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makoto's daily handmades

小説「高校事変Ⅳ」を読む

松岡圭祐著。
この本が発行されたのは、今年11月25日。
小説内では10月12日の台風19号で武蔵小杉の被災状況も出てきます。
なお、今回はこれまでのシリーズのストーリー展開にも触れますので、あらすじを知りたくない方は、これ以降に目を通すことはお勧めしません。
また、この物語シリーズは自体殺人を含めて様々な犯罪や反社会的思想を持った登場人物ばかりなので、この本をお勧めするわけではありません。

さてこの本の感想です。
ヒロインには兄弟がいますが、その出自によって子どもの頃から兄弟というよりも、犯罪者への英才教育の生徒同士という感じです。
今回は弟の一人が亡くなります。
これまでにも妹が一人登場していますが、父親の逮捕によって異母兄弟達がバラバラの児童養護施設で育てられ、お互いに接見禁止になっています。

現実社会では児童養護施設、いろいろと運営も大変だと聞くし、施設内外での揉め事が日常茶飯事と聞きます。
しかし、ヒロインにとっては施設は自分が成長するための生活基盤を支えてくれる屋根のような存在なのでしょう。
物語の中では、施設に対する不満をさほど感じず、かえって施設は自分を保護してなくれる場所として利用しまくる、という感じです。

今回、日本人VS在日韓国人の対立構造でしたが、これもまたじつは全然違いました。
これまでのシリーズの流れが4巻目にして一旦集約されて、新たな流れに繋がっていく感覚になります。
それと明確には分かりませんが、この巻だけでたぶん80人くらいは死んでいます。
殺戮小説といえば、その通りです。
ヒロインにとっては聖戦なのかもしれませんが、逆の視点から見れば殺人快楽犯と見られても仕方がありません。
一方で虐待によって衰弱した子ども達を命がけで助け出します。
「人の子」という意味では、殺された人物も親がいるはずですが、ヒロインが半グレ集団に染まったかどうかによって同じ未成年にまなざしは全く異なります。

このシリーズの1巻目では、武蔵小杉にある高校から、排水路を通って多摩川の河川敷に脱出したルートが紹介されています。
1巻は5月23日発売で、今年9月のことを描いています。
まさか10月にこのモデルになった排水路が逆流して内水氾濫を起こすとは私自身も驚きが隠せませんでした。
そして今回の物語では自然とその事実が登場します。
著者だって、まさかの事態だったにせよ表現に盛り込むのは本当に凄いと感じました。

さてヒロイン。
最初は武蔵小杉近くの児童養護施設に住んでいましたが、次が江東区、一時海外生活をしてから、今回が目黒区の施設で過ごしています。
1巻1校で転校もしています。
次の巻では、どこに住んで、どこの高校に行くのでしょうか?
まずはそこから気になります。

コメント一覧

makoto-hizikata
せしおさんへ
次は1月25日に5巻が出ますね。
私は10巻くらいまで出るかと思っています。
ヒロインが高校卒業したら「高校事変」のタイトルは使えませんから。
secio11000
買ったけどまだ読んでません。
このシリーズは何巻まで続くのでしょうな?
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