makoto's daily handmades

群馬県・谷川岳エコトレッキングコースへ行く

昨年8月2日に左足外果骨折をして以来、初めて山装備を持ち出す。

関越道を通って、所々、去年、骨折した時のことを思い出して涙が出そうになる。
とくに土合駅周辺。
これから谷川岳に登るという期待に膨らんでいた去年のあの朝。
あの時の気持ちを思いだしつつ、あれから今日までの日々を思い出してしまった。
なにも昨日の退職についての涙ではない。
骨折の瞬間から当日自分の足で下山できなかったこと、その後の骨折治療の経過、そして再びこの地に来たこと。
あまりにも走馬燈のような日々を思い出してしまった。

9時過ぎに谷川岳登山指導センターに骨折時のお礼をもって挨拶に行き、エコトレッキングコースをスタートする。
谷川岳ロープウェイは運休中だが、点検用と思われるゴンドラが1つ動いていた。

去年骨折をした天神尾根にはまだ登れない。
ロープウェイが動いていたとしてもそれは無理な話だ。
だってまだ足が痺れているし、トレッキングシューズも手術で入れた金属プレートが当たって痛くなりやすいから。

片道3.3キロのトレッキングコースならコースタイムも55分とのことなので、歩けるかもしれない…。
足が痛いようなら、途中で戻ればいいし、電気バスが定期運行しているから帰りだけ乗ってもいいんだよ。
このコースは、舗装道路だから歩きやすいはず。
そうMIFさんが教えてくれたので、チャレンジしてみることにした。

夏の緑が美しいシーズン、本当にキラキラした木々に癒やされる。
こんなに眩しい夏の日差しの中を歩けるだなんて思っても居なかった。
思わず「私は幸せだなぁ」とつぶやいてします。
これから始まる手術と治療、そして無職生活。
そんな不安を忘れさせてくれる時間だ。

そしてストックを使うと意外と歩けるし、こんなに楽に歩けるのか…と。
通勤でもこのストックを使っていたら、もう少し楽に歩けたのかな?と思うくらいだ。
何しろこのストック、1年ぶりに使うのだから。

途中休憩しつつ、そして以前よりもだいぶ遅くしか歩けない。
前ならもう少し歩けたのに…と思う瞬間はあるものの、もうそれはできない足なのだ。

そしてマチガ沢あたりでは、コースが冠水。
先日の豪雨で舗装道路上にも水があふれている。
思わず沢の水に手をつけると、目が覚める冷たさ!さすが山の水は違う。

そして以前だったら、案内看板はちょっと見て終わりだったが、今回はそれもちゃんと読む。
すると山側の岩に注意して欲しい旨が書かれていた。
なんだろう…と思っていたら、岩の割れ目からものすごい冷気が出ている。
天然のクーラーだ!
しばらく涼んでから再度歩き出す。

ところがすでに足が限界に近く、左足首が痛んできた。
でも目の前には一ノ倉沢。

ここも豪雨の影響で舗装道路が冠水。
ここで手を水に5秒もつけると痺れるくらいの冷たさ。
ペットボトル入りのスポーツドリンクをMIFさんも私もしばらく水につけていたら本当に心地よい冷たさになるくらいだ。
そしてMIFさん、空になったペットボトルに水をくんで飲み始める。

子供の頃から、山野の水を飲むなと言われて育った私と、近場の川の伏流水を飲んで育ったMIFさんとでは感覚が違うらしい。
MIFさんに勧められて一口飲むと生き返る冷たさとおいしさ。



首に巻いていたメレルのチューブラーを水に浸してから首に巻くと、ものすごく気持ちいい。
近くの木陰でしばし休憩する。

すると近くにいた子供(3歳か4歳くらい)が虫に刺されて大泣きしはじめた。
近くに居た人たちが救急キットを渡してくれていた。
私も去年、天神尾根で転倒したとき、捻挫だと思っていたせいもあるが近くに居る人たちが次々に湿布やロキソニンテープ、冷却スプレーを差し出してくれてとても助かった。
それを思い出し、ちょっとした感動をしていた。

山に来たら、みんなが助けてくれる。
たとえ知り合いじゃなくても。
本当にあの親切なみなさんのおかげで、私は天狗のトマリから1時間も歩いて下山することができた。
そのおかげでヘリ救助の際にその場から移動しなくて済んだ。
あのときの人たちにはもう会うことはできないけれど、感謝の気持ちでいっぱいだ。

さて、一ノ倉沢で振り向いたときの風景はこちら。

実は見覚えがある。
天神尾根やオキノ耳・トマノ耳から見たかもしれないが…。
あれは、去年のヘリ救助のとき、一人でつり上げられる際に一瞬目を開けてしまったときに見えた山だ。
そう思ったら、あの時の恐怖が蘇るもののあれから1年後の今、こうやって少しだけれど歩ける自分がうれしい。

ここまでのコースタイムは55分とのことだったが、今日は1時間5分といったところ。
少々歩くスピードが遅いがこれが今の私の限界。

休憩も十分にしたし、沢の水も堪能したので、帰りは電気バスに乗車することにした。
ガイド同乗の場合は定員8名になるので、今回は早めにバス停へ。
すると帰りのバスは50代くらいのご夫婦1組と同乗するだけの4人。
するとガイドさんが、先ほどの山の名前を教えてくれた。
左側が「笠ヶ岳」、右側が「白毛門」。
私がヘリからつり上げられているとき、奥に白い筋がたくさん見えるちょっとはげ山みたいな山、手前に白い大きな筋が見える山でその手前が木がたくさんあった、というほんの一瞬の風景だけだった。
もう2度と見ることがない風景で、自分の足下も怖くて一切見られなかった。
だからどのくらいの高さにヘリがホバリングしていたかも分からないし、吊られていた距離も時間も分からない。

あれから1年。
今、コースは違っても、足が痛くなったとしても、また谷川岳にやって来られたことは本当に心の整理ができた。
あのとき、左足外果と一緒に折れてしまった心。
一生懸命つなぎ止めたけれど、それは本当の意味でくっつくことは無くて、「谷川岳」「骨折」という言葉を聞くたびに心の中が暗くなっていた。
けれど、今日、足は痛くなったものの、美しい風景とともに本当にここに来て良かったと思えた瞬間だった。

いつも私を元気づけてくれて、今日もここまで連れてきてくれたMIFさん、本当にありがとう。

【装備の初物】 とくになし。

【次は購入したい】 とくになし。

【良かったこと】
1.谷川岳登山指導センターに立ち寄って、お礼のビール券を置いてきたこと。
2.MIFさんとまた谷川岳に来てトレッキングができたこと。
3.一ノ倉沢の水と戯れたこと。楽しすぎる。

【次回からの改善点】
2本ストックを使っても足には負担があって、歩けるのは45分くらい。
手術後はまたしばらく歩けなくなるし、山道はムリだろうからこれが今の限界点としておこう。

【失敗したこと】
日焼け止めを忘れた!!
一方で、もう年だからいいか…と諦めている部分もあるのだけれど。

【今回の装備】makoto編
服装…キャミソール(クールメッシュ)、トップレイヤー(ウィックロンシャツ・黄緑)、ショーパン(モンベル紫)、機能性タイツ、靴下(中厚)、ネックゲーター、手袋、
靴…トレッキングシューズ(ハイカット)
リュック(18L)…財布類、携帯電話、スポーツドリンク(500ml)2本、お茶(500ml)1本、タオル、救急セット、ハードシェル(使用せず)、ゲイター(使用せず)、ウレタンシート、
行動食…チーズ鱈・チョコレート。
アクセサリ…腕時計、2本ポール
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