ホームページを立ち上げて以来、エアコンの設置工事で失敗しているお客様からの問合せや依頼が増えました。
失敗したお客様にどこで工事をされたのか伺うと家電量販店の下請けもありましたし、引越しの委託業者、看板を挙げていない一個人の素人??の場合もありました。
このページは個人的な主観や批判的な事ばかりになってしまい、あまり良いことではありませんが少しでもお客様の業者選びの参考になればと思い書かせて頂きました。
全て私が経験し感じた事ですのでご一読くだされば幸いです。
エアコン工事で失敗しないために皆さんはどこに依頼しますか?
電気屋さんと答えた方は正解でもあり、不正解でもあります。一言に電気屋さんと言っても
・電気設備工事業 ・地域の小型家電販売店 ・大型家電量販店(正しくは下請けの専門業者)
これだけ多くの電気屋さんがあり、この中で最も信頼できるのは 地域の小型販売店で個人で信頼を重視するお店 だと思います。
そして、ほとんどの方は知らないと思いますが実はこの外にエアコンの工事を得意とする職業があります。
エアコンの工事は電気屋さんの仕事と思われがちですが、建築業界では電気屋さんではなく専門職の空調設備業(空調屋)が主に請負います。
空調設備業者とは家庭用の小さなエアコンから始まり、ビル、設備用などの大きなエアコン、サブコンなどの大手になれば地域冷房に使う特殊な冷凍機や大型の換気設備なども扱える空調・換気の何でも屋さんです。
逆に私が個人的に一番信用できないと思っているのはweb等でも多くの失敗談が聞かれる家電量販店の下請け工事屋さんです。
それは彼らが業務用やハウジングエアコンの経験があまり無く、空調工事の中で最も簡単とされるルームエアコンの工事経験しか無い方が多いからです。かなりの確率でVA線の差込が中途半端でむき出しになっていることが多いです。(ちゃんと工事できる下請けの電気屋さんも勿論いますが。 )
ルームエアコン工事だけで、沖縄電力に電気メーターの申請業務もできません。お客様から聞いた話ですが、最近でも業務用エアコンの取り付けだけやって、「申請は、誰か知っている電気屋さんに頼んで!」と、言われたケースがありました。(電気工事事業者登録をしていないため。)
また以前、現場で鉢合わせした某家電店の作業員にエアコン修理に関して「エアコン修理は、まずエラーコードを表示させてから行いますよね?」と、確認したところ、「?何それ? それより、だいたいまず室外機の基盤を交換すれば直るよ!」と、真顔で言っていました・・・。おそらくエラーコードの出し方も、存在もわからないのではないでしょうか? みんながみんなそうだとは思いませんが、その人に修理を任せたら、あれこれ手あたり次第交換して時間がかかることだと感じました。 その人にとってどれだけ無駄な基盤や部品交換を行ったとしても自分の財布から出るお金ではないので、何とも感じないんだと思います。全て会社の経費であり、余計な出費になります・・・。
実際に私自身リピーターのお客様でそういうこともありました。私がお伺いして故障個所を切り分けてからお客様に「地元で買いました?五年保障とか入っています?」とか確認したところ「5年保障に入っている。」ということでしたので「弊社で対応すると有償になりますから、その販売店に依頼されたほうがいいですね。」と伝えて潔く退散したことがありました。それから一年後にそのお客様からエアコンクリーニングの依頼を頂き、その修理の件に関して「やっぱり前盛さんの言ったところを変えたら直ったけど、当初全く見当違いの部品をあれこれ変えて結局3週間待たされたよ! まあ、秋だからそんなに暑くない時期だったからよかったけど」と、おっしゃっていましたが。こういうことは、実際に現場では、起きています。
もっとひどい事例もあります。
ご自宅の室外機を観察してみてください。左の写真は分かり易いように再現したものですが室外機の後ろで配管がグルグル巻きになっていませんか?
これは量販店の工事屋で多い施工方法で、本来は行ってはいけない工事の見本です。
石垣島でもあちこちで見られる工事ですが・・・。
室外機には圧縮機(コンプレッサー)と呼ばれるエアコンの心臓部のような部品があり、エアコンのガスには、冷凍機オイルと呼ばれる潤滑油が含まれています。
オイルは冷媒ガスと一緒に圧縮機から出て行きこのグルグルにされた配管に溜まってしまいやがてオイルの不足した圧縮機は潤滑不良になって壊れてしまいます。
では、なぜ長い配管を切らずに丸めてあるのでしょう?
これは通常4m程度の 『配管セット』 と言うもので、誰でも(専用工具が無い人でも)配管ができるように作られた資材を使っているからです。
見た目も悪く壊れる原因にもなるのでそれが分かっている空調屋ならば長ければ切ってちょうどいい長さにしますし、短ければ溶接や継手を使用して冷媒配管を伸ばします。 他にもよくあるのは、殆どが空調工事の一般研修を受けることなく、先輩から習うことが多いです。 「何故、こうしなければいけないのか?」とか疑問を持つこともなく工事をしているからかと思います。
冷媒配管を切って機器と接続するには「フレアツール」という工具を使用して「フレア加工」と言う処理をしますが、量販店の下請け業者は利益確保のためその道具を持っていないかったり、時間短縮のために配管セットを使用するようです。(これは石垣島ではかなりの頻度でこういう取り付け方が行われています。引っ越し時に移動先で配管が短く足りなくならないようにという配慮しているということも考えられますが。)
そしてご自宅がマンションでしたら室内配管も見てください。室内機から外部に出るまでの配管の曲がりはきちんと綺麗に曲げてありますか?
キチンと曲げると標準工事の4mでは足らなくなるので大きく曲げて施工したり、室内機から壁の穴まで一直線にしたりなど、見た目は全く配慮していない工事も良く見かけます。
そして、皆さんがとても関心のある真空ポンプを使用した「真空引き」
これも家電量販店で工事をされた方が真空引きをしてくれなかった事を心配され弊社へ問合せる事例が多くなっています。
業務用やビル用の空調工事を行っている会社では必ず真空ポンプでエアパージを行います。これは業界として当然の行為なのですが量販系の一部工事業者は現在でも機器内のガスを用いたエアパージをしているようです。
フロンガスを大気に放出すると大気汚染にもなるので、もし空調設備業者が量販系と同じようにガスでエアパージしたら直ちに元請け会社からクレームが来て出入り禁止になってしまいます。 真空引きとは空調業者にとって信用に関わるとても重大な事なのです。
以前、ある量販店から電話を頂いた事があります。
電話口の方が言うには下請けの業者に工事をさせたがその業者のミスでガスを全部放出してしまったのでガスを入れて欲しいとの事。
冷媒ガスが抜けてしまった場合はエアコン内を真空にしてからガスを充填するのですが、その量販店の下請け業者は皆、真空ポンプを持っていないのでタウンページで弊社を見つけて、電話したそうです。
エアコンに携わる者なら真空ポンプは持っていて当たり前の基本ツールだと思っていたので正直驚きました。
そして、以前内地の量販店工事をしていた人にこんな話を聞いた事があります。
安さを売りにしている某有名量販店のエアコン担当者は工事の知識が全く無く、ガスがちょっと抜けても大丈夫だから真空引はするな。と言われたそうです。
さらに、エアコンは設置直後に動けばOKで半年後に工事不良が見つかってもお客様からメーカーへ依頼が行くから大丈夫。と・・・
こんな販売店とは付き合えません。
当店も以前、島外から取付工事の委託契約が1台8,400円(材料費は自社持ち)で話がありましたが、安工事をしてクレームを出したくない事と同業者から工事をお断りしました。
最近は量販店の下請け業者が電気工事士免許がないのに工事を行い、火事を起こすなどのトラブルが頻発し新聞にも取り上げられて問題になっていますが量販店の下請けさんも大変です。
現場で量販店の下請けさんと一緒なった時に話をさせて頂くと皆必ず口を揃えて『辞めたい、割に合わない』と言います。
そりゃそうです。
1台1万円で働いても材料費を引いたら数千円しか残らないうえに夏は朝から夜遅くまで働かされ資本の体がボロボロになってしまいます。
安い賃金では設備投資もままならないので隠ぺい配管が出来ない、コンクリートの穴あけはお断りなどの制約が出るのも当然ですしベテランがいないのも納得です。
私からのお願いとして量販店にエアコンの工事を依頼するのは中間期にしてあげて下さい。
春や秋の季節は中間期と呼びエアコンを買う人は夏に比べて激減しますので工事もゆっくりできるので工事不良も減ると思います。
そして最後に私の個人的な意見ですが、エアコン工事で失敗の少ない業者の選び方は
空調設備業 地域の家電販売店 電気設備工事業 家電量販店 の順番だと思います。
結局は人と人の信頼関係が強いほど、また信用を大切する会社ほどおかしな工事はしないものです。
弊社も信用が大切なので量販店のような
単価が安い 件数を増やす 1件の工事時間を減らす 雑な工事(楽な方法)になる 事はしません。
その代わり家電工事屋には出来ない仕事もできますし、幅広い知識もあります。例えば、壁裏の構造がどうなっているのか、こういう工事をしたら将来的にどういう問題を引き起こすのか。(エアコンクリーニングを考えていない取り付け工事も多々あります。)
弊社にWebやお電話でご依頼をされるお客様の多くは量販店で嫌な思いをした方や、転勤で来られて量販店に「うちで買っていないからという理由で」取り付けを断られた方です。
今まで普通に仕事をしてきた事がお客様にはとても丁寧に見えるらしく、あるお客様は、「前盛さんの取り付けはまっすぐよね!それを覚えていたから、また石垣島に転勤で戻ってきた時に前盛さんの会社を見つけたんですよ!」と、評価されたこともありました。
確かに私自身、埋め込みパテの傾斜角度とか配管が直角に降りているかとか、どうでもいいことが気になる性格なので致し方ありません。
そして、量販店で購入したエアコンなのに配管サイズが違うから取り付けできないと帰られてしまったお客様には 『お客様が購入したエアコンは配管サイズが違っても取り付けできる製品ですよ』 と教え、取り付けさせて頂いた事もありました。中には、エアコンは修理するものではなく、買い替えるものだと長年思ってきたお客様もいらっしゃいました・・・。
私は量販店の尻拭いをするために仕事してるのではあません。
全ての家電工事屋さんの技術力が低いとは間違っても言いませんが知識と経験の乏しい方が多くメーカーの連絡先さえ知らない方もいます。
エアコン工事で業者選びにお迷っていましたら、アフターケアも良心的に行ってくれる業者を選ばれてください。