昨日の続き。
スモーキー・マウンテンからジープニーに乗って、
5分ほど移動したところに、
ハッピーランドがあります。
アジア最大のスラム街。
タガログ語で「ハピラン」(Hapilan )は捨てる、という意味で、
それをもじって「ハッピーランド」(Happy Land)と名付けられました。
今回、マニラに来て驚いたのは、
著しい経済的発展で、
日本顔負けの規模のモールや
高層マンションが立ち並び、
何十億ドルもの資金が投資され、
空を背景にクレーンがそびえ立って、
建設ラッシュが続いています。
しかし、その経済的発展に取り残されたのが、
ハッピーランドのような、
貧困地区。
ここに2万人の人が住んでいます。
ここは商店街。
生鮮食料品を含め、
あらゆる日常生活に必要なものが売られています。
一方、ゴミは相変わらず持ち込まれ、
景観を汚しますが、誰も気にしていません。
日中からビリヤードを楽しむ人々。
一応、ちゃんと娯楽はあるんですね。
これはパグパグと言って、
ファストフード店から出て来た食べ残しを集めて
水洗いし、味付けして、油で揚げたもの。
1袋10ペソ(27円)程度で売られています。
前にYouTube で観た時、
特殊な例だろうと思っていましたが、
町のあちこちで売られていたので驚かされました。
主にチキンの食べ残しで、
残った肉と骨をかじります。
普通の食堂もあります。
「昭和」というより、「戦後」の感じ。
日本は戦後復興で立ち直り、
1960年代の高度成長期に、
みんなで豊かになりましたが、
フィリピンでは、
上流の繁栄が、
今だ下流には及んでいないようです。
格差を肌で感じます。
ボランティアが子供の世話をしています。
ある人の話では、
夫の仕事は見つからず、学校に通わせ、
家族全員を食べさせるためのお金は、
ひと月に4500ペソ(約12150円)しか
稼ぐことができないといいます。
一日150ペソ(400円)。
部屋代は大体月1500ペソ(4千円)。
トイレなし、電気は先払い式。水は購入。
ガスはプロパン。
小さいのも売られています。
しかし、人々は思いのほか楽しそうで、
子供たちは路上で遊び、
インターネットカフェで楽しむ人、
食堂で笑いあう人々・・
金銭的に余裕のない生活であっても、
人々はその中でも幸せに生きているようです。
先にあげたYouTube でも
インタビューされた住民は「幸福だ」と言っていました。
外の世界を知らないからだろうか、
とも思いましたが、
一家が仲良く一緒に暮らしていれば、幸せなのは確か。
日本のように、
立派なマンションに住んでいても、
家族バラバラなら、幸福とは言えないでしょう。
ただ、衛生環境が悪いのは確かで、
細い道は野良犬の糞や、
ゴミ、残飯などが散らかり悪臭とハエが群がり、
とても衛生的とは言えません。
感染症や栄養失調で亡くなる住人も多いといいます。
乳児死亡率は、日本と比較すると、13倍も高い。
学校に行けない子供も多く、
将来を考えると、やはり希望はうかがえません。
公立学校は無料ですが、
学用品や制服を買うお金がなかったり、
子供も労働力として働かされるケースもあり、
日本のように、皆が学校に通えるわけではない。
フィリピンでは、高校や大学を出ていないと
安い賃金の肉体労働か、日雇いの仕事しかありつけない。
その日暮らしのこの地区の人々にとって、
子供を学校に通わせるのは難しく、
子供も仕事や生活の手助けに駆り出さざるを得ない。
そして、貧困層の子供が大人になり、
不安定な安い労働として生きていくことになる。
貧困はこうして連鎖していく・・・。
こうした貧困問題に対して、
政府は特に有効な方策は立てられない。
なにしろ、数が多すぎる。
改善策は明快で、
産業を興し、雇用を増やすこと。
しかし、まだ日本のような高度成長時代は来ていないようです。
お金があっても幸せでないのは当然ですが、
お金がないために生ずる不幸は
何としても無くしたい。
生まれる国と親は選べない。
この現状を見ると、
日本での暮らしがどれほど恵まれたものかが、分かります。
日本人の不幸は、
自分たちが幸福であることを自覚できないこと、
だと言います。
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