▼増加傾向の特別養子縁組25年度は
474件 (産経新聞2015.2.14)
そのように、
あなたがたの光を人々の前に
輝かしなさい。
人々が、
あなたがたの立派な行いを見て、
あなたがたの天の父を
あがめるようになるためである。
マタイによる福音書/ 05章 16節
新約聖書 新共同訳
この世の最大の不幸は、
貧しさや病ではありません。
だれからも自分は必要とされていない、
と感じることです。
マザーテレサ
(『マザーテレサ語る』より)
歌を通して神を賛美し、
神に仕えている。
私たちにとってゴスペルは
人間としての礎になっているんです。
(フィリス・ホールさん)
★祈りよ力に
神のもとへと導く歌声 黒人教会に響く
ゴスペル 奴隷制が生んだ魂の叫び
◆47NEWS(よんななニュース)2015年2月5日
▲日曜礼拝でゴスペルソングを熱唱するフィリス・ホール。聖歌隊の手拍子に合わせ、澄んだ歌声が教会に響き渡った=米インディアナ州ゲーリー(撮影・鍋島明子、共同)
聖歌隊が熱唱するゴスペルソングが、集まった信者たちの心と体を揺さぶる。「ジーザス!」「ロード!」。興奮が高まると、人々は叫び、手をたたき、足を踏みならす。その音が歌声と一つになり、礼拝堂の高い天井まで響き渡った。
▽霊歌
米インディアナ州ゲーリーのマウント・モライア・バプテスト教会。黒人街にあるこの教会の日曜礼拝は、「静かに聖書を読む」といった一般的な教会礼拝とはかなり様相が異なる。まるで、コンサートのようなのだ。
20人ほどの聖歌隊を従えた女性歌手が祭壇前に立ち、オルガン、ドラム、エレキギターで編成したバンドが祭壇を取り囲む。牧師の説教や信者の祈りの間に「セレクション」という時間があり、ゴスペルの名曲が次々と大音量で演奏される。
ソロ担当の46歳の女性歌手フィリス・ホールは7歳から歌い始めた。豊かな腰回りが声量を支えている。「幼いころから祖母に連れられて教会に通った。初めて聖歌隊で歌った時は少し怖かったけど、とても気分が良かったのを覚えている」
ゴスペルソングのルーツは黒人霊歌だ。アフリカ大陸から奴隷として米国に連れて来られた黒人たちが、主人が寝静まった夜中、ひそかに集まって祈り、歌った。この世に生きることの苦しみと、死後に天国で救済される願いを歌詞に込めた。
例えば「誰も知らない私の悩み」という霊歌はこうだ。「私は時に落ち込み、ほとんど地に倒れそうになる(中略)友達に伝えてくれ、私もすぐに天国へ行くからと」
ホールは、祖先たちの歴史を振り返った。「彼らは過酷な体験によって信仰に目覚め、それを霊歌として表現していった。奴隷制は、ゴスペルだけでなく、ほとんどの黒人音楽に大きな影響を与えている」
パスターと呼ばれる教会の指導者で62歳のマリオン・ジョンソンは「教会で最も重要なのは牧師の説教だが、その次に重要なのは音楽だ」と言い切った。低音でよく響く声が人を引きつける。「音楽は信者を神のもとへと導いてくれる。うちひしがれている人も歌によって力がみなぎり、祈ろうという気持ちになるんだ」
▲多くの有名黒人歌手が、ゴスペルソングを聞いて育った。聖歌隊のコーラスが始まると、参列者席の女の子が立ち上がり、歓声を上げた=米インディアナ州ゲーリー(撮影・鍋島明子、共同)
▽犯罪
ゲーリーは、全米一の製鉄会社USスチールが20世紀初頭に工場を設立して栄えたが、1960年代から不況に伴う人員整理で失業者が徐々に増加。今では街の中心部はシャッター街になり、店舗や住宅の跡地には雑草が生い茂っている。
人口約10万人の80%以上を黒人が占める。365ある教会は黒人社会の精神的支柱だ。信者の信仰上の悩みだけでなく、生活上のさまざまな相談にも応じている。
この日の礼拝は「シングル・デー」と名付けられ、説教や祈りの中でシングルマザーの子育ての問題が取り上げられた。
黒人のシングルマザー家庭は多く、全家庭の半数を超える。父親のいない子どもたちにとって、教会指導者のジョンソンは、実の父親のような存在だ。「子どもたちのバスケットボールの試合にも、卒業式にも出席しているよ」
ゲーリーは、全米でも有数の犯罪発生率が高い街だ。ジョンソンは、犯罪に手を染めた少年たちのために警察署や刑務所も訪れる。「問題を抱えた人間にこそ神の教えが必要だ。人は外見ではなく、内面がいかに大切かを彼らに教えている」
米国社会に根強い人種差別も黒人教会が扱う問題の一つ。同じ中西部ミズーリ州ファーガソンで8月、白人警官が黒人青年を射殺し暴動が起きた事件について聞くと、「いまだに皮膚の色だけで人を差別する者がいる」と怒りを隠さなかった。
▽陶酔
日曜礼拝の途中、白衣とナースキャップ姿の女性信者2人が祭壇脇に座っているのに気づいた。ゴスペルを聞き、歌っているうちに、宗教的な興奮と陶酔感が高まり、気を失う信者がいるので、待機しているのだ。
この日も聖歌隊のコーラスが最高潮に達した時、参列者席で立ち上がり「ハレルヤ!ハレルヤ!」と、うわ言のように叫びながら、体を震わせる女性信者がいた。
この教会では昔から歌い継がれているゴスペルを演奏するが、最近は、ヒップホップ風のゴスペルも生まれ、若い世代の人気を得ているという。
「私は嫌い。まるでダンスミュージックみたいだから」。40年近く教会で歌ってきたフィリス・ホールにとって、ゴスペルは何よりもまず、神と共にある音楽でなければならない。
“ソウルの女王”アレサ・フランクリンや女優としても活躍したホイットニー・ヒューストンらソウルミュージックの有名歌手の多くがゴスペル出身だが、ホールは「私が尊敬しているのはマヘリア・ジャクソン」と言う。教会を中心に宗教音楽としてゴスペルを歌い続けた伝説の歌手だ。
「歌を通して神を賛美し、神に仕えている。私たちにとってゴスペルは人間としての礎になっているんです」。ホールはかみしめるように言った。
(敬称略、共同通信編集委員 藤原聡)
=2014年10月15日
メモ
近くにマイケルの生家
ゲーリーのマウント・モライア・バプテスト教会近くの住宅街に、白い板壁の小さな家がある。
〝キング・オブ・ポップ〟と呼ばれるスーパースター、マイケル・ジャクソンの生家だ。マイケルの父親は、地元の製鉄所のクレーン運転士として働いていた。
庭には記念碑が立ち、フェンスにはファンが寄せ書きするボードが掲げられている。5年前にマイケルが亡くなった後も、訪れる人が絶えない。
オハイオ州から車で6時間かけて来た47歳の女性は「15歳のころからずっと憧れてきた。マイケルが死んで2カ月後、彼の顔を右の背中と脚に彫った」と涙声で話し、タトゥーを見せてくれた。
【祈りよ力に】<米国>神のもとへと導く歌声 黒人教会に響くゴスペル : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/47topics/e/261772.php
▲「一生の責任持つ、実感」
2015.2.14
474件 (産経新聞2015.2.14)
そのように、
あなたがたの光を人々の前に
輝かしなさい。
人々が、
あなたがたの立派な行いを見て、
あなたがたの天の父を
あがめるようになるためである。
マタイによる福音書/ 05章 16節
新約聖書 新共同訳
この世の最大の不幸は、
貧しさや病ではありません。
だれからも自分は必要とされていない、
と感じることです。
マザーテレサ
(『マザーテレサ語る』より)
歌を通して神を賛美し、
神に仕えている。
私たちにとってゴスペルは
人間としての礎になっているんです。
(フィリス・ホールさん)
★祈りよ力に
神のもとへと導く歌声 黒人教会に響く
ゴスペル 奴隷制が生んだ魂の叫び
◆47NEWS(よんななニュース)2015年2月5日
▲日曜礼拝でゴスペルソングを熱唱するフィリス・ホール。聖歌隊の手拍子に合わせ、澄んだ歌声が教会に響き渡った=米インディアナ州ゲーリー(撮影・鍋島明子、共同)
聖歌隊が熱唱するゴスペルソングが、集まった信者たちの心と体を揺さぶる。「ジーザス!」「ロード!」。興奮が高まると、人々は叫び、手をたたき、足を踏みならす。その音が歌声と一つになり、礼拝堂の高い天井まで響き渡った。
▽霊歌
米インディアナ州ゲーリーのマウント・モライア・バプテスト教会。黒人街にあるこの教会の日曜礼拝は、「静かに聖書を読む」といった一般的な教会礼拝とはかなり様相が異なる。まるで、コンサートのようなのだ。
20人ほどの聖歌隊を従えた女性歌手が祭壇前に立ち、オルガン、ドラム、エレキギターで編成したバンドが祭壇を取り囲む。牧師の説教や信者の祈りの間に「セレクション」という時間があり、ゴスペルの名曲が次々と大音量で演奏される。
ソロ担当の46歳の女性歌手フィリス・ホールは7歳から歌い始めた。豊かな腰回りが声量を支えている。「幼いころから祖母に連れられて教会に通った。初めて聖歌隊で歌った時は少し怖かったけど、とても気分が良かったのを覚えている」
ゴスペルソングのルーツは黒人霊歌だ。アフリカ大陸から奴隷として米国に連れて来られた黒人たちが、主人が寝静まった夜中、ひそかに集まって祈り、歌った。この世に生きることの苦しみと、死後に天国で救済される願いを歌詞に込めた。
例えば「誰も知らない私の悩み」という霊歌はこうだ。「私は時に落ち込み、ほとんど地に倒れそうになる(中略)友達に伝えてくれ、私もすぐに天国へ行くからと」
ホールは、祖先たちの歴史を振り返った。「彼らは過酷な体験によって信仰に目覚め、それを霊歌として表現していった。奴隷制は、ゴスペルだけでなく、ほとんどの黒人音楽に大きな影響を与えている」
パスターと呼ばれる教会の指導者で62歳のマリオン・ジョンソンは「教会で最も重要なのは牧師の説教だが、その次に重要なのは音楽だ」と言い切った。低音でよく響く声が人を引きつける。「音楽は信者を神のもとへと導いてくれる。うちひしがれている人も歌によって力がみなぎり、祈ろうという気持ちになるんだ」
▲多くの有名黒人歌手が、ゴスペルソングを聞いて育った。聖歌隊のコーラスが始まると、参列者席の女の子が立ち上がり、歓声を上げた=米インディアナ州ゲーリー(撮影・鍋島明子、共同)
▽犯罪
ゲーリーは、全米一の製鉄会社USスチールが20世紀初頭に工場を設立して栄えたが、1960年代から不況に伴う人員整理で失業者が徐々に増加。今では街の中心部はシャッター街になり、店舗や住宅の跡地には雑草が生い茂っている。
人口約10万人の80%以上を黒人が占める。365ある教会は黒人社会の精神的支柱だ。信者の信仰上の悩みだけでなく、生活上のさまざまな相談にも応じている。
この日の礼拝は「シングル・デー」と名付けられ、説教や祈りの中でシングルマザーの子育ての問題が取り上げられた。
黒人のシングルマザー家庭は多く、全家庭の半数を超える。父親のいない子どもたちにとって、教会指導者のジョンソンは、実の父親のような存在だ。「子どもたちのバスケットボールの試合にも、卒業式にも出席しているよ」
ゲーリーは、全米でも有数の犯罪発生率が高い街だ。ジョンソンは、犯罪に手を染めた少年たちのために警察署や刑務所も訪れる。「問題を抱えた人間にこそ神の教えが必要だ。人は外見ではなく、内面がいかに大切かを彼らに教えている」
米国社会に根強い人種差別も黒人教会が扱う問題の一つ。同じ中西部ミズーリ州ファーガソンで8月、白人警官が黒人青年を射殺し暴動が起きた事件について聞くと、「いまだに皮膚の色だけで人を差別する者がいる」と怒りを隠さなかった。
▽陶酔
日曜礼拝の途中、白衣とナースキャップ姿の女性信者2人が祭壇脇に座っているのに気づいた。ゴスペルを聞き、歌っているうちに、宗教的な興奮と陶酔感が高まり、気を失う信者がいるので、待機しているのだ。
この日も聖歌隊のコーラスが最高潮に達した時、参列者席で立ち上がり「ハレルヤ!ハレルヤ!」と、うわ言のように叫びながら、体を震わせる女性信者がいた。
この教会では昔から歌い継がれているゴスペルを演奏するが、最近は、ヒップホップ風のゴスペルも生まれ、若い世代の人気を得ているという。
「私は嫌い。まるでダンスミュージックみたいだから」。40年近く教会で歌ってきたフィリス・ホールにとって、ゴスペルは何よりもまず、神と共にある音楽でなければならない。
“ソウルの女王”アレサ・フランクリンや女優としても活躍したホイットニー・ヒューストンらソウルミュージックの有名歌手の多くがゴスペル出身だが、ホールは「私が尊敬しているのはマヘリア・ジャクソン」と言う。教会を中心に宗教音楽としてゴスペルを歌い続けた伝説の歌手だ。
「歌を通して神を賛美し、神に仕えている。私たちにとってゴスペルは人間としての礎になっているんです」。ホールはかみしめるように言った。
(敬称略、共同通信編集委員 藤原聡)
=2014年10月15日
メモ
近くにマイケルの生家
ゲーリーのマウント・モライア・バプテスト教会近くの住宅街に、白い板壁の小さな家がある。
〝キング・オブ・ポップ〟と呼ばれるスーパースター、マイケル・ジャクソンの生家だ。マイケルの父親は、地元の製鉄所のクレーン運転士として働いていた。
庭には記念碑が立ち、フェンスにはファンが寄せ書きするボードが掲げられている。5年前にマイケルが亡くなった後も、訪れる人が絶えない。
オハイオ州から車で6時間かけて来た47歳の女性は「15歳のころからずっと憧れてきた。マイケルが死んで2カ月後、彼の顔を右の背中と脚に彫った」と涙声で話し、タトゥーを見せてくれた。
【祈りよ力に】<米国>神のもとへと導く歌声 黒人教会に響くゴスペル : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/47topics/e/261772.php
▲「一生の責任持つ、実感」
2015.2.14