空飛ぶ自由人・2

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映画『マリア』

2025年01月13日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

「ベン・ハー」(1959)、「キング・オブ・キングス」(1961)、
「偉大な生涯の物語」(1965)など
20世紀半ばに盛んに作られた聖書映画
その後、鳴りをひそめたが、
作られていないわけではなく、
日本で公開されなかっただけで、
繰り返し製作されていた。

これもその一本。
一味違うのは、イエス誕生前の母マリアの話であること。
同様の作品は2006年の「マリア」(キャサリン・ハードウィック監督) がある。


本作は、2024年製作のイギリス映画で、
最も新しい聖書映画
  
話は紀元前18年、マリア誕生の秘話から始まる。
マリアの父は、子供をさずらないのを神の罰ととらえ、
荒野で40日間の断食をして悔い改める。
青い衣を着た天使が現れ、懐妊を告げる。
その結果、生まれたのがマリアだ。

マリアは神殿に預けられ、
善の天使と悪の天使が奪い合いをする。
やがて、マリアが川で洗濯しているのを見て、
一目ぼれしたヨセフに見染められ、婚約する。
その際も、青い衣の天使の介在が両親の心を決めた。
そして、ヨセフと交わらないまま、懐妊。
姦通したとして、石打で殺されそうになる。
ヨセフはそのマリアを守る。

マリアがイエスを生む出産シーンも
リアルに描かれる。
救世主の誕生を察知したヘロデ王が
ベツレヘムで生まれた新生児を殺すことを命じ、
親子は逃れて、後を追って来た兵隊と争う。
最後は、エジプトへ逃れたとする新約聖書の記述とは異なり、
エルサレムに向かい、
神殿にイエスを委ねるところで終わる。

当時の神殿や衣裳など、
丁寧に作られている。
こういう前日談は奇抜なものになりがちだが、
その傾向は抑えられていて、好感が持てた。
ただ、その結果、新味はない
ヘロデ王が救世主と思われる赤子がいたら、
生きたまま連れてこい、と命令するのは新解釈。
ヘロデはその赤子と対面したかったのだ。
そして、何十人もの赤子を前に
殺すのを命じて錯乱した時、
臣下たちに見捨てられて孤立する、
というのも新しい。
ヘロデ王をアンソニー・ホプキンスが演ずるので、
重厚さが増す。


マリアを演ずるノア・コーエンは美しい。

監督はD・J・カルーソ

Netflix で12月6日から配信。

パゾリーニの「奇跡の丘」(1964)では、


お腹の大きいマリアを
怒りと共に見つめるヨセフの顔から物語は始まる。