[書籍紹介]
「ノウイットオール あなただけが知っている」で
松本清張賞を受賞した森バジルによる書下ろしミステリー。
特別番組「ゴシップ人狼」。
出演者たちが持ち寄ったリアルゴシップについて語りながら、
紛れ込んでいる嘘つきを推理する、というトーク番組。
季節ごとの改変期に放送される人気特番で、
今回は生放送だ。
しかし、番組のメインとなるはずの
大物俳優・勇崎恭吾が入りの時間を過ぎてもやって来ない。
どこにいるかも分からず、
電話にも出ない。
ポンコツプロデューサーの幸良涙花(こうらるいか)は困り果てていた。
このまま勇崎が現れなければ、
番組の進行を変えざるを得ない。
その旨、司会者や出演者には伝えたが、
幸良とADの次郎丸夕弥は、
スタジオの隅にある箱の中に勇崎の死体を発見してしまう。
上司に報告すれば、
番組は放送中止となるだろう。
しかし、ダメプロデューサーの幸良は
会社から「次がダメなら制作を外す」と告知されている。
その上、犯人らしい人物からのメッセージで、
番組を止めないことを命令されており、
背くとスタジオの照明に仕掛けた爆弾が破裂するという。
だから、とにかく勇崎がいないまま、
番組は始めなければならない。
生放送まであと20分。
幸良は特番を乗り切れるのか!?
そして、この事件の犯人は?
という生放送という時間的制約の中で行なわれる犯人捜し。
7つの章で成り立っているが、
各章の題名が
この番組には刺激の強い表現が含まれています。
内容を一部変更してお送りします。
個人の感想です。
良い子は決して真似しないでください。
気になる答えはCMのあと!
ここでゲストから素敵なおしらせです!
など、よく使われるフレーズが付けられている。
プロデューサーの幸良、
出演者6人のうちギャルタレントの京極バンビと
一発屋芸人・仁礼左馬(にれいさま) の
三人の視点で描かれる。
もう一人、番組の視聴者甲斐朝奈(あさな)の視点もあるのだが、
ここには仕掛けがあった。
実際の番組名も出て来る。
「ゴシップなんて九割が誇張か情報不足。
六人いたら五人は嘘つきな人狼。
そのくらいの目を持ってくれよ、
テレビの前のみんな」
というメッセージも含まれている。
最後の大きな仕掛けは意表をつくもので、
ほーと、感心した。