大虐殺 1月9日、サン・ロマン県のフリアカ市で、南東部の治安部隊によって17人の市民が虐殺されたことが報じられた。その2日後、デモ隊がボルアルテを糾弾する看板を掲げ、死者の棺を担いで市内をデモ行進した。 / カスティージョの支持者たちは、ゼネストをおこなって現在の国内の政治状況を逆転させる必要性を強調した。 / メキシコ、キューバ、アルゼンチン、ベネズエラなど、この地域のいくつもの国が、元大統領の罷免を拒否している。 / ペルーの司法長官は、1月11日、ボルアルテ大統領とアルベルト・オタローラ首相、国防相、内相を大量虐殺の容疑で捜査中であると発表した。この捜査の発表は、ペルー議会がボルアルテとオタローラ政権に信任票を投じたのと同じ週に行われた。【権力内部で統一されていないことが現れている。】 / 米国とその同盟諸国の役割 米国務省はカスティージョに対するクーデターを支持した。カスティージョは、弾劾は違法であり、自分が正当な大統領であると繰り返し主張している。 / ボルアルテは表向きは文民大統領だが、就任当初からペルー国家警察とペルー軍に権限を与え、カスティージョ解任に反対する民主・左翼勢力を弾圧してきた。
teleSUR Published 15 January 2023
Boluarte’s Government Suspends Constitutional Rights in Peru
(ペルー: ボルアルテ政権、憲法上の権利を停止)
30日間、居住地の不可侵と国土通過の自由、集会、個人の自由と安全という憲法上の権利が停止される。 / 社会運動諸組織が今週月曜日(1/16)にリマでいくつものデモを実施する準備をしている。その前夜に、指名大統領政府はこの法令を発した。 / 社会諸組織が警察の弾圧に反対するデモを呼びかけ続ける中、ディナ・ボルアルテ指名大統領政府は、土曜日(1/14)、リマ、カヤオ、プーノ、クスコにおいて非常事態を宣言し、いくつかの憲法上の権利を停止することになった。 / 土曜日の深夜に官報に掲載されたこの法令は、公共秩序を「守る」ために、軍が警察と一緒に介入することを許可するものである。 / この法令は、「ペルー国家警察は、軍の支援を得て、国内秩序を維持する」ことを定めている。
【12月14日にも30日間の「国家非常事態」を発令しているが、人民によって無視された。】
Peoples Dispatch January 13, 2023 by Peoples Dispatch
Stop the violence against the Peruvian people!
(ペルーの人々に対する暴力を止めろ!)
世界各国の100人以上のジャーナリストやメディア・プロジェクトが、ペルー国民への弾圧とジャーナリストへの攻撃の停止を求める書簡に署名した。 / ペルー国民は、12月7日に立憲大統領ペドロ・カスティージョを失脚させたクーデターを拒否するため、全国で街頭活動を展開している。ペルー当局はこの大規模な抗議行動に対し、残忍な暴力で対抗している。ペルーの人権団体は、今日の時点で、抗議行動との関連で48人が死亡し、さらに数百人が負傷したと推定している。 / ペルーの主流の企業メディアは、街頭にいる人々は「犯罪者」「テロリスト」であり、彼らの要求は非合法であるという政府のシナリオを強化することに貢献している。一方、抗議行動を取材しているペルーの独立系メディアやジャーナリストは、脅迫、中傷や汚名挽回キャンペーン、身体的攻撃にさらされている。 / こうした状況を踏まえ、ペルーからインド、ハイチからエジプトまで、Rania Khalek, Carlos Aznarez, Claudia Cisneros, Eugene Puryear, Vijay Prashad, Alina Duarte, Kwesi Pratt Jnrなど100人以上のジャーナリストやメディア関係者が、この暴力を非難し抗議者とジャーナリストの権利を尊重するよう求める手紙に署名をした。【以下、書簡と署名者名】
junge Welt 2023.1.12 (ドイツ語)
Peru: Genozidvorwurf gegen Boluarte
(ペルー:ボルアルテにジェノサイドの非難が集中)
ペルーの司法長官は、事実上の大統領であるディナ・ボルアルテに対して「大量虐殺」の容疑で捜査することを発表した。予備捜査の対象は、アルベルト・オタローラ内閣官房長官、ビクトル・ロハス内相、ホルヘ・チャベス国防相にも及ぶと、法執行機関が火曜日(1/10現地時間)にツイッターで発表した。選挙で選ばれたペドロ・カスティージョ大統領を退陣させて引き継いだボルアルテに対する約4週間続いている抗議デモで、少なくとも46人が死亡、600人以上が負傷している。司法長官は、「大量虐殺、故意の殺人、痛ましい身体的被害」の犯罪の疑いで捜査が進められている、と述べた。
teleSUR Published 10 January 2023
Brutal Repression Leaves 17 Dead in a Peruvian City
(ペルーの都市で17人の死者を出す残忍な弾圧)
月曜日(1/9)、ペルーは2022年12月7日にディナ・ボルアルテが大統領に就任して以来、最も血生臭い一日を経験した。彼女の指揮下にある治安部隊がJuliaca市で17人を殺害し、死者数は46人となった。 / 17人のデモ参加者のほとんどは、ボルアルテの辞任、議会の閉鎖、今年の総選挙の実施、制憲議会の設置、ペドロ・カスティージョ前大統領の即時解放を求める市民数百人が集まっていたフリアカ空港の近辺で死亡したとのこと。
teleSUR Published 9 January 2023
Peru Reports 14 Deaths in Demonstrations in Juliaca, Puno
(ペルー、JuliacaとPunoでのデモで14名の死亡を報告)
本日(1/9)、「San Roman Health Network」は、ペルーの都市Juliacaにおける警察とデモ隊の衝突により、14人が死亡し64人が負傷したことを最新情報として報告した。
teleSUR Published 8 January 2023
Protesters Maintain Roadblocks in Peru
(ペルーでデモ隊が道路封鎖を維持)
オンブズマン事務局は、ボルアルテ大統領の辞任を要求するため、国内で封鎖された道路は62カ所に上ると発表した。 / ディナ・ボルアルテ大統領の退陣、早期選挙、その他の要求を求めるペルーの抗議活動はこの日曜日(1/8)も続き、国内のいくつもの地域で道路封鎖や大規模な動員が行われている。
teleSUR Publicado 5 enero 2023 (スペイン語)
Organizaciones peruanas continúan movilizadas contra el Gobierno de Dina Boluarte
(ペルーの諸組織がディナ・ボルアルテ政権に反対して引き続き動員)
ペルーで始まった無期限ストライキの2日目、社会諸組織は、大統領に指名されたディナ・ボルアルテの辞任、議会の閉鎖、早期選挙、立憲議会の設立を要求する動員を継続している。
Peoples Dispatch January 04, 2023 by Zoe Alexandra
‘They shot them down like animals’: massacre in Peru’s Ayacucho
(「彼らは動物のように人々を撃ち殺した」:ペルーのアヤクーチョでの大虐殺)
12月15日にアヤクーチョで起きた大虐殺の生存者と犠牲者の家族は、軍が抗議者を戦争の標的のように扱い、国内武力紛争時に直面した暴力を思い起こさせたと非難している。
teleSUR Published 4 January 2023
Peruvians Block Roads in Cusco and Puno
(ペルー人民、クスコとプーノで道路を封鎖)
数日間の祝いの休戦の後、ペルーの農民、労働者、商人、輸送業者、およびクスコとプーノ地域の他の市民は、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任、早期総選挙の呼びかけ、およびペドロ・カスティージョ前大統領の釈放を要求して、大規模な抗議行動を再開した。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.05 Thursday)に全訳あり】
Perú Libre 3 enero 2023 Por VLADIMIR ROY CERRÓN ROJAS
Perú Libre no otorgará voto de confianza al Gabinete Otárola y anuncia participación en las marchas convocadas por el pueblo
(「ペルー・リブレ」は、オタローラ内閣を信任せず、国民が呼びかけたデモ行進に参加すると発表)
党の臨時国民議会は、2022年12月7日の議会・軍事クーデター後の権力簒奪の産物であるオタローラ内閣に信任投票を与えないことで全会一致で合意した。 / アルベルト・オタローラ首相は、元国防相という立場から、2022年12月、ペドロ・カスティージョ政権打倒後のデモで28人の同胞が虐殺された責任者の一人である。 / 設置された事実上の政府は、前例のない抑圧的な政策を適用しており、都市の軍事化、政治指導者やリーダーの迫害、デモ隊の超法規的処刑、不法な逮捕と投獄など、これらはすべて人道に対する犯罪にあたるものである。 / 党は、真の民主主義から生まれた新しい憲法を社会的合意のもとに作成するための立憲議会を求める闘いを続け、そのために1月4日からすべての地域で国民が呼びかけるデモ行進に参加する。 / ペドロ・カスティージョ前大統領の投獄は、現行憲法が要求する弾劾裁判なしに行われた違法なものであると考え、司法当局に釈放を要求する。
【このすぐ前の1月2日の論説では「カスティージョ政権は新自由主義政権である」として批判し、「ペルー・リブレが政府から排除された後、わずか3カ月で経済的利益を念頭に置いたあらゆる種類の日和見主義者が政権に群がるようになった」としている。】
INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 31, 2022 Carlos Fazio
Peru: The Coup Plot
(ペルー: クーデター計画)
12月7日以来、ペルーでは、ディナ・ボルアルテ前副大統領を「制度的」外観として、軍・議会独裁が強化されつつある。常に米国の後ろ盾があった横暴なクーデターである。ボルアルテは、ペドロ・カスティージョ大統領を裏切り、軍とフジモリズムと人種差別・階級差別のリマ・オリガルキーの傀儡となった。 / 議会クーデター計画の主要なオペレーターは、現議長のホセ・ウィリアムス・サパタ、元ペルー国軍統合司令官で保守グループ「Avanza País」の代表、2021年の選挙第2ラウンドでは超右派のケイコ・フジモリを支持した人物である。 / リマの多国籍企業の上層部とつながりのある情報筋によれば、クーデター計画は昨年9月から高度な情報操作の一環として練られていた。議会が罷免に必要な票を持たないので、彼らはカスティージョ大統領に、自分は軍と警察の支持を得ていると信じ込ませ、議会を解散させるよう誘導した(そうすれば彼は意図的に憲法秩序を破ることになる)。そのために、世論調査を偽造し(それを彼に見せるだけ)、自分は40%以上の民衆の支持を得ており、議会は8%しか支持していないと信じ込ませた。 / この計画には、軍と警察のほかに、検事総長室、会計検査官室、複数の閣僚、下院議員、ボルアルテ副大統領が関与していた。大統領が国民に議会解散と「例外政府」設置のメッセージを読み上げた後、数人の閣僚が相次いで辞任した。カスティージョはその後、軍の側近を通じて軍の支持を求めたが、何の反応もなかった。そこで彼は自分がハメられたことに気づいたが、時すでに遅し。 【1年以上かけて周到に計画されたクーデターだった! カスティージョは罠にはまってしまったようだ。】
People's World December 28, 2022 BY W. T. WHITNEY JR.
Seeking relief from oppression, Peruvians resist Castillo removal…and wait
(抑圧からの解放を求め、ペルー人民はカスティージョ解任に抵抗し、...そして待つ)
【既にとらえている内容はカットして注目点のみ】
ペルー軍は、一様にクーデターを支持しているわけではないかもしれない。12月18日に「VRAEM」地域(アプリマック川、エネ川、マンタロ川の谷を意味するスペイン語の頭文字)に駐留する軍隊は、「栄光あるペルー軍は非常事態を尊重しない」と宣言し、「簒奪者(大統領)ディナ・ボルアルテに対して反抗している」と述べている。彼らの声明は、「1993年のペルー政治憲法によって承認された、搾取的で腐敗したシステム」を非難している。 / 「ペルーには軍事的・政治的な独裁政権があり、我々は革命家のいない革命運動の中にいる」とベハール(カスティージョ政権最初の外相)は断言する。 / 2021年のカスティージョへの驚くべき投票や、現在進行中のクーデターへの精力的な抵抗が示すように、ペルーの労働者や周縁化された人々の大衆は、覚悟を固めている。
MR online Posted Dec 21, 2022 By Ben Norton
Latin America rejects coup in Peru, while U.S. supports unelected regime killing protesters
(ラ米カリブはペルーのクーデターを拒否し、米国は抗議者を殺害する非選挙政権を支援)
ラ米カリブ諸国の少なくとも14カ国が、ペルーのカスティージョ大統領への支持を公に表明している。 / メキシコ(ラテンアメリカで2番目に人口の多い国)、コロンビア(ラテンアメリカで3番目に人口の多い国)、アルゼンチン(人口第4位)、ベネズエラ(人口第6位)、ボリビア、ニカラグア、ホンジュラス、キューバ、アンティグア・バーブーダ、ドミニカ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島。【14カ国】 / 一方、ペルーの選挙によらないクーデター政権は、米国やカナダ、ブラジルの極右ジャイル・ボルソナロ政権、エクアドル、ウルグアイ、コスタリカの右派政権から強い支持を得ている。リベラル派のガブリエル・ボリッチ大統領率いるチリは、表向きは中道左派政権でありながら、米国や地域の右翼と一緒にペルーのクーデターを支持している唯一の国である。【6カ国+チリ+OAS / ただし、ブラジルは1月1日からルーラ政権。】 / ペルーのクーデター政権は、米国の外交政策の道具として機能するワシントンの米州機構(OAS)からも支持を受けている。
( 2023年1月26日)
(ペルー要点)
・ 人民の反クーデター闘争は、年明けから全国的にいっそう拡大発展。1月19日のゼネストを「労働者総連合」が呼びかけて、地方から闘争諸組織の代表団が続々と首都リマへ結集した。旗印は「リマの奪取」。 / 地方の農民と先住民のコミュニティから「第2回“四方からの行進”」が行われた。(かつて2000年にアルベルト・フジモリの不正な3度目の再選に抗議してリマに人民が結集したときに“四方からの行進”が行われた。)
・ 1月9日に南東部で17人の市民が虐殺され、それが人民の怒りをいっそう高めた。 / 全国各地での闘争の共通した要求は、カスティージョの解放、ボルアルテ「暫定大統領」の辞任、反動議会の閉鎖、総選挙の即時実施、憲法制定議会創設の5つだったが、これまでの弾圧による50人以上の殺害に抗議した「殺された50人以上の正義(殺害者の処罰)」が加わった。 / それに対して、1月11日に司法長官が、ボルアルテ大統領と首相、国防相、内相を大量虐殺の容疑で捜査中と発表。【権力内で亀裂か?】
・ 今回のクーデターは1年以上かけて周到に計画されたものだったことが暴露されている。 / 元ペルー軍統合司令官だった国民議会議長が主たるオペレーターで、高度の情報操作によってカスティージョ大統領に軍と警察の支持を得ていると信じ込ませ、議会を解散させるよう誘導したという。カスティージョは、議会解散のメッセージを読み上げた後、軍の支援を求めたが何の反応もなく、その段階でハメられたと気づいたが、時すでに遅しであったという。(INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 31, 2022)
・ 闘争主体の中心は、労働組合、農民、先住民、教員、学生、女性解放運動などの組織で、それぞれの地域で強い社会組織が闘争を牽引している。 / 旧来の左翼は大衆的な基盤を失っており、重要な役割を果たすことができておらず、全体を牽引する全国的な組織はこの全国闘争の中で形成されていくものと思われる。
・ 米帝国主義の関与は、クーデター後も継続的・定期的に行われている。 / クーデターに直接関与した在ペルー米国大使リサ・ケンナが、ボルアルテや閣僚など政府高官と定期的に会談している。 / そこでは、投資の機会や採取産業の発展・拡大などについても話し合っている。ペルーは、銅、鉛、亜鉛、錫、銀、金の産出量が世界でもトップクラス。液化天然ガス(LNG)の重要な生産国でもある。
・ カスティージョは、天然資源に対する民衆の支配力を取り戻す必要性を選挙の中心テーマのひとつにしていた。政権発足直後に、新たな農地改革とともに、天然資源が直接国民のためになるようにすることを目標に掲げた。 / クーデター政権は、それらをすべて反故にし、新自由主義的経済モデルに回帰している。
・ 「ペルー司教協議会」が、政府、議会、デモ参加者の間の対話を促進することで現在の危機を調停すると発表したが、今のところ対話の機運はない。
・ 世界中の多くの政府とさまざまな社会運動が、ペルーでの警察と軍による残忍な弾圧を非難・批判し、抗議者たちとの連帯を表明している。 / 1月13日の段階で、世界各国の100人以上のジャーナリストやメディア・プロジェクトが、ペルー国民への弾圧とジャーナリストへの攻撃の停止を求める書簡に署名。
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(ペルー)
teleSUR Published 24 January 2023
Peruvians to Carry Out Another Great March Against Boluarte
(ペルー: ボルアルテに反対する大行進を再び決行へ)
12月以来、ボルアルテ政権は62人の死者と数百人の負傷者を出している。しかし、国家テロはペルー人を萎縮させてはいない。 / 1月24日には、先住民、労働者、農民、学生が2022年12月7日以来ずっと辞任を要求してきたディナ・ボルアルテ大統領に抗議する「国民大行進」に、何千人ものペルー人が参加する予定。 / このデモは、国内の様々な地域から多くの抗議者が集まった「リマの奪取」デモから5日後に行われる。 / 月曜日(1/23)には、リマの街頭で大規模な抗議行動が続き、先週各地から到着した数千人の市民が残っている。
teleSUR Published 23 January 2023
The Protests Against Boluarte Won't Cease, Peruvian Unions Say
(ボルアルテへの抗議は止まらない、とペルーの労働組合が述べている)
全国の「土木建築労働者連盟」は、抗議者たちに対するボルアルテ政権の暴力を非難した。警察との衝突で772人が負傷した。 / 日曜日(1/22)、ペルーの「土木建設労働者連盟(FTCCP)」のルイス・ビジャヌエバ書記長は、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任と即時総選挙の実施を要求する動員は止まらないとアナウンスした。 / また、FTCCPは「ペルー労働者総連合(CGTP)」が呼びかけた抗議行動を引き続き支持することを強調。
MR online Posted Jan 21, 2023 By Ben Norton
(Originally published: Multipolarista on January 19, 2023)
Peru’s natural resources: CIA-linked U.S. ambassador meets with mining and energy ministers to talk ‘investments’
(ペルーの天然資源: CIAとつながりのある米国大使が鉱業・エネルギー相と会談し「投資」について語る)
在ペルー米国大使のリサ・ケンナは、2022年12月に、民主的に選出された左派の大統領ペドロ・カスティージョを倒した議会クーデターを支援したCIAのベテランである。 / カスティージョはその後、正当な手続きを経ずに18カ月間投獄され、ペルー全土で大規模な抗議デモが発生した。選挙で選ばれたわけでもない政府は極端な暴力で対抗し、わずか1カ月余りで約50人のデモ参加者を殺害した。 / 12月7日のクーデターの前日、元CIA職員で米国大使となったケンナは、ペルーの国防相と会談し、国防相はカスティージョ大統領に反抗するよう強力な国軍に指示した。 / それ以来、ケンナはかなり忙しく、選挙で選ばれたわけでもないディナ・ボルアルテ大統領やその閣僚など、ペルーのクーデター政権の高官と定期的に会談している。 / 1月18日、米国大使はペルーのエネルギー・鉱業大臣、炭化水素副大臣、鉱業副大臣と面会した。 / ペルーのエネルギー・鉱業省は、「投資」の機会や採取産業の「開発」と「拡大」の計画について話し合ったと自慢している。 / ペルーは天然資源、特に鉱物の豊富な国である。スペインの植民者たちは、この南米の国の大量に埋蔵されている銀や金を採掘した。現在では、多国籍企業が利益の上がる資源採掘拠点として見ている。 / 銅、鉛、亜鉛、錫、銀、金の産出量は世界でもトップクラスで、ペルー経済は鉱業に大きく依存しており、国の総輸出の半分以上、GDPの10%以上を占めている。 / 世界三大国際鉱山企業であるBHP、Rio Tinto、Glencoreをはじめ、カナダ、ブラジル、スイス、英国、米国、日本、オーストラリアの企業がペルーに多額の投資をおこなっている。 / ペルーは隣国のチリに次いで世界第2位の銅生産国であり、再生可能エネルギー技術へのシフトが進む中、その重要性はますます高まっていくだろう。 / 米国の投資銀行大手ゴールドマン・サックスは2022年、「銅は新しい石油だ」と述べ、こう記している。「最もコスト効率のよい導電材料である銅は、新しいエネルギー源の捕獲、貯蔵、輸送の中核を担う」と述べている。 / ペルーは液化天然ガス(LNG)の重要な生産国でもある。そのLNGの輸出は、主にシェルなどの外国企業によって管理されている。 / ウクライナの代理戦争をめぐってEUがロシアのエネルギーをボイコットした後、2022年に欧州がペルー産LNGの輸入トップとなった。 / 2021年に立候補した左派の大統領候補ペドロ・カスティージョは、ペルーの天然資源に対する民衆の支配力を取り戻す必要性を選挙の中心テーマのひとつにしていた。外国企業が国を「略奪」していると非難し、鉱業で得た収益の70%が社会事業の資金として国に入るよう、契約を再交渉するよう訴えた。 / 就任当初、カスティージョは政治的にできることが非常に限られていた。右派の野党が議会で多数を占め、彼を不安定にさせ、最終的には大統領の「空席」を作って追い出そうと躍起になっていた。議会と、政治色の強い腐敗した司法を利用して、組織的な迫害と「lawfare法戦」(法律を武器とした戦争)のキャンペーンの一環として、カスティージョに対する絶え間ない攻撃を開始した。 / しかし、カスティージョはできる限りのことをした。大統領は「第二次農地改革」を発表し、「すべてのペルー人のために国の資源を救出する」と宣言した。「天然資源が直接国民のためになるようにしたい」と目標を説明した。 / カスティージョ政権は、隣国コロンビアの左翼系大統領グスタボ・ペトロと、ペルー国内のガス・インフラ整備と内需拡大の計画を立てた。これは、カスティージョの輸入代替工業化という進歩的な経済モデルの一環であり、ペルーが低付加価値の輸出品にばかり依存しないよう、国内産業を育成し国内消費を促進することを目的としていた。 / しかし、カスティージョを追放した直後のクーデター政権は、国内開発よりも外国企業の投資を優先する「ワシントン・コンセンサス」の新自由主義的経済モデルに回帰してしまった。 / この南米の国では、先住民を中心とした地域社会が、環境を破壊する鉱山会社に長い間抗議してきた。これらの農村コミュニティは、カスティージョ大統領の支持基盤であった。クーデター以降、彼らは大規模な抗議行動を組織し、カスティージョ大統領の解放、新たな選挙の実施、そして、米国が支援する極右独裁政権であったアルベルト・フジモリの現行憲法に代わる新しい憲法を制定するための制憲議会を政府が招集することを要求している。
teleSUR Published 20 January 2023
Peruvian Episcopal Conference Offers To Mediate Amidst Crisis
(ペルー司教協議会、危機の中、調停を申し出る)
「ペルー司教協議会」は、金曜日(1/20)、政府、議会、デモ参加者の間の対話を促進することで、現在の社会政治的危機を調停する決定を発表した。
teleSUR Published 20 January 2023
Social Organizations Worldwide Reject Brutal Repression in Peru
(ペルーでの残忍な弾圧に世界の社会諸組織が反発)
世界中の社会運動が、ディナ・ボルアルテ大統領が支配する警察と軍によって残忍に弾圧されているペルーの抗議者たちとの連帯を表明した。
Common Dreams Jan 20, 2023 BRETT WILKINS
Outraged Peruvians Demand Boluarte Resign During Tumultuous 'Takeover of Lima'
(怒れるペルー人、騒然とした「Takeover of Lima」の中、ボルアルテの辞任を要求)
「我々は独裁と民主主義の境界線にいる」と、ある学生デモ参加者は警告した。 / 何千人ものペルー人が、20日、首都の通りに繰り出し、選挙で選ばれたわけではないディナ・ボルアルテ――米国に支援された大統領――の辞任、6週間の暴動で殺された50人以上の人々の正義(殺害者の処罰)、投獄されたペドロ・カスティージョ前大統領の政権復帰、彼を追放した議会の解散を要求している。
【これまで共通した要求は、「ボルアルテの辞任」「カスティージョの復帰」「議会の解散」に「新たな総選挙の早期実施」と「憲法制定議会の創設」を加えて5つだったが、「殺された50人以上の人々の正義(殺害者の処罰)」が加わった。】
Peoples Dispatch January 19, 2023 by Peoples Dispatch
Tens of thousands on the streets of Peru in national strike
(ペルーの街頭で数万人が全国規模のストライキを実施)
民主化推進デモは、複数の著名人、大学、進歩的な政党の支持を受けている。 / 前大統領ペドロ・カスティージョに対する議会クーデターを拒否し、事実上の大統領ディナ・ボルアルテの即時辞任を要求するために、1月19日に招集された全国ストライキに参加するため、全国から数万人のペルー人が首都リマに到着した。 / 農民と先住民のコミュニティは、多数の社会組織と労働組合のメンバーとともに、ペルー全土からキャラバンでリマに到着した。キャラバンは、ペルー奥地の排除された大衆の声を権力の座に届けるために、第2回「Marcha de los Cuatro Suyos」(四方からの行進)の一部として組織された。 / 各組織は、「Toma de Lima」(リマの奪取)の旗印のもと、リマの各地からボルアルト政権に反対する行進をリマの中心部まで行うよう呼びかけている。この行進は、事実上の政府が平和的な抗議活動に対して放った警察や軍の残忍な弾圧を非難し、また犠牲者のための正義を要求するために特に組織されたものである。 / 同時に、各団体は、全国ストライキの一環として国土全域でデモと道路封鎖を強化するよう呼びかけている。 / 2021年のカスティージョの大統領候補を後援した左翼政党「ペルー・リブレ」は、18日の声明で民衆の闘いを支持した。 / 進歩的な政治運動「新ペルー(New Peru)」も支持を表明している。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.21 Saturday)に全訳あり】
【「新ペルー(New Peru)」Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/New_Peru):「民主主義・主権・正義のための新ペルー(Nuevo Perú, por Democracia, Soberanía y Justicia)」は、2016~19年のペルー議会に向けて、2017年に「Broad Front」の分派政党として設立されたペルーの左翼政党である。社会主義を信奉し、ペルーのマルクス主義者であるホセ・カルロス・マリアテギの思想を取り入れている。】
teleSUR Published 19 January 2023
Thousands of Outraged Peruvians Continue to Arrive in Lima
(憤慨した数千人のペルー人がリマに続々と到着)
ペルーの治安部隊が設けようとした障害にもかかわらず、国内のさまざまな地域から何千人もの労働者、農民、学生がリマに到着し続けている。 / 少なくとも52人の死者を出した国家テロに憤慨して、2022年12月7日に議会が大統領に任命したディナ・ボルアルテの辞任を要求する「四方からの行進」に参加する予定。 / 抗議者たちは、ほとんどが貧しい地域から来ており、リマの政治エリートに対する怒りを爆発させている。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.20 Friday)に全訳あり】
teleSUR Published 18 January 2023
Peruvian Workers Call for a National Strike Against Boluarte
(ペルーの労働者、ボルアルテに反対する全国ストライキを呼びかけ)
現在の大規模な抗議行動は、ボルアルテ政権が引き起こした死に対する怒りによって煽られている。 / ペルー全土からリマまで行進している数千人の市民は、木曜日(1/19)に「労働者総連合(CGTP)」が呼びかけたゼネストに参加する予定だ。 / 先住民、労働者、農民、学生が首都に到達するのを防ぐため、政権の治安部隊はリマへの車両の進入をチェックするなどの予防策を実施している。
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 17, 2023 Tanya Wadhwa
Peruvian Movements Organize Caravan to Lima to Intensify Protests
(ペルーの運動団体、リマへのキャラバンを組織し抗議活動を激化させる)
先住民と農民の指導者は、クーデターとディナ・ボルアルテの事実上の政府に対する継続的な抗議行動を強化するために、リマへの「四方からの行進(March from the Four Corners)」を呼びかけた。 / ペルーの北部、中部、南部、東部から数千人の人々が、クーデターに対する抗議行動を強化し、事実上のディナ・ボルアルテ大統領の辞任を求めるために、首都リマに向かうキャラバンに乗って出発した。農民、先住民、社会、労働組合組織からなる代表団は、ペルーの社会から疎外されたコミュニティの声を首都に届けるための第2回目の「Marcha de los Cuatro Suyos」(四隅からの行進)の一部としてリマに向かっている。 / この行進は、先住民や農民の指導者たちによって1月10日に発表され、すでにいくつかの抗議者グループが首都に到着している。一方、アイマラ族とケチュア族の先住民共同体のメンバーや、様々な社会組織や労働組合のメンバー数千人が、1月16日に各州からリマに向けてキャラバン隊で出発した。 / 最初の大規模な「四方からの行進」は、アルベルト・フジモリの不正な再選に反対して、2000年7月に組織された。2000年7月、何千人ものペルー人が国の四隅からリマに集まり、フジモリの辞任を要求して3日間抗議行動をおこなった。 / 「都市・農民パトロール運動単一全国連合(Central Única Nacional de Rondas Campesinas - CUNARC)」の地域の長たちは、カスティージョに代表されると感じている長い間放置されてきたペルーの田舎から数十万のメンバーがリマに集まってきていると報告した。多くは、リマにとどまり、ボルアルテが辞任するまで平和的なデモを続けるという。農民運動は1月19日に向けて全国的な抗議行動を呼びかけている。 / 1月14日、ディナ・ボラルテ政府は、リマ県、プーノ県、クスコ県、カヤオ県、アンダウエイラス県、タンボパタ県、タワマヌ県、マリスカル・ニエト県、トラタ地区で30日間の非常事態宣言を行うと発表した。これらは、正月休み明けの無期限全国ストの再開を受けて、1月4日から大規模な反政府デモが行われている地域である。 / 闘いは続く これらの抗議行動は、次のことを要求する全国規模の抗議行動の一部として行われたものであった。カスティージョ前大統領の釈放、ボルアルテ事実上の大統領の即時辞任、右翼が支配する議会の解散、新しい総選挙、アルベルト・フジモリの極右独裁政権の下で書かれ押し付けられた1993年憲法を改正する制憲議会の設立。 / "ボルアルテは自分を売った" 「ペルー研究所(IEP)」が最近行った調査によると、ペルー人の71%がボルアルテ政権不支持である。さらに、88%の国民が右翼野党が多数派である議会の活動を否定している。同様に、60%の人がカスティージョを釈放すべきと考えており、58%の人が治安部隊が社会的抗議行動を弾圧するために過剰な力を使っていると考えている。同様に、現行憲法に代わる制憲議会の召集に69%が賛成している。 / 【(以下、要約)右翼のクーデター計画はうまくいかなかった。そこでボルアルテを味方につけて機会を待った。ボルアルテは完全に敵に身売りし、自分を勝たせた人々に対する忠誠心を捨てた。これまで沈黙を守ってきた人々がもはや耐えられなくなった。】
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 17, 2023 Ollantay Itzamná
Indomitable Peru
(不屈のペルー)
12月7日、ペドロ・カスティージョ大統領の転覆を企て実行した人々は、200年目の共和制国家の貧しく略奪された領土で、そこから農村の民衆が反乱を起こすとは想像もしていなかったし、計算もしていなかったのだ。 / この国の歴史上、同時多発的かつ持続的な大規模かつ前例のない集団行動を活性化させた要因が何であったかは、いずれ理解されるであろう。規則的に、社会な力の歴史的蓄積も、ある核となる指導者の周りに活性化され、凝集される。今回の場合、リーダーは存在しない。 / 民衆の蜂起の統一的な要素の一つは、虐殺によって引き起こされた痛みに対する憤りであり、国政のシナリオの中でスペースを獲得しつつある民衆のアジェンダであるように思われる。全員辞任、新しい選挙、新しい憲法制定議会、カスティージョの解放。 / ペドロ・カスティージョの反民主的な解任は、新自由主義システムのビジネス・エージェントによる虐待的行為に腹を立てていた地方の民衆セクターにとって、我慢の限界を超えたものであった。 / ペルーの政治・経済エリートは、メディアを通じて、(恐怖や欲望を操作することによって)貧困にあえぐ人々の行動をコントロールできなくなったため、歴史的植民地支配の最終兵器である、反抗的な人々を軍事的に処罰し懲らしめることを実行に移し始めた。2ヵ月足らずの間に、簒奪者である大統領は夜間外出禁止令を含む3つの非常事態を発令した。しかし、動員された人々は、虐殺に怯えるどころか、夜間外出禁止令の時間でさえ、自己招集を続け、道路を封鎖し、公共および民間の空間と建物を占拠した。 / 現在、彼らは街頭に動員された人民と民衆セクターを罰し、懲らしめ、国家の銃弾で50人が殺害されているが、反抗的な「民衆」は怯むどころか、さらに力強く咆哮し、国中のさまざまなルートから、まさにペルー寡頭制の政治・経済の中心地、リマ市に直接進出してきている。
teleSUR Published 17 January 2023
Thousands of Farmers Continue Advancing Towards Lima
(数千人の農民がリマに向かって前進を続ける)
火曜日(1/17)の未明、何千人ものペルー人が「4つのSuyosの行進」(La Marcha de Los Cuatro Suyos)に参加し、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任を要求するためにリマに向かった。 / 農民たちは、無期限ストが14日間連続で行われた地域であるApurimacからトラックで移動している。彼らは、2022年12月7日に議会によって解任されたペドロ・カスティージョ前大統領の釈放を要求している。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.18 Wednesday)に全訳あり】
INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 16, 2023 Abayomi Azikiwe
Unrest Spreads Across Peru After Massacre of Civilians
(民間人虐殺の後、ペルー全土に不安が広がる)
クーデター大統領ディナ・ボルアルテの起訴を求める声が上がる一方、南部では数十人の無差別殺戮が続いている。 / 「ペルー・リブレ」党の分裂は、軍部とともに右翼が実権を握ることを促した。 / カスティージョとボルアルテが「ペルー・リブレ」から離脱したにもかかわらず、カスティージョ大統領は2021年の選挙戦で掲げた改革に関心を持つ有権者からの幅広い支持を維持した。カスティージョは、南部地域の農村人民の間で絶大な支持を維持している。この地域は、観光と採取産業に大きく依存するペルー経済全体のカギを握っている。 / 年末年始の小休止の後、大規模な抗議行動と市民的不服従の行為が再開された。ボルアルテ政権は非常事態を宣言し、国中で夜間外出禁止令を発令した。 / カスティージョへの広範な支持は、1ヶ月以上にわたって国内の主要地域を襲った大規模デモとゼネストの経済的・社会的影響によって証明された。 / 1月4日、アレキパ、アヤクーチョ、アプリマック、クスコ、モケグア、マドレ・デ・ディオス、プノの各県で無期限ストが開始された。 / 「ペルー労働総連合(CGTP)」は、首都リマでデモを実施し、国内のさまざまな部分で実施されている動員・スト行動への連帯を表明した。さらに、議会の閉鎖、ボルアルテの辞任、総選挙の即時実施の要求を支持した。 / フリアカでの大虐殺 1月9日、サン・ロマン県のフリアカ市で、南東部の治安部隊によって17人の市民が虐殺されたことが報じられた。その2日後、デモ隊がボルアルテを糾弾する看板を掲げ、死者の棺を担いで市内をデモ行進した。 / カスティージョの支持者たちは、ゼネストをおこなって現在の国内の政治状況を逆転させる必要性を強調した。 / メキシコ、キューバ、アルゼンチン、ベネズエラなど、この地域のいくつもの国が、元大統領の罷免を拒否している。 / ペルーの司法長官は、1月11日、ボルアルテ大統領とアルベルト・オタローラ首相、国防相、内相を大量虐殺の容疑で捜査中であると発表した。この捜査の発表は、ペルー議会がボルアルテとオタローラ政権に信任票を投じたのと同じ週に行われた。【権力内部で統一されていないことが現れている。】 / 米国とその同盟諸国の役割 米国務省はカスティージョに対するクーデターを支持した。カスティージョは、弾劾は違法であり、自分が正当な大統領であると繰り返し主張している。 / ボルアルテは表向きは文民大統領だが、就任当初からペルー国家警察とペルー軍に権限を与え、カスティージョ解任に反対する民主・左翼勢力を弾圧してきた。
teleSUR Published 15 January 2023
Boluarte’s Government Suspends Constitutional Rights in Peru
(ペルー: ボルアルテ政権、憲法上の権利を停止)
30日間、居住地の不可侵と国土通過の自由、集会、個人の自由と安全という憲法上の権利が停止される。 / 社会運動諸組織が今週月曜日(1/16)にリマでいくつものデモを実施する準備をしている。その前夜に、指名大統領政府はこの法令を発した。 / 社会諸組織が警察の弾圧に反対するデモを呼びかけ続ける中、ディナ・ボルアルテ指名大統領政府は、土曜日(1/14)、リマ、カヤオ、プーノ、クスコにおいて非常事態を宣言し、いくつかの憲法上の権利を停止することになった。 / 土曜日の深夜に官報に掲載されたこの法令は、公共秩序を「守る」ために、軍が警察と一緒に介入することを許可するものである。 / この法令は、「ペルー国家警察は、軍の支援を得て、国内秩序を維持する」ことを定めている。
【12月14日にも30日間の「国家非常事態」を発令しているが、人民によって無視された。】
Peoples Dispatch January 13, 2023 by Peoples Dispatch
Stop the violence against the Peruvian people!
(ペルーの人々に対する暴力を止めろ!)
世界各国の100人以上のジャーナリストやメディア・プロジェクトが、ペルー国民への弾圧とジャーナリストへの攻撃の停止を求める書簡に署名した。 / ペルー国民は、12月7日に立憲大統領ペドロ・カスティージョを失脚させたクーデターを拒否するため、全国で街頭活動を展開している。ペルー当局はこの大規模な抗議行動に対し、残忍な暴力で対抗している。ペルーの人権団体は、今日の時点で、抗議行動との関連で48人が死亡し、さらに数百人が負傷したと推定している。 / ペルーの主流の企業メディアは、街頭にいる人々は「犯罪者」「テロリスト」であり、彼らの要求は非合法であるという政府のシナリオを強化することに貢献している。一方、抗議行動を取材しているペルーの独立系メディアやジャーナリストは、脅迫、中傷や汚名挽回キャンペーン、身体的攻撃にさらされている。 / こうした状況を踏まえ、ペルーからインド、ハイチからエジプトまで、Rania Khalek, Carlos Aznarez, Claudia Cisneros, Eugene Puryear, Vijay Prashad, Alina Duarte, Kwesi Pratt Jnrなど100人以上のジャーナリストやメディア関係者が、この暴力を非難し抗議者とジャーナリストの権利を尊重するよう求める手紙に署名をした。【以下、書簡と署名者名】
junge Welt 2023.1.12 (ドイツ語)
Peru: Genozidvorwurf gegen Boluarte
(ペルー:ボルアルテにジェノサイドの非難が集中)
ペルーの司法長官は、事実上の大統領であるディナ・ボルアルテに対して「大量虐殺」の容疑で捜査することを発表した。予備捜査の対象は、アルベルト・オタローラ内閣官房長官、ビクトル・ロハス内相、ホルヘ・チャベス国防相にも及ぶと、法執行機関が火曜日(1/10現地時間)にツイッターで発表した。選挙で選ばれたペドロ・カスティージョ大統領を退陣させて引き継いだボルアルテに対する約4週間続いている抗議デモで、少なくとも46人が死亡、600人以上が負傷している。司法長官は、「大量虐殺、故意の殺人、痛ましい身体的被害」の犯罪の疑いで捜査が進められている、と述べた。
teleSUR Published 10 January 2023
Brutal Repression Leaves 17 Dead in a Peruvian City
(ペルーの都市で17人の死者を出す残忍な弾圧)
月曜日(1/9)、ペルーは2022年12月7日にディナ・ボルアルテが大統領に就任して以来、最も血生臭い一日を経験した。彼女の指揮下にある治安部隊がJuliaca市で17人を殺害し、死者数は46人となった。 / 17人のデモ参加者のほとんどは、ボルアルテの辞任、議会の閉鎖、今年の総選挙の実施、制憲議会の設置、ペドロ・カスティージョ前大統領の即時解放を求める市民数百人が集まっていたフリアカ空港の近辺で死亡したとのこと。
teleSUR Published 9 January 2023
Peru Reports 14 Deaths in Demonstrations in Juliaca, Puno
(ペルー、JuliacaとPunoでのデモで14名の死亡を報告)
本日(1/9)、「San Roman Health Network」は、ペルーの都市Juliacaにおける警察とデモ隊の衝突により、14人が死亡し64人が負傷したことを最新情報として報告した。
teleSUR Published 8 January 2023
Protesters Maintain Roadblocks in Peru
(ペルーでデモ隊が道路封鎖を維持)
オンブズマン事務局は、ボルアルテ大統領の辞任を要求するため、国内で封鎖された道路は62カ所に上ると発表した。 / ディナ・ボルアルテ大統領の退陣、早期選挙、その他の要求を求めるペルーの抗議活動はこの日曜日(1/8)も続き、国内のいくつもの地域で道路封鎖や大規模な動員が行われている。
teleSUR Publicado 5 enero 2023 (スペイン語)
Organizaciones peruanas continúan movilizadas contra el Gobierno de Dina Boluarte
(ペルーの諸組織がディナ・ボルアルテ政権に反対して引き続き動員)
ペルーで始まった無期限ストライキの2日目、社会諸組織は、大統領に指名されたディナ・ボルアルテの辞任、議会の閉鎖、早期選挙、立憲議会の設立を要求する動員を継続している。
Peoples Dispatch January 04, 2023 by Zoe Alexandra
‘They shot them down like animals’: massacre in Peru’s Ayacucho
(「彼らは動物のように人々を撃ち殺した」:ペルーのアヤクーチョでの大虐殺)
12月15日にアヤクーチョで起きた大虐殺の生存者と犠牲者の家族は、軍が抗議者を戦争の標的のように扱い、国内武力紛争時に直面した暴力を思い起こさせたと非難している。
teleSUR Published 4 January 2023
Peruvians Block Roads in Cusco and Puno
(ペルー人民、クスコとプーノで道路を封鎖)
数日間の祝いの休戦の後、ペルーの農民、労働者、商人、輸送業者、およびクスコとプーノ地域の他の市民は、ディナ・ボルアルテ大統領の辞任、早期総選挙の呼びかけ、およびペドロ・カスティージョ前大統領の釈放を要求して、大規模な抗議行動を再開した。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2023.01.05 Thursday)に全訳あり】
Perú Libre 3 enero 2023 Por VLADIMIR ROY CERRÓN ROJAS
Perú Libre no otorgará voto de confianza al Gabinete Otárola y anuncia participación en las marchas convocadas por el pueblo
(「ペルー・リブレ」は、オタローラ内閣を信任せず、国民が呼びかけたデモ行進に参加すると発表)
党の臨時国民議会は、2022年12月7日の議会・軍事クーデター後の権力簒奪の産物であるオタローラ内閣に信任投票を与えないことで全会一致で合意した。 / アルベルト・オタローラ首相は、元国防相という立場から、2022年12月、ペドロ・カスティージョ政権打倒後のデモで28人の同胞が虐殺された責任者の一人である。 / 設置された事実上の政府は、前例のない抑圧的な政策を適用しており、都市の軍事化、政治指導者やリーダーの迫害、デモ隊の超法規的処刑、不法な逮捕と投獄など、これらはすべて人道に対する犯罪にあたるものである。 / 党は、真の民主主義から生まれた新しい憲法を社会的合意のもとに作成するための立憲議会を求める闘いを続け、そのために1月4日からすべての地域で国民が呼びかけるデモ行進に参加する。 / ペドロ・カスティージョ前大統領の投獄は、現行憲法が要求する弾劾裁判なしに行われた違法なものであると考え、司法当局に釈放を要求する。
【このすぐ前の1月2日の論説では「カスティージョ政権は新自由主義政権である」として批判し、「ペルー・リブレが政府から排除された後、わずか3カ月で経済的利益を念頭に置いたあらゆる種類の日和見主義者が政権に群がるようになった」としている。】
INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 31, 2022 Carlos Fazio
Peru: The Coup Plot
(ペルー: クーデター計画)
12月7日以来、ペルーでは、ディナ・ボルアルテ前副大統領を「制度的」外観として、軍・議会独裁が強化されつつある。常に米国の後ろ盾があった横暴なクーデターである。ボルアルテは、ペドロ・カスティージョ大統領を裏切り、軍とフジモリズムと人種差別・階級差別のリマ・オリガルキーの傀儡となった。 / 議会クーデター計画の主要なオペレーターは、現議長のホセ・ウィリアムス・サパタ、元ペルー国軍統合司令官で保守グループ「Avanza País」の代表、2021年の選挙第2ラウンドでは超右派のケイコ・フジモリを支持した人物である。 / リマの多国籍企業の上層部とつながりのある情報筋によれば、クーデター計画は昨年9月から高度な情報操作の一環として練られていた。議会が罷免に必要な票を持たないので、彼らはカスティージョ大統領に、自分は軍と警察の支持を得ていると信じ込ませ、議会を解散させるよう誘導した(そうすれば彼は意図的に憲法秩序を破ることになる)。そのために、世論調査を偽造し(それを彼に見せるだけ)、自分は40%以上の民衆の支持を得ており、議会は8%しか支持していないと信じ込ませた。 / この計画には、軍と警察のほかに、検事総長室、会計検査官室、複数の閣僚、下院議員、ボルアルテ副大統領が関与していた。大統領が国民に議会解散と「例外政府」設置のメッセージを読み上げた後、数人の閣僚が相次いで辞任した。カスティージョはその後、軍の側近を通じて軍の支持を求めたが、何の反応もなかった。そこで彼は自分がハメられたことに気づいたが、時すでに遅し。 【1年以上かけて周到に計画されたクーデターだった! カスティージョは罠にはまってしまったようだ。】
People's World December 28, 2022 BY W. T. WHITNEY JR.
Seeking relief from oppression, Peruvians resist Castillo removal…and wait
(抑圧からの解放を求め、ペルー人民はカスティージョ解任に抵抗し、...そして待つ)
【既にとらえている内容はカットして注目点のみ】
ペルー軍は、一様にクーデターを支持しているわけではないかもしれない。12月18日に「VRAEM」地域(アプリマック川、エネ川、マンタロ川の谷を意味するスペイン語の頭文字)に駐留する軍隊は、「栄光あるペルー軍は非常事態を尊重しない」と宣言し、「簒奪者(大統領)ディナ・ボルアルテに対して反抗している」と述べている。彼らの声明は、「1993年のペルー政治憲法によって承認された、搾取的で腐敗したシステム」を非難している。 / 「ペルーには軍事的・政治的な独裁政権があり、我々は革命家のいない革命運動の中にいる」とベハール(カスティージョ政権最初の外相)は断言する。 / 2021年のカスティージョへの驚くべき投票や、現在進行中のクーデターへの精力的な抵抗が示すように、ペルーの労働者や周縁化された人々の大衆は、覚悟を固めている。
MR online Posted Dec 21, 2022 By Ben Norton
Latin America rejects coup in Peru, while U.S. supports unelected regime killing protesters
(ラ米カリブはペルーのクーデターを拒否し、米国は抗議者を殺害する非選挙政権を支援)
ラ米カリブ諸国の少なくとも14カ国が、ペルーのカスティージョ大統領への支持を公に表明している。 / メキシコ(ラテンアメリカで2番目に人口の多い国)、コロンビア(ラテンアメリカで3番目に人口の多い国)、アルゼンチン(人口第4位)、ベネズエラ(人口第6位)、ボリビア、ニカラグア、ホンジュラス、キューバ、アンティグア・バーブーダ、ドミニカ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島。【14カ国】 / 一方、ペルーの選挙によらないクーデター政権は、米国やカナダ、ブラジルの極右ジャイル・ボルソナロ政権、エクアドル、ウルグアイ、コスタリカの右派政権から強い支持を得ている。リベラル派のガブリエル・ボリッチ大統領率いるチリは、表向きは中道左派政権でありながら、米国や地域の右翼と一緒にペルーのクーデターを支持している唯一の国である。【6カ国+チリ+OAS / ただし、ブラジルは1月1日からルーラ政権。】 / ペルーのクーデター政権は、米国の外交政策の道具として機能するワシントンの米州機構(OAS)からも支持を受けている。