[映画紹介]
北欧ノルウェー発のホラー。
郊外の団地にイーダ一家が引っ越してきた。
9歳の少女イーダ、自閉症で口のきけない姉のアナ。
じきに同じ団地に暮らすベン、アイシャと親しくなる。
4人を惹きつけたのは、それぞれが持つ不思議なパワーだった。
ベンは手で触れることなく小さな物体を動かせる念動力、
アイシャは互いに離れていても感情、思考を共有できる能力。
イーダとアナは、まだ自分の秘めた能力に気づいていない。
4人は大人の目が届かないところで、
お互いの能力を共鳴させ、
サイキック・パワーの強度を高めていく。
親の知らない子どもだけのネットワーク。
始めは遊びだったのに、
次第にエスカレートし、
ベンの能力が大人の行動をも支配するようになった時、
それは狂気に変わり、
衝撃の夏になっていく・・・
ノルウェーのアカデミー賞と呼ばれるアマンダ賞で
監督賞・撮影賞・音響賞・編集賞の4冠を獲得。
世界の映画祭で16映画賞を受賞した問題作。
監督・脚本を手掛けたのは、「わたしは最悪。」で
米アカデミー賞・脚本賞にノミネートされたエスキル・フォクト。
大友克洋の「童夢」からインスピレーションを得たという本作、
大人が介在しない、子供たちだけの危険な遊びを描いて秀逸。
何かが起こるという緊迫感が映像から伝わって来る。
特に、子どもたちの演技が素晴らしく、
是枝流の「自然な演技」などではない、
しっかりと役どころを捉えた子役の演技に驚嘆する。
どうやって演技指導したのだろう。
子どもたちの親が、
やや欠けたところがあるのも、
超能力の要因としてしっかり描かれている。
「イノセンツ」の題名にあるように、
悪気の無さや無邪気さに裏打ちされた
加減を知らない特殊能力を持った子どもが、
善悪の区別が付かず、取り返しのつかないことをしてしまう恐ろしさ。
狭い団地の空間の中、
広場で遊ぶ親子に混じって
人知れず展開される子ども同士のバトル。
音や絵で観客を怖がらせるのではなく、
心理的に追い詰められる
北欧らしいホラー。
観るべき。
5段階評価の「4」。
新宿ピカデリーで上映中。
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